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17:聖獣様は神の使い

俺には秘密裏に王家と聖研で会議を開いていたのだと言う。

議題“ケリアに話すか否か”

王家は話さない方が良いと主張した。

話したら“ケリア”が“その事”に気付いてしまうからだ。

対し、聖研は話すべきと主張した。

聖獣様を育てていく上で話さないのは、後々厄介になると考えたから。

どちらの主張も今となっては意味のないものとなった。

話さなければならない状況になってしまったのだから。

聞けばその話し合い、3時間もかかったらしい。

種を蒔いたのはここの2人だから、ただの自業自得なんだけど。





「ソラがどんな聖獣だか、知ってるよな?」

カスティーダは腹を括ったようで、ため息混じりに語り始めた。

俺の後ろではスルダニアルさんが頭を抱えていて、それを慰めるようにリンクさんが背中をさすっている。

つうかリンクさん、アンタはなんなんだ。

なんでアンタだけそんな悠長に構えてるんだ。

何もかもに対して。


気を取り直して…。

「千年に一度しか産まれないありがたーい聖獣様、でしょ?」

聖研のおじいちゃんに何度となくたたき込まれた一文だ。

言葉の通り頭を叩かれながら覚えたのだから、忘れようにも忘れられない。

少しばかり脚色はあるけど。

「なんでありがたい?」

なんでって…。

「千年に一度しか産まれないから…、じゃないの…?」

「間違いじゃない」

でも正解でもない、ってことだよね。

いったいなんなんだ?

「なんで千年に一度しか産まれないからありがたいんだ?」

えっ?

な、なんでってそんな…。

千年に一度なんてめったにお目にかかれないから貴重!みたいな感じかと…。

もしかしてそれが違うってことなのか?

「千年に一度しか産まれないのには理由があるってこと?」

「そういうことだ」

確かにこれは初耳だ。


周りが「すごい」「ありがたい」と言い回っているからただ無条件にそれを受け止めていたが、そう言われてみると何も知らない気がしてきた。

一番近くにいたはずなのに、実はソラのことを何も知らないのは俺だったのか…。

恥ずかしいような悔しいような…。

胸のあたりがモヤモヤする。

「知りたいか?」

うっわ。

溜めやがった!

こんな状況で「聞きたくない!」なんて子供染みたこと言える訳ないじゃん!

言うならぱっぱと言ってくれよー!


「聖獣は別名“神の使い”と呼ばれている。それは知ってるな?」

「うん。庶民にとっちゃその方が一般的だし」

前にも語ったと思うが、ソラを拾う前までは聖獣という呼び方さえ知らなかった。

世間一般にはその方が流通している。

「なぜ“神の使い”と呼ばれてるか、それは知ってるよな?」

カスティーダって俺のこと絶対にバカだと思ってるよね…。

一般常識ぐらい知ってますけど!

「分かるよそれぐらい!神様の代わりにこの世に産まれ、神様から承った使命をこなすから。って、まぁ言い伝えなんだけど」

神様は地上に降りてくることはできない。

だから代わりにこなす奴がいる。

それがこの“聖獣”な訳だ。

子供から大人まで、この世界に生きているなら誰だって知っている、いわば伝説のような言い伝え。

だから“神の使い”なんていう大層な命名がされているのだ。

実際にそれが本当のことだとは誰も思ってないけど。

言い伝えなんて所詮そんなもんだろう。

「もしそれが本当だとしたら?」

「はぁ?」

何を言いだすんだ。

そもそも神様がいるかどうかも分からないというのに、それが本当だと信じられる訳がない。

カスティーダってそんな夢見がちな奴だったっけ?

「…なんでそんな変な目で俺を見てんだ」

と少し不機嫌そうな声がカスティーダから上がった。

申し訳ないが、こんな状況にも関わらず喉の奥で笑っておいた。

「いや、神様とかって信じてるんだなぁと思って」

努力虚しく、言葉にしたら結局吹き出した。


スルダニアルさんが咳払いをしたことで、話は軌道修正。

これだからアンケートで話が進まないなんてクレーム出るんだ。

「別に神様がどうこうな訳じゃねぇよ」

あ、ちょっと怒ってる…。

「ただ聖獣が産まれるのには何らかの理由があるのは確かなんだよ」

何らかの理由…。

「まさか」と言えればよかったのだが、カスティーダが真剣な顔をしてるのでやめておいた。

今は黙って話を聞くべきだ。

「それはどんな聖獣にも該当する。聖研が長年の研究で明らかになったことだから、ほぼ間違いない」

随分とはっきり言い切ったもんだ。

本当に自信があるということなのか。

でも聖研は聖獣の研究を生業にしている輩たちだから、きっと確証を持っているということだろう。

なんだか聖研の強さを感じた気がした。

なら信じてみよう。

なんだかんだで、カスティーダは俺に嘘は付かないんだ。

……たぶん。

「ソラにもある。そういうことか…」

カスティーダは小さく、しかしゆっくりと首を縦に振った。


流れ的にいくと、今後の展開はあまり良い話にはならないと思う。

この先の話に光らしきものが見出だせたらいいのだけど…。

そうしなきゃ俺は耐えられそうもない。


たまにはいいと思うんですよ。

真面目な場面とかも。

ただそうなると聖獣様出なくなるー…。

だからたまにで十分なんですね。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

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