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パンギンの冒険  作者: じー店鳥
第5章 新たな試練
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伝説のペンギン

氷の山にたどり着いたじーたち。寒風が吹きすさぶ中、ひよはガタガタと震えながら叫んだ。


「さ、寒い! なんでこんな寒い場所に来るのよ!」


「なるほど、確かに寒い」じーが頷く。


「お前、毛皮あるから平気だろ」とニックがツッコむが、じーは「そうとも言う」と特に否定しなかった。


レンとアムも防寒対策が甘かったのか、「寒すぎる……」と小さく震えている。


「このままだと凍えるな……」


ひよが魔法を使おうとした瞬間、じーは黙ってアイテムボックスを開いた。そして、何かを取り出す。


「……これが役に立つとはな」


「何それ?」


「パンダ師匠がくれた『パンギンスーツ』だ」


「は?」


次の瞬間、じーはモフモフの着ぐるみのようなものを広げた。まるでパンギンの毛皮のようなふわふわした質感。


「防寒対策だ」


「いやいや、ちょっと待って!」ひよが慌てて手を振る。


「防寒って……着ぐるみ!? もっと魔法的な防寒具とかないの!?」


「あるが、これは特に暖かい」


「モフモフ……」アムの目がキラリと光る。


「ちょっと可愛いかも……」レンも興味津々だ。


「俺の分もあるのか?」ニックが聞くと、じーは無言で別のパンギンスーツを取り出して手渡した。


そして——


「うわぁ……ぬくい……」


「これ……最高では?」


「モフモフモフ……」


全員、着ぐるみ姿のパンギン集団になっていた。


「ちょっと待って! なんでみんな素直に着てるのよ!? こんなの……こんなの……」


ひよはスーツを手に取って少し悩んだが、寒さには勝てず……結局着た。


「……あったかい」


「だろう?」


こうして、じーたちは見た目まで完全にパンギンになりきった状態で、伝説のペンギンのもとへ向かうこととなった。


伝説のペンギン登場! しかし……


じーたちは険しい氷の道を越え、ついに伝説のペンギンと対峙した。


「……いたぞ」


目の前に立ちはだかるペンギンは、凛々しくも堂々とした姿だった。鋭い眼光に、風格を漂わせるその佇まい。


まさに伝説の存在——


「えっ……」


レンとアムの動きが止まった。


「なにあれ、モフモフ……」


「やばい……触りたい……」


「え、ちょっと!? 戦うんだからね!?」 ひよが焦るが、レンとアムはペンギンにじりじりと近づいていく。


ペンギンもペンギンで、じーたちをじっと見つめた後、小さく呟いた。


「……お前たち、なぜそんなにパンギンなのだ?」


じーは「なるほど」と頷いた。


「パンギンスーツを着ているからだ」


「パンギンスーツ……?」


「そうだ」


「なんだそれは?」


「パンダ師匠がくれた」


ペンギンはじーたちの姿をじっくりと観察し、困惑したように首を傾げた。


「つまり、お前たちはパンギンではなく、パンギンスーツを着た者たちということか?」


「そういうことだな」


「……つまり、モフモフなのは偽物……?」


「モフモフは本物だ」


「…………」


ペンギンはしばし沈黙した後、一歩前に出た。


「触ってもよいか?」


「よい」


ペンギンはじーの腕をモフモフと撫でる。


「…………」


「…………」


「……確かに、モフモフは本物のようだ」


「そうだろう」


「これは……悪くない」


「だろう?」


ペンギンは神妙な顔でじーたちを見回し、結論を下した。


「お前たち、戦う前にひとつ言っておこう」


「なんだ?」


「……私もパンギンスーツがほしい」


「…………」


「…………」


「え、ちょっと待って!? なんでそうなるのよ!」ひよが叫ぶ。


「パンギンスーツは一着しかないのか?」


「あるが、お前のサイズはない」


「そんな……」


ペンギンは肩を落とし、じーをじっと見つめる。


「……それならば、せめてモフモフさせてくれ」


「許可する」


こうして、戦うはずだった伝説のペンギンがじーたちが、ただひたすらモフモフする風景が広がった。

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