継続の茶会
この授業も、最初から机に突っ伏しておいた。昼夜が完全に逆転してくれていたら、それが一番ありがたいのだが、そう都合よくはいかないらしい。ただの寝たふりだ。たまに頭を動かして、暗がりから目を凝らしてみると、さすがに誰も寝ていない。中学校の復習みたいな内容の授業を、よくそんな顔で受けてられるな。
背中を刺すような痛みが走る。そこをさすりながら巨人のように起きると、何だかよくわからないが、とても優雅な花の香りが漂ってくる。ビニール袋に入れ、花園の空気としてぜひ販売したいものだ。
「今日はジャスミンで香りを加えてみました。どう?」
「どうって……、この、シャチに狩られそうな今の私たちをどうにかしてくれたら、飲んであげてもいいけど」
授業中にティータイムを始めたら、注目の的になるに決まっている。しかし、そんなことお構いなしに、真朱帆は紅茶を近付けてくる。そのまま強引に流し込まれても困るので、ティーカップを手に取り、また少しずつ慣らしながら、その紅茶を飲み込んだ。
クラスで話せるのは、というかこんな負のオーラをまとった人間に話しかけるのは真朱帆ぐらいしかいないので、なし崩し的に弁当を一緒に食べさせられた。
「ずっと紅茶飲んでるけど、トイレ行きたくならないの?」
「行きたくなったら行けばいいんじゃない。ここはお嬢様学校じゃないんだし」
「ふーん、そう言えばこのプリント何」
「何も聞いてなかったのね……。英語のプリントは明後日の授業までの課題、数学のほうは自信がないなら解いてみて、だってさ」
「へー、すごいすごい」
「それより、数学の実力テスト、やっといたからからね。ふっふーん」
「え、テストまで?」
「もちろん、たぶん満点だよ」
「あー、お節介焼きってよく言われない?」
「そこ?気になるの」
「そんななりで、とんでもなく馬鹿だったら、恥ずかしくて生きていられないでしょ」
せめて後ろの席の人間ぐらい、ぶっ飛んでいてほしくはなかった。いい人なんだろうが、その優しさが怖くて、あんまり自分から近付きたくないタイプである。あっ、食後にも紅茶を叩き込まれた。