次の街へ
冒険者ギルドに登録してから、僕とニックの旅はめちゃくちゃ楽しいものになった。最初は手探り状態で、動きがちぐはぐなことも多かったけど、次第にお互いの得意分野が見えてきて、いい感じに連携が取れるようになったんだ。
例えば、森でオオカミの群れに囲まれたとき。ニックが軽く剣を構えて「じー、右を頼むぞ」って声をかけてくれたんだ。僕は無言で頷いて、ニックの意図を察しながらモンスターを引きつけた。その間にニックが素早く仕留めるって作戦だったけど、あの時の連携は我ながら完璧だったね。お互い言葉を交わさなくても動けるようになったってのは、成長した証拠だと思うんだ。
そんな冒険を繰り返すうちに、依頼をこなすスピードも速くなったし、ギルドでも少し名前が知られるようになってきた。もちろん、ニックとはすっかりマブダチみたいな関係になって、夜の焚き火で語り合う時間が僕のお気に入りのひとときになったよ。
ただ、最近はちょっと物足りなくなってきたんだ。
この街の周辺で受けられる依頼はほとんど終わっちゃったし、出てくるモンスターも見慣れたやつばっかり。最初は刺激的だった冒険も、今ではどこか日常の延長みたいに感じてしまう。
そんな夜、焚き火を囲んでいたとき、ニックがぽつりと言ったんだ。
「なぁ、じー。この辺も飽きてきただろ。次はもっとデカい街に行こうぜ」
「もっとデカい街?」
僕が聞き返すと、ニックがニヤリと笑って続ける。
「そうだ。ここよりもっと冒険者が集まる場所だ。新しい依頼も多いだろうし、仲間を増やすチャンスだってある。お前、世界を救うんだろ? 仲間を集めるなら、そういう場所が一番だ」
その言葉に、僕の心は一気に高まった。確かに、新しい街にはまだ知らない冒険が待っているはずだし、そこで出会う人たちが仲間になるかもしれない。想像するだけでワクワクしてきた。
「いいね! 行こう!」
僕が即答すると、ニックは嬉しそうにうなずいて「決まりだな」と一言。
翌朝、僕らは荷物をまとめて新しい街に向かって旅立った。ニックの話によると、次に向かう街はこの辺りで一番大きい場所らしい。行商人や冒険者が集まるだけじゃなく、美味しいものや珍しい道具も手に入るんだとか。
「仲間も増えるかもしれないし、食べたことないものにも出会えるなんて最高だな」
僕が言うと、ニックは少し笑いながら「お前、本当に冒険を楽しんでるな」って言った。
新しい街で、どんな出会いや冒険が待っているんだろう? ニックと僕の新たな旅は、さらに盛り上がりそうだ。