ジャガイモ男爵
「吾輩の名はジャガイモ男爵」
その言葉が、金色に輝く畑の中に響き渡った。風に揺れるマントが優雅に舞い、背筋をピンと伸ばした紳士が、得意げにそう宣言した。彼の動きひとつひとつに、洗練された品格が漂っている。まるで、彼の存在自体がこの黄金の農園を象徴しているかのようだった。
「私はパンギンと申します。パンダ師匠に言われて、此処に来ました」
パンギンは少し戸惑いながらも、素直に自分がここに来た理由を話した。緊張が手に取るように伝わるが、その表情には覚悟がにじんでいた。彼の目は不安げに揺れていたが、それでもしっかりと自分の言葉を紡いでいた。
「ほほう、パンダ師匠が…」
ジャガイモ男爵は、パンギンをじっと見つめながら、静かに呟いた。顎に手をあて、しばし考え込むような仕草を見せる。考えすぎているのか、それともパンギンの存在に何かを感じ取ったのか。言葉が途切れる間、その空気は一層重くなった。
しかし、やがて男爵は目を細め、にこりと笑った。
「案内しよう」
そう言うと、ジャガイモ男爵はパンギンに歩み寄り、彼に従うよう促した。すぐに彼の後をついて歩くと、農園の中へと入っていった。
黄金に輝く畑が広がっている。そこには野菜と思われる植物が整然と並び、その光景はまるで無限に続くかのように見えた。だが、よく見るとその植物の色は普通の緑ではない。土が黄金色に輝いており、まるでその大地自体が神秘的な力を秘めているかのようだった。
「ここではジャガイモを作っている」
ジャガイモ男爵はゆっくりと歩きながら、誇らしげにそう言った。その顔には、まるで自分の子供を誇るかのような、愛に満ちた表情が浮かんでいた。彼の目には、ただの野菜ではなく、特別な存在が映し出されているのが分かる。
「先ずは、ジャガイモのことを知ってもらおう」
男爵の声には、自信と熱意が溢れていた。パンギンはその言葉に引き寄せられるように、さらに歩みを進めた。しばらく歩いていくと、前方に大きな建物が見えてきた。




