僧侶ひよとの出会い
ギルドのドアを開けた瞬間、僕たちを呼び止める職員さんの声が響いた。ニックと一緒にカウンターに向かうと、そこには小柄な女の人が立っていた。いや、小柄だけど、どこかしっかりした雰囲気をまとった人だった。
彼女の名前はひよ。クレリックだっていう。
「じー、あの人が俺たちの新しい仲間になるかもしれないってさ。」
ニックが僕に耳打ちしてきた。
ひよは職員さんと話し終えると、僕たちに向き直った。
「あなたたちがパーティを組む相手…ですか?」
その言葉に少しキョトンとした顔をして僕を見る。なんだか視線が僕の体のモフモフをスキャンしているみたいで、少し恥ずかしい。
「えっと、僕、じーっていいます!モンスターじゃないです!」
慌てて自己紹介すると、ひよはクスッと笑った。
「…かわいい。」
小さく呟いた声が聞こえて、僕の耳がぴょこっと立った。なんだか嬉しい。
ひよを加えた僕たちは、すぐにモンスターと遭遇した。最初の冒険だ。気合を入れてやってやる!
ニックが大剣を振り回し、僕も全力で突撃。だけど、モンスターの攻撃を受けて「しまった」と思ったそのとき、体がふわっと軽くなった。傷が消えてる!?
「え、なんだこれ!?」
振り返ると、ひよが杖を構えながら呪文を唱えていた。
それだけじゃない。毒を受けたときも、ひよの魔法でスッと解消される。僕はそのたびに感動して、もっともっと本気を出したくなった。
「ひよがいれば無敵じゃないか!」
ニックも同じ気持ちだったらしい。
「ひよ、最高だな!もっと回復頼むぜ!」
2人でガンガン突き進む中、後ろからひよの声が響いた。
「ちょっと待ってってば!回復するにも限度があるの!」
戦闘が終わったあと、ひよに呼び止められた。
「じー!ニックさん!正座!」
僕たちは言われるがまま、正座して地面に座り込む。ひよは腕を組み、怒りを抑えた声で話し始めた。
「無茶しすぎ!特にじー、あなた動きが速すぎて、何回回復魔法を打ったと思ってるの?」
僕は耳を伏せて、小さくなりながら謝った。
「ごめんなさい…でも、ひよがすごいから、つい調子に乗っちゃって。」
ひよはため息をついてから、少し微笑んだ。
「まあ、私がいる限りはなんとかするけど、次からはちゃんと考えて動いてね。」
反省しながらも、僕はひよに心から感謝していた。傷や毒が消えるたびに感じた万能感。そして、仲間がいることでこんなにも冒険が変わるんだってことを初めて実感した。
「ひよが加わったおかげで、僕たちの冒険がもっと楽しくなりそうだ!」
僕がそう言うと、ひよは少し照れたように微笑んだ。
こうして、僕たちは新しい仲間を迎えて、また次の冒険へと歩き出したんだ。