足りないもの
じーたちのパーティは、ひよの提案でフォーメーションを見直し、戦闘中の役割分担がある程度形になってきた。しかし、ひよがふと呟いた言葉が、さらなる議論を巻き起こすきっかけとなった。
「私たち、今のままで本当に十分かしら?」
ニックが腕を組みながら答える。
「どういうことだ?」
「確かに、私たちには前衛のニックさん、オールラウンダーのじー、そして後衛の私がいるわ。でも、攻撃手段が偏っている気がするの。ニックさんもじーも物理攻撃が主体でしょ?もし物理攻撃が通じない敵が出てきたら…。」
ひよの指摘に、ニックはうなずきながら「そうか」と呟き、じーも耳をピコピコ動かしながら考え込む。
「確かに、僕は野菜を投げたり、武器代わりに使ったりしてるけど、魔法は使えないしなぁ。」
「ひよ、君は攻撃魔法は使えないのか?」
ニックが尋ねると、ひよは首を振る。
「回復魔法や補助魔法は得意だけど、攻撃魔法はあまり練習していないの。少しはできるけど、主力にはならないわ。」
3人は顔を見合わせた。確かに、今後物理攻撃が通じない敵や、大量の敵に囲まれた場合には、攻撃魔法を使えるメンバーが必要になる。
「やっぱり、攻撃魔法を使える仲間を探した方が良さそうだね。」
じーがそう言うと、ニックも大きく頷いた。
「よし、魔法使いを探すか。」
ひよが冒険者ギルドで情報を集めたところ、ここからさほど遠くない街で、パーティメンバーを募集している魔法使いがいるという話を聞きつけた。それも、一人ではなく二人組だという。
「魔法使いが二人も?これは心強いわ。」
ひよが目を輝かせると、ニックも笑顔を浮かべた。
「俺たちにはうってつけの仲間かもしれないな。すぐに連絡を入れよう。」
「連絡した上で、その街に向かおうよ!」
じーの言葉に、ニックとひよも同意し、ギルド職員を通じて連絡を取った。
こうして、じーたちは魔法使い達が待つ街へ旅立つことになった。