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12:聖獣様は勇ましく

爺ちゃん婆ちゃん父さん母さんの墓参りに行った。

俺まだこんな歳なのに何人の墓参りしてんだ…。

寂しい人間だなオイ。

もちろん後ろにはソラがいる。

俺の子供だぞーって言ったら、きっとみんな驚くだろうなぁ。

はは。





「ぐぅ」

よしよし。

墓参りのために持ってきた物は何もない。

あるとすればソラだけど、まぁソラを献上する気はない。

それは愛情とかじゃなくて墓にかじりつきそうだからなんだけど。


「爺ちゃんごめん。あの家ピーナに取られた。でも俺の住みかはあるよ」

そんな心配しとらんわってか。

「婆ちゃん、ちゃんと飯食ってるから心配しなくていいからね」

体が一番大切なのよって、婆ちゃんは口癖のように言ってたっけ。

「父さん、………えっと…」

…ごめん。

父さんに言うこと思い付かないや…。

またその内ね。

「母さん、…まぁ…、元気で生きてるよ」

生きてね、私たちの分まで…。

母さんの最後の言葉。

小さい頃のことだったけど、その言葉とその時の情景は鮮明に覚えてる。

母さんは静かに静かに、そっと息を止めた。

「ぐぅ?」

いかんいかん!

干渉に浸っちゃったよ。

久しく墓参りなんてしてなかったからなぁ。

なんか込み上げるものがあったらしい。

自分のことだけど。


「見付けたぜ…」

「へっ?」

自分が思ったよりもマヌケな声が口から漏れ出た。

今すっごくいい場面だったはず。

すっごくいい雰囲気になりそうな場面だったはずだよ?

それをなんなんだい。

おもいっきりぶち壊された気分なんだけど?

…って言えたらかっこいいんだけど、このお兄さんを見る限り…、うん。

無理!

絶対無理!

関わっちゃいかん!

「おーい!来いよお前ら!聖獣見付けたぜー!」

お前らって何!?

あなたたち集団ですか!?

集団リンチっすかぁ!?

…しかもさ、はぁ…。

何回も何回もしつこく思うんだけどさ。

やっぱりメインはソラなのね…。

いいよもう…。

諦めるとか通り越して「やっぱり」って感じになってきたし。

かわいそうな俺。

で、結局憐れんでくれるのも俺だけなのね。

………ぐす。

泣かない泣かない!


柄の悪い「いかにも!」て感じのお兄さんたちが、1、2…、4人いらっしゃいました。

俺1人でどうこうできる人数じゃない。

いや、この中の1人とでもどうこうはできないだろうけども…。

でも親としてはソラに任せる訳にも…。

「ぐぁ…!」

臨戦態勢だよ!

戦う気満々だなオイ!

やっぱり本能で分かるのかなぁ、こういうのって。

って呑気に考えてる場合か自分!

「ちょちょ…ちょっと待ってください!あ、あなたたちは…」

何者ですか?ってか。

なんかこれじゃありきたりじゃないか?

当然返ってくる言葉は…

「ここいらじゃちょいと有名なシュバート一家だ!」

ですよねぇ…。


シュバート一家。

簡単に言えばここら辺ではちょっと有名な盗賊みたいなもの。

海賊の陸バージョン的なね。

有名なだけあって、盗賊間では結構な規模を誇っているらしい。

というのも、この近辺のゴロツキと言われる輩はシュバート一家の所属が多いから、案外身近だったりする。

まぁ身近と言っても盗賊は盗賊。

親善活動をして歩いてる集団なんかじゃない。

村で事件があったと聞けば、まず間違いなくシュバート一家絡み。

だから今のこの状況ってピンチなような…。


「おとなしくそこの聖獣を寄越しな!痛い目見る前になぁ!」

ひえぇー!

ピーナ並に怖いよ、このお兄さんたち!

ってか、なんでソラの存在を知ってるんだ?

しかもなんでソラが欲しいんだろう?

き、聞いてもいいかな…?

いいよね?

聞くぐらい別に殺されないよね?

「あ、あの…」

「あぁ!?」

こ、怖っ!

でソラは威嚇仕返すな!

頼むからあのお兄さんたちを煽らないでくれ!


「なぜそら…、聖獣が欲しいんですか…?」

頑張れ俺の度胸!

途中で挫けるなよ!

「決まってんだろ。高く売れるからだ!」

ご丁寧に答えていただきありがとうございます。

聖獣って高く売れるんだ…。

そもそも売り物になるのか?

なんのために?

そういえば助手くんかカスティーダが「聖獣様には強大な力がある」みたいなことを言ってたような気がする。

それが目当てなのか?

「ぐぁ…!」

ソラが俺を庇うようにか、俺の前に出てきた。

「お、おいソラ…」

お前が狙われてるんだぞ?

ここは逃げるが勝ちとかいう場面じゃなかろうか。


「なんだ。聖獣様はやる気ってか」

お兄さん方がニヒルな笑みを浮かべながら、こちらに一歩一歩ゆっくり近付いてきた。

ま、まずいぞ!

「そ、ソラっ。逃げる…」


ブァー!!


火吹いたー!!!

これって、ひょっとしてひょっとすると、バトル勃発系…?


またぎますよ。

なんの作戦もないまままたぎます。

聖獣様戦いますっ!

私も戦います!


最後まで読んでいただきありがとうございました。

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