うさぎさんのミサンガ
小説を初めて書きました。拙い文章ですが読んでくださると幸いです。
昔、ある村の家に、高熱で寝込んでいるリトという5歳の男の子がいました。リトの熱は、すぐに薬を飲まないと危ないものでした。ですが、リトの村には薬屋が無く、薬を手に入れるためには村の入り口から林を抜けたところにある村に行かなければなりませんでした。
お母さんはリトの看病を。お父さんは薬を買うためにお金と林を抜ける準備をして、早急に家を出ていきました。
高熱で揺らぐ視界の中、リトはカーテンの隙間から流れ星を見ました。人生で初めて見る一粒の、綺麗な星のしずく。それを見た時、リトは心の中で唱えました。
(お月様のうさぎさんに会わせてください‼︎)
リトの夢は、お母さんが昔読んでくれた絵本の『お月様にいるうさぎ』に会うことでした。
流れ星がカーテンに隠れた時には、リトはいつのまにか眠ってしまいました。
「あれ?体がふわふわ浮いてる……?」
リトの体は屋根より少し上の位置に浮かんでいました。
「うわぁ!どんどんお空に⁉︎」
リトの体はどんどんと、山よりも、雲よりも高く浮き上がっていきます。
いつのまにか、リトの体は月にまで浮き上がっていました。月の上に降り立ちつと、リトの目の前にはとっても綺麗で大きく、青色の丸がありました。
「ここってもしかして……お月様⁉︎」
リトは夢にまで見た出来事に驚きました。辺りを見渡すと、でこぼこで白い地面が広がっています。
「ねえねえ」
リトの後ろから、話しかけてくる声が聞こえました。リトが振り返ると、そこにはポーチを首からかけた、リトの腰くらいある大きさの、白いうさぎさんがいました。
「ねえ、君はだぁれ?」
「ぼく?ぼくはリトって言うんだ!」
「リトは迷子なの?」
「ちがうよー。体がふわふわーって浮いてね、それでね――――――――」
リトは頑張って説明しましたが、うさぎさんは首を傾げてしまいました。
「ねぇ、リトのお父さんとお母さんは?」
「あ……」
リトはうさぎさんに言われて気づいてしまいました。ここには、肩車をしてくれるお父さんも、絵本を読み聞かせてくれるお母さんもいませんでした。
「ぼく…一人で……お父さん…お母さん…うわあああああああああん」
リトは泣き出してしまいました。そんなリトを見て、うさぎさんは少し考えてから話しました。
「リトはおうちに帰りたいの?」
リトは泣きながらうなずきました。
「おうちに帰に帰る方法はあるよ」
「あるの?」
リトは少し泣き止みました。
「リトがここにきた時に流れ星さんにお願いしたようにもう一度流れ星さんを見つけてお願いするんだ、おうちに帰してくださいって」
「でも……でもそんな簡単に見つかるの?」
「ここだったら結構見つかるよ」
リトは手で涙をぬぐいました。リトの目には、もう涙は浮かんでいません。
すっかり泣き止んだリトは、その場に座って流れ星がくるのを待つことにしました。
「うさぎさん。うさぎさん。流れ星さんを見つけても願いごとを聞いてくれなかったらどうしよう……」
リトは不安になりました。
「そうだね……じゃあ、流れ星さんにお願いを聞いてもらえるように、今からリトに祈り方を教えてあげる」
うさぎさんは後ろ足の2本だけで立ち上がりました。
「流れ星さんを見つけたら、まずは目を閉じて手を組んで……」
リトに説明しながら、うさぎさんは両方の前足を胸の前であわせました。うさぎさんの左手首には、紫色と黄色の毛糸で出来た腕輪のようなものをつけていました。
「ありゃりゃ、僕は組めないや」
うさぎさんの指は、組めるほど長くはありませんでした。
「後は心の中で自分の願いだけに集中して唱えるんだ!」
「ねぇねぇうさぎさん」
「なぁに?」
「その左手のやつなに?」
三角座りでうさぎさんの説明を聞いていたリトは、うさぎさんの左手首にある毛糸の腕輪が気になっていました。
「ミサンガのこと?これはね、僕の住んでたところのお守りなんだ!切れるまでつけてると夢が叶うって言われてるんだよ!」
うさぎさんはミサンガの事をリトに話した後、『そうだ!』と言うと、おもむろにポーチから紫色と黄色の糸で編まれた短めの紐を取り出しました。
「リトにもミサンガ着けてあげる!」
うさぎさんはそう言うとリトの左手首にミサンガを巻き付けました。ですが、うさぎさんの指ではあまり上手くミサンガを結べません。
「ごめんねリト………あんまり上手く結べないや」
「ううん、うさぎさんありがとう!」
リトはうさぎさんにお礼を言って、ミサンガを結び直しました。
「リト!見て!」
うさぎさんは星空を指差しました。リトも、うさぎさんの差した星空を見ました。
そこには、満天の星の中でたくさんの流れ星が降っていました。
「わぁ!うさぎさん!あれなぁに?あれなぁに?」
リトは初めて見る綺麗な星の雨に興味津々でした。
「流れ星の雨、流星群だよ‼︎」
うさぎさんも本で見たことがあるだけで、実際に見るのはこれが初めてでした。
「今だリト!願いごとを叶えるんだ‼︎」
リトはうさぎさんから教わったとおり、目を閉じ、手を胸の前で組んで心の中で唱えました。
(僕を、おうちに帰してください‼︎)
目を開けると、見慣れた部屋の天井の光景がリトの目に飛び込んできました。カーテンの隙間から入ってくる日の光が部屋を照らしていて、さっきまで星空を見ていたリトの目には眩しすぎました。
リトがベットから体を起こすと、横にはお母さんが椅子に座ってうつむいていました。お母さんをよく見ると、うさぎさんが教えてくれた祈り方と同じように、目を閉じて、手を組んでいました。
「リト⁉︎リト‼︎」
「!?」
お母さんが祈るのをやめてリトに気づくと、リトの名前を呼んで抱きつきました。
何事かとお父さんもリトの部屋にかけつけました。彼がリトを見るなり、とても安心した表情で言いました。
「良かった……薬が効いたんだな。僕はてっきり……」
そう言うお父さんの目には、少し涙が浮かんでいました。
「朝ごはんにしよう。あと少しでできるから」
お母さんは、お父さんの呼びかけに『そうね』と答えた後、リトに言いました。
「リト、ちょっと待っててね。美味しいもの食べさせてあげるわ!」
お母さんは、リトを部屋に残してお父さんと朝ごはんの支度をしに行きました。
一人残された部屋の中、リトは不思議に思いました。お月様に行った事や、うさぎさんに会ったことは夢だったのでしょうか。
それを確かめるために、リトは左手を見ました。
リトの左手首には、紫色と白色の毛糸で編まれたミサンガがありました。
この度は読んでくださりありがとうございました!
初の小説の初の投稿で、わかりづらい文章があったかと思います。そう言う意味不明な文章があれば、遠慮せずコメントを書き込んでくださると、僕自身とても勉強になります。