そして冒険へ
「いただきます!」
勢いよく一同が手を伸ばす。黄金色に揚がったコロッケを一口かじると、ザクッとした衣の音とともに、中からホクホクのジャガイモと甘みのある玉ねぎ、ジューシーなひき肉が広がった。
「ん~~! うまい!」ニックが目を輝かせる。
「ふむ……美味しいの」じーも小さく頷いた。
「さっくさく……ほくほく……」アムが静かに感動を表現し、レンは「熱い……でも、モフモフの味」と謎の感想を漏らす。
「みんなで作ると、なんか特別な味がするね!」ひよが嬉しそうに言うと、全員が無言で頷いた。
食卓の片隅では、伝説のペンギンがコロッケをつついていた。ペンギンがコロッケを食べるというのは不思議な光景だったが、当たり前のように受け入れられている。
「ふむ……」じーは満足げに頬を膨らませた。
パンダ師匠のありがたい説教
「うむ、よくやった!」
コロッケを食べ終えたころ、パンダ師匠が腕を組んで頷いた。
「今回の試練は、料理の技術ではない。おぬしたちは、仲間と力を合わせることができるか——そこが重要じゃったのじゃ!」
「ふむ……」
「最初はバラバラじゃったが、最後には息が合っておった。これは、戦闘においても同じこと!」
「なるほど……」ひよが真剣に聞いている。
「じー、ひとりで戦うのもよいが、仲間と共に戦うのはまた違うのじゃ」
「ふむ……」
「互いの得意なことを活かし、補い合う。それこそが、強さじゃ!」
「……ふむ!」
じーは静かに、しかし力強く頷いた。
夜が更け、星がきらめく空の下。
じーは月明かりの中、ぽてっと座って考えていた。伝説のペンギンが隣で丸くなっている。
「ふむ……仲間」
ひとりでも強くなることは大切。でも、仲間と一緒なら、もっと違う強さを得られるかもしれない。
「ふむ……」
じーはふわりと微笑んだ。
明日からの冒険は、どんなものになるのだろうか?
「モフモフ、どこ行く?」レンがひょっこり現れる。
「ふむ……冒険なの」
「たのしみ」
「ふむ!」
じーは立ち上がり、仲間たちの元へ戻る。黄金のコロッケと、パンダ師匠の教えを胸に、彼らの旅はまだまだ続くのだった。




