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5章‐37:聖獣様とラストダンジョン

どうした?ソラ。

これ?

あげないよ、これは。

俺のは人間用なの!

ソラには聖獣用があるだろ?

え?俺のが食べたい?

だめだって!

贅沢言うなよ。

それにそれ以上食べたらでかくなりすぎて、俺が抱えられなくなるだろ。

あ、こら!

横取り禁止ー!






洞窟へ入るにはクリストファーが肌身離さず身に付けていた鍵がないと入れないらしい。

クリストファーは意外とあっさりその鍵を俺に渡してくれた。

「ケリアがそれでいいなら何も言うことはないでしょ。所詮は救ってもらう側だからね、この俺様も」

どうやら決定権は俺にあるらしい。

なんでだ?

世界を救うのは俺じゃなくてソラじゃん。

そういう目をクリストファーに向けると、クリストファーはからからと笑った。

「やっぱりそこは保護者にお伺いをたてないとねぇ」


俺はずっとソラを死なせたくないと考えてここまで来た。

でも世界が消えても欲しくなくて、ずっと悩んできた。

ぶっちゃけた話、今でも悩んでる。

解決策すら見つけてないんだもんな。

ただソラと離れたくなくて、一人にさせたくなくて、それでいつの間にか聖域とやらのラストダンジョン。

神様の狙いはこれか?

いや、今さら神様がどうのこうのは面倒だ。

この際神様は放っておこう。

来てしまったものはしょうがない。

世界の運命を俺が握ってるって、そんな実感はさらさらない。

あるのは、聖獣の親としてでなく俺を見てくれたカスティーダ、居場所をくれたクリストファー、なんだかんだで守ってくれたピーナ、暖かい新しい俺の家族のウィーグルス兄さん、マック兄さん、ミムア、今まで俺が出会ってきた多くの人々。

その人たちが助かってくれればそれで十分だ。

世界中に本当にたくさんの人がいるけど、その全ての人間を助けたいなんてスーパーマン的なことは思わない。

そんなこと俺には重荷だし、成し遂げられるとも思えない。

でもその世界中のほんの一握りの人たちだけならば、もしかしたら俺にも救えるかもしれない。

ついでに世界も救ってやろう。

「100パーセントは目指さない。俺は1パーセントでも多くの希望を信じる」

だから俺はクリストファーからその鍵を受け取るんだ。

ついでに世界も救うために。

あ、俺今すごいいいこと言ったかも。


ハツカネズミを無理矢理叩き起こし、聖獣の暴走について聞き出した。

洞窟に入る前にこの状況を把握しないとな。

カスティーダのことも心配だし。

最初こそ何も言わなかったハツカネズミだったが、ピーナのちょっと言葉にできない事情聴取を経て、渋々ながらも話はじめた。

ピーナには神の遣いですら適わない。

「聖域を手に入れる必要があったのです」

「なんのために?」

「世界の災厄を発動させるためには、聖域を抑える必要があるからです」

えっ?

ちょっと待てよ…?

今、なんかおかしくなかったか?

「災厄を発動させる…?」

「聖域は災厄を発動させることも止めることもできる、最重要地点。だから聖域を抑えるということは最も大きなこと。特に今のこの状況下では」

えっと…。

なんか難しい話なんですけど…。

つまり本家の地下が聖域で、聖域は災厄を起こすにしても止めるにしてもキーとなるってこと?

「なんで特にこの状況下ではなんだ?」

「………」

ハツカネズミが言うのを渋ると、ピーナはぐっと手に力を込めた。

もちろんハツカネズミを握り締めることになるため、言わずもがな苦しいだろう。

「…フェニアースは災厄を起こすことも止めることもできる力を持っています。…フェニアースが最初から私を親だと認識していればなんの問題はなかったのです。しかし今のフェニアースの親は人間。人間であれば災厄を止めようとする。だからなんとしてでも聖域を抑えなければいけなかったのです。災厄を発動しないのは神の意向に沿わない行いですから」

神は災厄を起こしたいのか!

なんのために?

いや、聞く必要はない。

災厄を起こしたいやつなんて神であろうと敵に変わりはない。

今は神の侵した最大の誤りを不幸中の幸いとしておこう。

ソラの卵を俺の目の届くところに産み落としたことを。


「じゃあソラが聖獣たちに一声掛ければ暴走は止まるんだな?」

ハツカネズミは返事をしなかったが、それは肯定の意だろうと解釈した。

俺はソラの背に乗り、本家の上空まで飛んだ。

「災厄を止めよう、ソラ」

「ぐぅ!」

ソラは今までで一番大きくて響き渡るような鳴き方をした。


この世界を作ったのは神かもしれないけど、この世界に生きているのは神じゃない。

どんな理由であれ、俺たちが生きているこの世界を潰されてたまるもんか!

聖獣を生んだ奴は神じゃない。

この世界の神はこの世界で生きる俺たちだ。


あとは終わりに向かって走るだけです!

なんだかくっさい台詞が多くなってまいりましたが、さくさく読んでやってください。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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