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4:聖獣様の生態

「あれ、ちょっと大きくなった?」

聖獣を抱えながら思って出た一言。

いや、これは確実に大きくなったと思う。

こいつ、着実に、そして早い段階で大きくなっている。

恐るべし、千年に一度の聖獣様。




聖獣の食べ物は主に肉。

野菜少々。

1日2食。

しかし子供なのでまだ量は少なめ。

とは言っても、普通の成人の動物が食べる量よりも格段に多いが…。

ソラが成人の聖獣になったらどんだけ食べるんだろう?

…これではとても自宅で飼えそうもない。


「おーい。聖獣様の飯は終わったかー?」

ノックもなしに部屋に入って来たのは、もちろんカスティーダ。

間延びした言い方だったが、変人カスティーダだから気にしない。

「終わったよ」

俺が言うと同時に、ソラは「ぐっぷ」とゲップをした。

聖獣はぐっぷとゲップをするらしい。

愛らしいじゃないか。

それはさておき、カスティーダはずかずかと部屋を横断した。

「飛行訓練だ」

「飛行訓練?」

ソラの?


確かにソラには翼があるが(だからソラって名付けたんだし)、そういえば飛んだところを見たことがない。

ん?

ないだけで飛べるんじゃなかろうか?

「ソラは飛べるよ」

「飛んだとこ見たのか?」

「いや、見てはないけど、でも脱走した時に俺の家まで飛ばずに来るのっておかしくない?」

カスティーダは「うーん」とうなりながら首をひねった。

「それはそうだろうが…。でも俺たちの前で一度も飛ばないのは不自然だ」

「不自然?」

「聖獣というものは“フェニアース”に限らなくても翼を持つものは多々いる。しかしそのどの聖獣も産まれてすぐに飛ぶんだ、人前で。俺は強いんだぞ!ってアピールしてるっていう考えが有力視されてる。聖獣といえども子供だからな。産まれてすぐなんて、飛ぶぐらいしか出来ないんだろ」

ふむふむ。

聖獣って結構勇ましいんだなぁ。


「でも俺が初めて見た時も飛んだりはしなかったのはどうして?」

むしろ擦り寄って来た気がするんだけど。

自然界において人懐っこいってまずいと思うし…。

「こっからは俺の推測だが、聖獣様はケリアを親だと認識したのがそもそものおかしな原因なんだ」

認識されて悪かったな!

どうせ俺は親には向いてないへなちょこだよ!

「ケリアっつうか、人間な。そんで親に威嚇しても仕方がない。むしろ甘えたい盛りな訳だし」

うんうん。

「俺たちを威嚇しないのは、ケリア自身が威嚇しないからだ」

「お、俺っ!?」

そりゃあ、威嚇なんかしないでしょ!

人間が人間に威嚇したら変人扱いだし。

てか、なんで俺が威嚇しないことにソラが関係してるんだ?

「分かんないか?親が警戒してたら子供も警戒するだろ?人間でも。それと同じ」

あぁ、なるほど。


つまり俺が聖研を嫌っていて警戒していたら、それをソラも気付いて警戒するって訳だ。

いや、ちょっと待って。

「親って、責任重大…?」

「すっげぇ今更当たり前のこと言ってるぞ」

あっちゃー…。

とか思ってる場合でもないかも…。

俺、もっと後先考えて行動した方がいいな。

って、こっちも今更。


「そこで、だ。試しにケリア、お前が俺を威嚇してみろ」

「はぁ!?」

まじで!?

本気!?

俺めちゃくちゃ恥ずかしいから!

「そ、それはやめた方がいいよ…」

「は?なんで」

「ほら、また引っ掻かれるかもだし…ね?」

カスティーダは「はぁ?」と声を盛らした。

そもそも威嚇ってどうやるんだ?

唸るとか?

「聖獣様のためだ。やれ」

命令系!?

そこはすでに命令系にすんの!?

俺いったい何なんだ!?

聖研での俺の立場どんなんなの!?

いや、あんま聞きたくないけど…。

9割の確率で俺はショック受けると思う。

「聖獣様の親だろ?」

そこ言われると痛いんだよなぁ…。

なんか、なんとなく。


よし!

とりあえずカスティーダに向かって唸ってみよう。

周りを確認してからっていうのは、言わずもがな。

「うぅぅぅ゛…!」

………俺これからどうしよう?




実験は見事に失敗した。

カスティーダ曰く、

「ケリアの感情が足りない」

のだと。

俺はあれで精一杯だった。

あれ以上は俺の人間としての理性が許さなかった。


しかしちょっとした収穫もあった。

最終的に、

「あー!もうこんなん無理!」

ってなって、カスティーダのスパルタっぷりが出て、

「まだまだ序の口だぁ!」

とか言われて、そろそろ俺もプツッと切れるものがあり、

「もういい!ソラ!カスティーダを引っ掻いちゃえ!」

と叫んだ。

叫んでからヤバイことに気付くとか俺その内…、とか思ったけど、やっぱり後の祭り。

カスティーダの顔には前回を上回る6本のみみずばれができた。


うーんと、ごめん?

もしくは御愁傷様。


収穫。

それはソラもとい、千年に一度の聖獣“フェニアース”は、俺の言うことを素直に聞く。

親ってほんとに、責任重大…。

俺大丈夫かなぁ…?


………うん。

今は今のことだけ考えよう。

頭が痛くなりそうだ。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

なかなか話進まないなぁ…。

一人歩きの話っていうか、足踏みしてるっていうか…。

これから頑張ります。


ご意見・ご感想お待ちしてます。点数も…笑

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