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39 新たな敵?

「どちら様ですか?」と尋ねようとした時、アラスター王太子がウォーレンを連れて騎士達をかき分けるようにやってきた。


「キャサリン嬢、こんな所に閉じ込めてしまって申し訳ありません」 


 私に手を差し出してきたところで、私の前にいる男性に気が付いた。


「サリヴァン侯爵、どうしてこちらに?」


 もしかしたらとは思っていたけれど、やはりこの人がサリヴァン侯爵だったのね。


「いえ、我が国の不手際で罪のないキャサリン様をこのような場所に連れてきてしまいましたからね。それにキャサリン様にはどうしてこのような事態に陥ったのか説明をする義務がありますのでこちらにお迎えに参った次第です」 


 サリヴァン侯爵は笑顔を浮かべているけれど、目が全く笑っていないわ。


 アラスター王太子もサリヴァン侯爵に厳しい目を向けているけれど、何も言わずに私の手を取った。


「キャサリン嬢、こんな所に長居は無用です。お部屋に…」


 そこへまた、大勢の人が地下へと降りてくる足音と喚くような声が聞こえてきた。


「貴様ら、何をする! 私をこんな所へ連れてきて良いと思っているのか! さっさとこの拘束を解くんだ!」


 あの声は…?


 聞き覚えのある声だと思っていたら、やはり現れたのはこの国の宰相だった。


 両手を拘束されて騎士達に両脇を挟まれるようにしてこちらへ連れて来られる。


「何故、この女が牢獄から出されているんだ! こいつが犯人だと言っただろう!」


 宰相が唾を飛ばしながら私を凶弾するが、その一言で私は確信した。


 ブリジットだけではなく、宰相もグルだったのね。


 そう確信したのはアラスター王太子も同じだったようで、ギロリと宰相を睨みつける。


「お前が、キャサリン嬢を…」


 宰相に掴みかかろうとしたアラスター王太子をウォーレンが後ろから押し留める。


「アラスター様、いけません。第一キャサリン様の御前ですよ」


 その言葉にハッとしたようにアラスター王太子が私を見る。


 私のために怒ってくれるのは嬉しいし、出来れば私だって一発お見舞いしたいけど、それは今じゃなくてもいいわね。


「サリヴァン、貴様ぁ…」 


 宰相はアラスター王太子の横にいるサリヴァンをも睨みつけるけれど、すぐに騎士達によって奥の牢獄へと連れて行かれた。


「まさか、父上を殺害したのはブリジット様と宰相なんですか?」


 騎士達に連れて行かれる宰相を見送った後、アラスター王太子はサリヴァン侯爵に詰め寄っていた。


 その顔には困惑の色が隠せないでいるのが見て取れた。


 私自身も何が何やらさっぱりだ。


「それについてお話をさせていただきたくてこちらにキャサリン様をお迎えにきたわけです。アラスター様もお呼びするつもりだったので、こちらに来て頂いてちょうど良かったですよ。私について来て頂けますか?」 


 サリヴァン侯爵に言われて私はアラスター王太子の方を見やった。


 この人をどこまで信用していいのか分からないけれど、私を牢獄から出してくれた以上、ついて行くしかないだろう。


 アラスター王太子も私を見つめて渋々といった感じで頷いてくれる。


「わかった、一緒に行こう。それでどちらへ行けばいいのかな?」


「ご案内いたします」


 サリヴァン侯爵が騎士達を連れて歩いて行く後を私はアラスター王太子にエスコートされて続いた。


 ウォーレンも私の後に続いて歩き出す。


 地下から階段を上がって一階に辿り着くと、サリヴァン侯爵はそのまま後ろも振り返らずに歩いて行く。


(あら? こちらの方角は…) 


 最初にこの王宮に来た時に呼び出された国王陛下の執務室がある方角だ。


 だとするとサリヴァン侯爵が行く先は国王陛下の執務室なのかしら?  


 それとも、その近くにある別の部屋なのかしら?


 判断のつかないまま足を進めていくと、サリヴァン侯爵が足を止めたのはやはり国王陛下の執務室だった。


 扉の前に立っていた騎士が扉をノックして私達が到着した事を告げると、「入れ」と言う声が聞こえた。


 今の声は?


 まさか!?

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