連携??
「ちょっと待ちなさいってばーーー!!!」
戦場に響く私、ひよの悲鳴。今日もパーティの戦闘は大騒ぎだ。魔法使いのレンさんとアムさんが新しく加わったことで、これからは安定した戦闘が期待できる…と思っていたのに、何この大惨事!
「エンシェントスペル!」
「スターブラスト!」
レンさんとアムさんが次々と繰り出す超強力な攻撃魔法。確かに火力はすごい。魔物はどんどん吹っ飛んでいくし、物理攻撃に頼っていたじーやニックも大喜びだ。でも、これが問題!
「だから! 範囲攻撃を使うなら周囲を確認してって言ったでしょー!?」
魔法の爆風に巻き込まれる寸前で治癒魔法をかけたり、毒をくらったじーを回復したり。もう、てんてこ舞いもいいところだ。
その上じーとニックは相変わらず前衛で突っ込むだけ突っ込む。デバフにかかったまま戦い続けるし、敵に囲まれても気にしない。その後ろでレンさんとアムさんが容赦なく大魔法を連発。みんな勝手に突っ走るんだから、もう私の手が足りない!
やっとのことで戦闘が終わり、モンスターを全滅させたけれど、こっちは疲労困憊。はあ、これじゃ私の魔力がもたない。
「はい、全員正座!」
戦闘終了後、私は全員をギルドの休憩所に集めて正座させた。じーもニックもレンさんもアムさんも、みんな床に正座して私を見上げる。
「まず、じーとニック! デバフくらいまくりでそのまま戦うのはやめなさい! 状態異常が治らなかったら、あのまま倒れてたかもしれないのよ!」
じーは「ごめん、僕、熱中しちゃって」とキョトン顔で謝り、ニックは「つい力が入っちゃった」と苦笑い。もう、反省してるのかしてないのか。
そして、魔法使いのお二人。
「レンさんとアムさん! 範囲攻撃を乱発するのは控えてください! 味方にまで影響が出るって言ったじゃないですか!」
レンさんは「いやー、前衛がしっかりしてると、つい本気出しちゃってさ」とケラケラ笑い、アムさんも「攻撃が通りやすくて楽しくなっちゃった」と悪びれない様子。火力は抜群だけど、さすがに無茶が過ぎる!
「でもね…」
私はため息をつきながら言葉を続けた。
「みんなの火力、すごかった。うまく連携できれば、もっと強い敵にも挑めると思うわ。」
じーとニックは「うん、次はもっと考えて動くよ!」と反省しているような顔でうなずき、レンさんとアムさんも「連携かー、面白そう」とやる気満々。
「じゃあ、次こそはちゃんと連携して動くって約束ね。」
私がそう言うと、全員が元気よく「はい!」と答えた。