0 セージョ?いや、あーしギャルですけど!
今作は数日ごとに19時投稿予定です。
お楽しみいただけると幸いです!
「なんだこの化け物は!!!」
神官たちは言い伝え通りに、異世界から聖なる黒髪の乙女――聖女を召喚したはずだった。
しかし現れたのは、全体は黄金髪なのに根元だけ黒、存在しない髪色の少女・・・とはいえない謎の生き物がいた。
服は聖女の制服に似ているが、スカートの丈は異常に短い。
さらに足元には靴下というのは異様に長く、白布が重なっている。
おそらく蛮族の戦闘衣装かなにかだろう。
爪は異様に長く、毒々しい小さな石が埋め込まれている。
あれで獲物を切り刻むのか、と神官たちは顔を青くする。
「なにここ?いみふなんだけど」
少女はケロッとした表情で謎の言葉を喋り、ギラギラ装飾された手のひらサイズの二つ折り機械をパカパカ操作する。
「ってか電波バリ3どころか圏外じゃん!やば、ウケる~!」
自動翻訳機能も通じず、神官たちは顔を見合わせる。
紺色のバッグには絵具で文字や絵が描かれ、謎の装飾がびっしり。
歴代の聖女記録に、こんな姿は一切ない。
「あーし、ギャルサーの皆とヤマンバメイクでプリ撮ってただけなんだけど。まじおかしくね?」
「これはやはり聖女ではない……再教育も不可能だな……」
神官たちは恐怖心を抱きつつも、「魔物は森に還すべきでは?」と意見をまとめはじめる。
その森――ステュクスの森は、人間界と魔界の境界に広がる畏怖の地。
霧が立ち込め、森を囲うように流れる川沿いに咲き乱れる赤いヒガンバナは死人の血で染まったといわれている。
近年、魔物の影響で瘴気が濃くなり、食物も育たなくなっていた。
王族や貴族への影響が出る前に瘴気を払うため、異世界から聖女召喚を行ったはずなのに、この有様だ。
「ってかセージョってなに?」
「我々の言葉を理解する知能がある、だと?!」
しかし、相手の言葉は理解できない。翻訳機能は通用していないらしい。
少女はつまらなそうに神官たちを見やる。
肌は焦げており、目元や鼻筋には黒と白の模様。
まつ毛は長く、目が力強い。恐ろしい、恐ろしすぎる。
こんな化け物を召喚したとなればどんな処分がまっているか分からない。
「…よし、この召喚はなかったことにする。いいな。」
化け物は過剰な宝石で飾った鏡を見て髪をいじりはじめていた。
金品を強奪する知能が高いタイプの化け物は質が悪い。
髪に咲いた大きな赤い花はきっと毒だろう。人間は頭に花を咲かせない。
「マジやばみざわプリンだわ」
神官たちは意味不明すぎて考えるのを諦める。
もし攻撃されれば毒花の鱗粉で即死か、鎌のような爪で襲われるかもしれない。
敵意を悟られないうちに、神官たちは睡眠魔法をかけることにした。
「なに?急に眠く…」
周囲がパタリと倒れた瞬間、転移魔法で少女をステュクスの森に置き去る。その日は雨。
「ひっ!顔が…っ!」
雨で顔がドロリと溶けはじめ、聖女ではなくモンスターであったことを改めて確信する。
神官たちは罪悪感もなく、その場を去った。
その様子をこっそり見ていた小さな魔物がいた。
「コレ、なに?」
「ワカラナイ!でも似てるヨ!」
「マジュさま、友達なるノ?」
「マジュさま、喜ぶヨ!」
捨てる神あれば拾う魔物あり。
こうして、異世界召喚された聖女もといギャル物語が、ひっそりと始まるのだった――。
平成ギャルをイメージしています!
制服ギャルがヤマンバメイクして、ルーズソックスはいてデコデコのパカパカ携帯ひらいて~というのを想像してください。
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よろしくお願いします!




