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2章‐9:聖獣様は貴族のペット

ソラはまだ1歳にも満たない。

しかし今は大型犬並のでかさにまで成長した。

成長速度が半端ない。

もし俺がソラと山の家で生活をしていたら、ソラは玄関に突っ掛かると思う。

それよりも今の悩みと言えば、まぁたくさんある。

数えたらキリがないとまではいかないが、その前に悩みなんか数えたくない。

そもそも悩み数えたい人なんていないけど。





「どうした?ケリア。あまり食べていないな」

これはこの家の長男にして当主のウィーグルスさん。

マックさん同様とても優しい人だ。

「いや…そんなことないですよ」

そうして目の前の銀食器から肉を取り、パクリと口に入れた。

う……。

油っこい……。

「ケリア兄様、無理して食べなくてもいいのよ?」

これは末っ子のミムア。

この家唯一の子供にしてそして女子。

更に言うと、俺の悩みの種の1つでもある。


マックさんはこの朝食の場にはいない。

俺がこの家に養子に入ってすぐに、マックさんとギャレンシア皇女の婚約が決まった。

だから今日は王家にお呼ばれされてるって訳だ。

まぁそれはいいとして。

ソラはというと…。


「残したらぜーんぶソラが食べてくれるわ」

俺の隣の床で、そりゃもうガツガツと食っています。

こっちの食欲が全て削がれる感じ。

前は微笑ましかった光景がこうも変わってしまうというのは…なんかこう…、説明し難い。

「ソラが大きくなるにつれてケリアが痩けてしまうなぁ」

ははははは。

って全然笑えませんよ、ウィーグルスさん…?

なんかリアルなんですけど…。

ソラ。

お前はそれ以上大きくなってどうするんだよ。

俺にだって手が負えなくなるぞ!

いや、最初から負えてないような…。

うん。

考えるのをやめるべきだな。

人間切り替えが大切。


「今日は聖研の人が来るのだったか」

ウィーグルスさんが食後の紅茶に口をつけた。

さすが貴族。

食後に(しかも朝食)紅茶をすすり、それが見事に絵になる。

俺もこうなるのかなぁ。

今はまだ庶民っぽさが残ってるけど…、………、今は今ということで。

「はい。たぶん午後に」

「午後か…。生憎これから仕事が入ってしまっていてね。当主でありながら客人を迎えることができそうにない…」

でやっぱり根が真面目。

いや、根っからの真面目。

ここは兄弟の血は争えないってやつ。

「いやいや、どうせ来るのはカスティーダだと思いますから…。ウィーグルスさんはお仕事頑張ってください」

ウィーグルスさんは「ん?」と首をひねった。

逆に「ん?」ってなるんですが…。

俺に何か不満ですか!?

いや、不満だらけでしょうけど!

未だに庶民臭さプンプンですいません!

ソラ共々。

だってソラの食べ方ったらない。

貴族のペットらしからぬがっつき方なんだもん。

親としての教育はまだまだ行き届いていない。


「まだ『さん』を付け続けるつもりかい?」

あ。

あー…。

そうでした、はいはいそうでしたっけね…。

「ウィーグルス兄さん…」

そうそう、それでいいんだよ。

はははは。

………。

ウィーグルスさん…兄さんはよく笑う。

しかもツボがいまいち掴めないので、狙って笑いを取ろうとすると痛い目に合う。

これはマックさん…兄さんのを見て学んだ。

「ミムアのことは呼び捨てに出来ているのになぁ」

…痛いとこつくね、ウィーグルス兄さんよ。

口には出さないけど、ミムアってソラに似てるんだよね。

力任せに腹に飛び込んでくるとことか(本気で咳き込んでその場では謝るのに、次の瞬間には忘れてまたやるとこも)。

妙に人懐っこいと思ったら俺限定だったりとか(自信過剰ではなく)。

熟睡するとなんの夢を見てるのか、口をパクパクさせて金魚みたいなとことか(たぶんソラはご飯のことだろうけど)。

挙げだせばたくさん出てくる。

間違っても口には出さないよ?

ミムアは怒ると引っ掻くから。

これもソラと似ているとこか。

しかもそんなとこ似なくてもいいのに、初めて引っ掻かれたのはカスティーダだったりする。

どんまい。

もういっそのことキャラを変更したらどうだろう。

これはカスティーダが来たら言うことにしよう。


「ケリア兄様は私のことを好きなんですもの。ね?」

ね?って…。

好きか嫌いかと言われれば好きだけど、たぶんミムアの好きとは明らかに違うような…。

「私もケリア兄様が大好きだもの!」

う、うん…。

ありがとうだけど、素直に言えないありがとう。

「私、将来はケリア兄様と結婚するのよ!」

はい、その宣言いらなーい。

反応にめっちゃ困りまーす。

はははは。

ってそこでウィーグルス兄さんも笑わない!

笑い事じゃないんだから!

本気で俺困ってんだからね!

「ミムアをよろしくな」

…って違うだろー!!



てな感じで、ぼちぼち大変な俺。

結局どこにいても大変な俺。

お前のせいだぞソラ。

「ぐぅ?」

こういう時だけ無垢な目をするな!

厳禁な奴だな…。

そんなふうに育てた覚えはありません!

母さんは断じて許しません!

………。

…もういいよ。

虚しいわ。

ばかやろう…。

こんちくしょう…。

俺の運はいずこ?


2章が始まりましたー!

と、初っぱなから聖獣様の出番が…。

次は本当に本当に出番があります!本気です!

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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