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パンギンの冒険  作者: じー店鳥
第3章 ひよ
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フォーメーション

パーティのフォーメーション会議


パーティの人数が3人になったこともあり、冒険者ギルドを後にした帰り道、ひよが真剣な顔で口を開いた。


「そろそろ、ちゃんとしたフォーメーションを考えるべきだと思うの。」


ニックは「お、来たか!」という感じで腕を組み、じーは相変わらずキョトンとした顔で耳をピコピコ動かしている。ひよは咳払いをして説明を始めた。


「基本的には、前衛が敵を抑えて、中衛や後衛が火力を集中させる形が理想よ。ニックさんは前衛で盾兼アタッカーとしての動きが完璧だし、問題はないわ。」


「お、ありがとな!」

ニックが軽く笑って応じる。


「でも、じーは…」

ひよはじっとじーを見つめた。


「ん?僕?」

じーが首を傾げる。


「じーって、どう動いてるの?」

「うーん、特に考えたことないかも?敵がこっちに来そうだなーって思ったら叩いたり、敵が遠い場合は投げたりしてるかな!」


ひよの顔が微妙に引きつる。

「…投げたり?叩いたり?」


「うん!」

じーが自信満々に頷く。


「何を投げたり叩いたりしてるの?」

「ジャガイモ!」


その答えに、ひよは思わず声を上げた。

「ジャガイモ!?」


じーはさらにニコニコしながら説明を続ける。

「農園で育てたジャガイモだよ!この間のやつなんて、敵を倒すのにいい感じだったし。硬くてよく飛ぶんだ。」


ひよは頭を抱えた。

「待って、ちょっと整理させて。あなた、ジャガイモで戦ってるの?」


ここでニックが助け船を出す。

「まあまあ、驚くよな。でもじーのジャガイモ、めちゃくちゃ硬いんだぜ。下手な武器より強いっていうか。」


ひよは疑いの目を向けつつ、じーに問い詰めた。

「そのジャガイモ、どこから出してるの?戦闘中でもご飯のときでも、すごく自然に取り出してたけど。」


じーは「これだよ!」と嬉しそうに、自分のポーチから一つの袋のようなものを取り出した。

「アイテムボックス!これ、パンダ師匠がくれたんだ。中にいっぱい食材とか料理が入ってるんだよ!」


ひよは驚愕の表情を浮かべ、アイテムボックスから取り出されたジャガイモや人参を手に取る。その硬さに目を見開いた。

「これで敵を叩いてたのね…。確かに硬すぎて武器みたい…。」


ニックが笑いながら付け加える。

「だろ?あいつ、ジャガイモで敵を吹っ飛ばしてるの見たときは、俺もびっくりしたぜ。」


ひよは一旦深呼吸して気持ちを落ち着けた。

「…わかったわ。じーはオールラウンダーなのね。近距離でも遠距離でも、火力がすごいのは確か。じゃあ、これまで通りじーをサポートする形でフォーメーションを組みましょう。」


「おおー!」

「それが一番だな!」


じーとニックが声を揃えて頷く。ひよは呆れたようにため息をつきつつも、口元には少し笑みが浮かんでいた。


「本当に、あなたたちには振り回されっぱなしね。でも…悪くないわね。」


そう言うと、ひよは軽く杖を掲げて微笑んだ。そして3人は、新たな冒険に向けて歩き出した。

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