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エリーヌ゙が斬る  作者: 中島
0章
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0章-5

 選挙運動開始から3日目、獣人だらけであった観客の中に、人間の観客もぽつぽつと現れ始めた。


 獣人が前の方を牛耳るせいであまり目立ってはいないが、人間の観客もいないことはないのである。


 エリーヌがいつものごとく演説していると、人間から「がんばってください」という一言が届き、すぐさま「ありがとうございます」と返した。


 相変わらず、エリーヌに対する獣人の視線は冷たいが、決して挫けることはなかった。ここで挫けたら、絶対に政治家にはなれないということが分かっているからである。


 エリーヌが何故政治家になりたいのかと問われれば、大きくは「人間の地位を上げ、不当に扱き下ろされる人間を減らしたい」からである。


 簡単に説明すると、自身が獣人であるというだけで人間相手に高圧的な態度をとる獣人を減らし、人間が人間として胸を張って生きることが出来るような世界を創りたいのである。


 エリーヌが演説していると、横に「種族による差別のない世界」というマニュフェストを掲げているロイという元副総務である獣人がいた。


 「種族による差別のない世界」という目標を掲げておきながら、公務員に30%の獣人枠を導入し、人間を生活苦に追いやっていった張本人だ。相変わらず口先だけは一丁前である。

 

 「私が目指す世界は、種族による差別のない世界です。今現在この世界には、人間だという理由で不当な扱いを受け、生きづらさを感じている人間がたくさんいます。

 私はそういった方々に寄り添い、不当に悲しむことのない世界を作っていきます。どうぞよろしくお願いします」


 と演説すると、大多数の獣人からは拍手と大歓声が送られたが、一部の獣人と人間は冷たい目線で彼の演説に応えた。

 ロイの演説が終わると、負けじとエリーヌも


 「この世界は獣人というだけで不当に優遇され、人間というだけで不当に冷遇されています。こんな理不尽、許されてよいのでしょうか。私は人間も獣人も、個人の実力で決まる世界を望みます」


 と演説するが、獣人は全く拍手を送らず、人間がただ拍手と歓声を送るだけであったが、獣人の舌打ちが拍手と歓声に勝ってしまったので、ただただ拍手の代わりに舌打ちが鳴り響くだけであった。

 

 鳴り響いた舌打ちは、時計の秒針のように精密でうるさかった。というのも、1秒おきに獣人が舌打ちし続けるのだ。


 その音を聞いたロイが「ご静粛に」と咎めたら、すぐさま観客は舌打ちを止めた。もしエリーヌや他の人間が咎めていたら、「うるせー。我々の邪魔すんな仕切り野郎」と返されていたであろう。それくらい、人間に対する態度と獣人に対する態度は違うのである。

 

 この世の風潮を考えると、当然のことではあるのだが、エリーヌ゙含めた人間からすれば少し違和感が残るのである。


 こうして3日目の演説を終えた。知名度が高いこともあってかロイに支持が殺到し、街を歩く者の中には「とりあえずロイに投票しようかな」という声が沢山挙がった一方、「絶対ロイには投票しない」という声も一定数挙がっていた。有名人たる所以だろう。


 ロイの他にもウレーニャ、エリーヌの両名を支持する声も一定数挙がっているが、ロイを支持する声ほど大きくは無かった。


 現状、この2人が当選する可能性も無い訳ではないが、現状ロイが一歩リードしている状況である。この二人であればどちらの方が有利かと問われると、獣人であるウレーニャに分があると答えるだろう。

 

 その他にも5人の立候補者がいる訳だが、その5人の立候補者はほぼ名前すら挙がらなかったので、当選する可能性はほぼないとみて切り捨てて良いだろう。


 最終日までまだ時間はあるが、とりあえず3人に絞っても良さそうではある。ここから、注目すらされない立候補者が大逆転して当選などほとんど、いや絶対あり得ない話だからだ。


 

 

 

 




 

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