1 魔界にギャルがやってきた
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私はただ静かに暮らしていればよかった。
誰にも関わらず、ひっそりと。
なにせ私は――魔界でも嫌われ者の魔族だからだ。
私は魔王直系の魔族にもかかわらず白髪に朱色の瞳。
魔王は力が強いほど漆黒の髪色、真紅の瞳になる。
あまりの色素の薄さに生まれて早々捨てられた。
ステュクスの森――魔界と人間界の境界に広がる、追放者たちの不干渉地帯に。
だから、その日も、いつも通りだった。
同じように森に捨てられた双子の混血エルフ――ハイエルフのリコとダークエルフのリンが“それ”をもってくるまでは。
「マジュさま!リコ、マジュさまのトモダチ、ひろったヨ!」
「リン、マジュさまにコレあげてもいいノ。もうさびしくないノ。」
ステュクスの森――魔界と人間界の境界とされる所以。
森の霧にみえるのは実際は瘴気であり、人間には致命的だからだ。
なのに――リコとリンが誇らしげに抱えている手の先には人間っぽい何かがいた。
「・・・まさか襲ったのか?」
「チガウ!おちてたヨ!」
「モリの入口にあったノ。」
双子の混血のエルフ――ハイエルフのリコとダークエルフのリンが得意げに指さす。
どうやら、彼女らが拾ってきたらしい。
私は改めて、その“拾われたもの”を見た。
肌は小麦色で、露出度高め。耳は尖っていない。
髪は根元だけ黒、先端は黄金色にグラデーション。
「……これは…人間ではない?魔力を感じないから魔族ではない?もしや新種の魔物か?」
思案していると目の前のものがもぞりと動き出す。
「う~ん・・・?ってかここどこ!?電波圏外とかマジ無理なんだけど~!」
のんびりとした口調だが会話は可能なようだ。
さて、どう説明したものか・・・
「オマエ、連れてきたヨ!マジュさまのモノ!」
リコとリンがパチリとウィンクする。
……いや、私の指示で攫ってきた感出さないでくれ。
「……私はマジュ。ここはステュクスの森。君が倒れていたので保護した。君は何者だ?」
「あーしはギャルのサナ!今日はヤマンバメイクだからヤマンバギャルね~!」
「……ギャル?サナ?ヤマ・・・?」
だめだ、やはり言葉が通じないようだ。
よく見ると髪はメデューサのようにうねっているし。
もしや、ギャルとは新種の魔族か?
「うん、最強ギャル!」
……最強?一戦を交えろということか?
白髪朱目という明らかに魔族最弱の私に挑むなど意味がわからない。
「……大丈夫か?」
「たぶん?ってかあんた最強に可愛いくない?!」
「さ、最強?」
可愛くないのは知ってるが・・・?
「髪も眼もめっちゃ綺麗~!ブリーチもカラコンも超イイ感じじゃん!」
ブリー…?カラ…?
何の話だ…?というか、私を可愛いといったのか?
白髪赤眼は貶されることしかないのに、褒めるとは・・・。
混乱するけど、なぜかイヤじゃない。
「あーし、黒ギャル主義だけど、あんたは清楚ギャルめざしてんの?」
「清楚ギャル・・・?」
「やっぱり?!あーし、ギャルメイク極めてるから、超盛ってあげるよ!」
「メ、メイク?よくわからないが私はいい・・・」
「え、なんで?ちびっ子二人もコギャルメイクで盛ってあげよっか?」
「よくわかんないけど、リコやるヨ!」
「よくわかんないけど、リンもやるノ」
「任せときな!シャドーとかアイライナーとか、どこに売ってるか知ってる?」
――いや、何の話をしているんだ。
「あ、自己紹介しよ?あーしはサナ!あんたは?」
「わ、私はマジュだが……」
「リンだヨ!」
「リコなノ。」
「じゃぁ、マジュとリコとリン!よろしく!あーしのことはサナでいいよ」
「シャナ、マジュさまのトモダチだヨ!」
「シャナ、リコとリンともトモダチなるノ」
「シャナ?超イイじゃん!あだ名で呼び合うとかもうダチっしょ。」
舌足らずなリンリコの発音で、シャナと呼ぶことで決まったようだ。
「シャナ、ダチってなに?」
「トモダチってこと!」
「うん。ダチ~!ね、マジュ!」
肩を組んでくるシャナ。
リコとリンはぱぁ~っと顔を輝かせて私をみる。
胸がぎゅっと熱くなる――
ってやめろ、初めてのトモダチの感動を慈愛の眼差しで見せるな……!
ギャル×世話焼き百合×ダークファンタジー、気になる方、気にいってくださった方はぜひぜひコメント、評価、ブックマークいただけるととっても嬉しいです!




