魔法使いアム
私の名前はアム。レンと一緒に旅をしている魔法使いの片割れだ。
私たちは幼い頃から魔法を学び、今では高度な攻撃魔法を自在に操れる。どんな魔物も一撃で粉砕する自信があるけど、どうしても私たちだけでは足りないものがあった。それは前衛の守り。
レンも私も守りは苦手だ。私たちは攻撃のために全力を注ぎたいけれど、前に立ってくれる仲間がいないと、どうしても思い切り戦えない。これまで何度も仲間を探したけど、「これだ!」という人には巡り会えなかった。
そんな時、冒険者ギルドから知らせが入った。
「前衛が2人、後衛が1人のパーティが、あなたたちと組みたいと連絡をくれましたよ。」
受付の人の言葉を聞いた時、思わずレンと顔を見合わせて、「これでやっと…!」と期待で胸が膨らんだ。
それから数日後。ギルドで例のパーティが到着したと知らされ、私たちは急いで受付に向かった。案内される途中、少し緊張していたけど、レンが「まあ、どんな人たちか見てから考えよう」と笑ってくれたので少し落ち着いた。
そして出会った彼らは…想像以上に面白いパーティだった。
「えっ、何この可愛い生き物!」
真っ先に目に飛び込んできたのは、モフモフで小さな生き物。まんまるの顔にペンギンのような体型。じっとこちらを見つめている。
「君たちが僕たちの新しい仲間?」
その可愛い生き物、じーと名乗るらしい。どうやら彼がリーダーらしいが、その可愛さに私は完全に魅了されてしまった。レンも隣で「モフモフすぎる」とつぶやいている。
他のメンバーもなかなか個性的だった。ニックという男性は、いかにも頼れる戦士という雰囲気だが、明らかに女性が増えたことに喜んでいる様子が見え隠れしている。そして、僧侶のひよさん。優しそうだけど、しっかり者の雰囲気を持つ彼女は、私たちと同じ後衛として力になってくれそうだ。
自己紹介がひと通り終わると、じーがどこからかコロッケを取り出して、私たちに振る舞ってくれた。
「これ、僕の特製コロッケなんだ!」
サクサクでホクホクのコロッケは、とても美味しかった。
「じゃあ、早速冒険に行ってみましょうか!」
ひよが声を弾ませると、全員が笑顔でうなずいた。私もレンも、久しぶりにワクワクした気持ちになった。
こうして、私たちは新しい仲間とともに冒険に向かうことになった。