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7:聖獣様も起床

「私はギャレンシア。あなたは“フェニアース”の親のケリアね?」

うっわぁ…。

すごい上から目線。

皇女様だから仕方ないんだろうけど…。

でもあくまで俺が養子縁組求められてる側だからね?

内容的には俺の方が強いんだよ?

「は、はい。よろしくお願いしますっ」

と思いつつの俺の態度はコレ。

自分で言うのもなんだが、とーっても情けない…。





ソラは抱っこしたり自分で飛ばせたり歩かせたりして、一緒に連れてきた。

そりゃそうだ。

本当のメインはこいつなんだもん。

俺のモテ期を返せ。

と、なかなか根に持ってたりする。


そしてカスティーダも連れてきた。

1人で城まで行くなんて心臓に悪い。

まだまだ死にたくはないよ、俺。

このギャレンシア皇女の前にいると生きた心地はないけども…。


ギャレンシア皇女はがっつり胸元があいた赤のドレスを着ている。

見ただけで、

「あ、この人強い」

って分かるような格好だ。

なんか自信あり気な表情してるし…。

俺断りに来たつもりなんだけど…。

だって王家だよ?

王様と同じ家系に入っちゃうんだよ?この俺が。

いやいや、自分を卑下してるとかそんなんではなく、ただなんとなく

「まずいだろう」

みたいなね!

目的がソラってのは分かってるけど、その親って重大なんだよ。

これ、実体験だからマジな話。


ギャレンシア皇女の横には、これまた豪華な服を着なすった男性がいる。

この人はいったい誰だろう?

たぶん服装からするに、上流階級なのはまず間違いないと思うけど…。

「そちらが“フェニアース”ね?」

ソラからは緊張感のカケラも感じられない。

俺の腕の中であくびしてやがります。

俺が緊張してんだから、お前も少しぐらいしろよ。

ということで、カスティーダの仮説はやっぱりハズレた。


「触ってもいいかしら?」

えっ!?

「い、いや…。それはやめた方が…」

皇女様は心外だと言わんばかりの顔を覗かせた。

俺は皇女様のことを思って言っただけで、別に意地悪してるとかじゃない。

カスティーダのみみずばれの二の舞にしないためだ。

カスティーダはともかく、皇女様にそんな経験はいらないだろうし。

「危ないと思います…」

「危ない?」

皇女様の片眉がピクリと反応した。

あわわわ!!

なんかご機嫌ななめ!?

これって確実に俺のせいだよね!?

「あなたには随分懐いてるようだけど?」

お、おぅ…。

いやぁ、そりゃあ、まぁ…。

「それは…、おれ……私が親だからだと…、思いますです…、はい…」

自分これ何キャラだ?

自分で言っちゃうけど、俺痛いよ?

つうか、そこで固まってないでちょっとは助けてよ、カスティーダ!

そんな目線を半歩後ろのカスティーダに向けると、あろうことか目を反らされた。…この前のあの覚悟はどこいった?

弱虫って呼ぶぞ。


「まだ子供でしょう?」

うっ…。

そ、そうなんだけど…。

そうだけど、まだまだ未知数なんだ。

ソラの強大な力とやらは。

「い、いや…。その…」

頼む、助けてよカスティーダ…。

って目をそらすなぁ!!


「ギャレンシア皇女、その辺にしてあげてください。なんだかかわいそう…」

助けてくれたのは皇女様の隣の上流階級の男性だった。

でもなんでそれが哀れみの言葉に聞こえるんだろう…?

俺、やっぱり弱々しく見えるのかなぁ?

今はやりの「草食系男子」っていつか誰かに言われた気がする。

よくよく考えると、誉め言葉ではない気が…。

……考えるのをやめよう。

「かわいそう…?かわいそうですって!?」

この金切り声で、さすがに腕の中の寝坊助聖獣も起きた。

まぁぱちっではなく、ばちって感じの目覚めだったようだけど。

しかし、俺もカスティーダも上流階級の男性も、みなが飛び上がった。

鬼のような形相ってコレか…。


「私とマックの間を引き裂く存在に向かって、よくそんな言葉が出てくるわね!あなたがそんなんだから私たちはいつまでたっても結婚できないのよっ!」

え……と……。

なんだ…?

俺悪役?

この2人を引き裂く悪役なの?

知らないところで悪役かぁ…。

知らずの内に悪いことでもしたのかな…。

いや、断じてしてないけどね!

てかちょっと待てコラ。

「そ、そんなこと言われたって…。僕にはどうしようも…」

「それがいけないって言ってるんでしょー!?バカじゃないの!?えぇ、バカよね!昔からよぉーっく知ってたけどねっ!!」

ご、ご立腹だ…。

ちょっと黙っておこう。

「ちょっと待ってよ、それは言い過ぎだと思うね!僕がバカだって言うなら、僕に惚れたギャレンシアはもっとバカだ!ばーか!!」

おぉ!

皇女様に向かってバカとは、これはすごい。

死をも覚悟してるんだなぁこの人。

まぁ真似しようとはこれっっっぽっちも思わないけど。

「バカですってぇ!?私に向かってバカぁ!?バカはアンタよ!!!」

「バカって言った奴がバカなんだぁー!!!」

………低レベル。

つか、俺どうしたらいい?メインはどうやら俺でもソラでもなかったらしい。



「…ねぇ、どうする?カスティーダ」

「…そうだな。お前が決めろよ、ソラ」

「ぐぅ……」

やっぱそういう反応になるよねぇ。

なんかよく分かりません。

自分でも分かりません。

すいません…。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

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