コロッケ作りの修行
「いざ進めや、キッチンへ!」
ジャガイモ男爵が高らかに宣言し、パンギンをキッチンへと導いた。これから、あの伝説の料理「コロッケ」を作るのだという。
「まずは手本を見せよう」
ジャガイモ男爵が優雅な動作でジャガイモの皮を剥き、一口大に切り分ける様子は、まるで舞踏会の主役のように美しかった。軽やかに手を動かし、ジャガイモを塩茹でにすると、今度はどこからか玉ねぎを持ち出し、それもまた優雅にみじん切りにしていく。大きなフライパンが用意され、玉ねぎがじわじわと炒められる香りが漂い始めた。その中に細かく切った肉が入り、塩、砂糖、こしょうが加えられて、コロッケ作りが進んでいく。
ジャガイモが茹で上がり、つぶされたそのお芋と炒めた具材が混ざり合うと、コロッケのタネが完成する。男爵の動きは一貫して優雅で、コロッケを作る様子もまた、まるで芸術の一部を見ているかのようだった。
「さあ、君もやってみなさい」
とジャガイモ男爵は微笑みながらパンギンに言った。
パンギンは早速、ジャガイモを手に取るが、その硬さに驚きを隠せなかった。
「こんなに硬いのか…?」
彼は力を入れて切ろうとするが、包丁がジャガイモに思ったよりも深く入らない。だが、男爵は言った。
「この硬さこそが、この食材の特性なんだ。しっかりした素材は、それだけで力を秘めている。君がそれを扱えるようになれば、君自身も強くなるのだよ」
パンギンは一瞬戸惑ったものの、男爵の言葉に心を奮い立たせ、試行錯誤を繰り返しながらコロッケ作りに没頭していった。食材の硬さが逆にその質の高さを示し、その扱いをマスターすることで、パンギンもまた成長していくことを感じ取ったのだ。時間がかかり、時には失敗もあったが、パンギンは諦めることなく、その食材の特性を理解し、体力も鍛えながら少しずつコロッケ作りを学んでいった。
また、玉ねぎや肉などの食材を自ら育て、どのようにすればより良いものが収穫できるのかを学んだ。それぞれの食材が持つ力を引き出すことが、ただの料理ではなく、彼自身の力を高める鍵であることに気づいたのだ。
ついに、パンギンは見事なコロッケを作り上げた。黄金色に揚がったそれは、まさに彼の努力の結晶だった。ジャガイモ男爵は一口食べ、目を閉じて味わい、満足げに頷いた。
「合格だ、パンギン。君はこの食材の持つ力を理解し、それを引き出すことができた」
その瞬間、パンギンはただ料理を学んだだけではなく、心身共に強くなったことを実感した。彼は次なる冒険へと向かう準備が整っていた。




