黄金のコロッケ試練
「その料理とは——黄金のコロッケ!!」
パンダ師匠が堂々と告げると、じーはじっと師匠を見上げた。
「……また、コロッケ?」
「そうじゃ」
「ふむ……」
じーは小さく首をかしげた。以前の修行でコロッケを揚げて以来、何度か作った記憶がある。確かにおいしい。しかし、「試練」と言われると、少し首をかしげざるを得なかった。
「じー、納得いかぬ顔をしておるな」
「だって、コロッケなの」
「ふむ、しかし、前回とは違う!」
「……どこが?」
「今回は、皆で作るのじゃ!!」
じーは再び首をかしげた。
「ふむ……?」
「ひとりで作るのと、仲間と作るのでは、全く違うのじゃ!」
「確かに、一理あるかも」ひよが頷く。
「うまいコロッケを作るには、それぞれの役割を活かし、最高の連携を見せねばならん!」
「戦闘訓練か何かですか?」ニックが苦笑する。
「似たようなものじゃ」
「……モフモフも、料理する?」レンが興味深そうにじーを見つめる。
「ふむ……」
「とにかく、試練開始じゃ!」
試練の場として用意されたのは、パンダ師匠の屋敷の広い厨房だった。調理台には、コロッケ作りに必要な食材がずらりと並んでいる。
「まず、ジャガイモを茹でるのじゃ」
「ふむ……」じーはアイテムボックスからすでに茹でたジャガイモを出そうとしたが、ひよに止められた。
「待って! ちゃんと最初からやろう!」
「ふむ……?」
「茹でるくらい、できるよね?」
「できるの」
「よし、じゃあお願い!」
「ふむ……」
じーがジャガイモを鍋に入れる。ニックが火を調整し、アムが様子をじっと見守る。レンはというと、じーのモフモフに夢中になりかけていたが、ひよに軽く小突かれ、手伝いに戻った。
「そろそろ、いいかな?」
「ふむ……」
茹で上がったジャガイモを、今度は潰す作業に移る。
「ふむ……」じーは木べらでジャガイモを潰し始めたが、妙に力が強すぎて、ジャガイモが飛んでいく。
「わわっ!」
「じー、もう少し優しく!」ひよが慌てて注意する。
「ふむ……?」
「見てて、こうやるの!」
ひよが丁寧に潰して見せると、じーも少し真似してみる。最初は不器用だったが、だんだんとコツをつかみ、きれいに潰せるようになった。
「ふむ……できたの」
「おお、いい感じ!」
「モフモフ、上達してる」レンが感心する。
「さて、次は玉ねぎとお肉を炒めるわよ!」
ニックが手際よく玉ねぎを刻み、アムが鍋を温める。レンはじーのモフモフを少しだけ触って満足し、炒める作業へ合流。
「ふむ……炒めるの?」
「そう! やってみる?」
「ふむ!」
じーが鍋を持ち、材料を投入する。思ったより上手く炒められたが、時折ジャガイモを潰した勢いで鍋を揺らしすぎる場面も。
「じー、火が強すぎる!」
「ふむ……調整するの」
「さっきより良くなってる!」
「これなら……いけるかも」
炒め終えた具材を潰したジャガイモと混ぜ、成形へ。最初は形がバラバラだったが、次第に統一感が出てきた。
「ふむ……きれいな形になったの」
「揚げるのは任せて!」ニックが腕をまくる。
油を熱し、成形したコロッケを順番に投入。じーはじっと見守る。
「ふむ……おいしそう」
「いい感じに揚がってる!」
「カリカリ……食べたい」アムがじっと揚がるコロッケを見つめる。
「もう少し! 仕上げにパン粉をまぶして……」
サクッとした音を立て、黄金色に輝くコロッケが完成した。
「できたの!」
「ついに……完成!」
一同、並んだコロッケを見て、達成感に包まれた。
「ふむ……美しい」
「黄金の……コロッケ!」
こうして、仲間たちが協力して作り上げた黄金のコロッケが、ついに完成したのだった。




