第十二話 模擬戦と目的地
長らくお待たせしました。第二章、開始です。また、今ある部分を第一部として一つにまとめ、何章かやって区切りがついたら第二部、という形にします。
リュックザイテの街から出たセイル達は、街道から外れた森の中に入った。そして、月明かりに照らされる木々が開けた場所に出ると、セイルはこう言った。
「槍を出せ」
「……?」
「手合わせを行う」
セイルは荷を下ろし、腰から長剣を抜いた。
黒塗りの刀身は月明かりに照らされず、闇に紛れる。不死族に有利な夜で戦うための装備だ。基本的にセイルの装備は黒で統一されている。
リーレは戸惑いながらも袋から槍を取り出した。
「この石を投げ、地面に落ちたら開始とする。構えろ」
「……」
セイルは拾った拳程度の大きさの石を空へ投げた。やがて重力に引かれて墜ち、地面に着いた。
しかし、両者は動かない。セイルは様子見のため受け身の態勢でいる。
「どうした?来ないのか?」
「……はああああ!」
リーレは意を決し、吸血鬼の脚力によって瞬時に間合いを詰め、突きを繰り出す。セイルは最低限の動きのみでそれを躱し、剣で弾く。
「動きにブレがある。真っすぐ打ち込め。線を意識しろ」
セイルはそのまま剣を横に薙ぎ、胴めがけて攻撃を繰り出す。
「槍の利点は間合いが広いことだ。近づけば隙ができる。一定以上の距離をとれ」
リーレはそれなりに速く動き、連撃を繰り出すも、セイルには掠りもしない。また、息も切れ切れなリーレに対してセイルは余裕を見せている。リーレの動きに対して口を挟むほどだ。
(どうして……?力に関してほとんど差は無い。どうしてこれほどの差が……?いや、待って。どうして人間が吸血鬼と互角の力を持つ?おかしい……)
「終わりだ」
セイルがリーレの槍を弾き飛ばし、武骨な鉄の槍が宙を舞う。十メートルほど離れた木の根元に突き刺さった。
息を切らしたリーレはその場に座り込む。
「お前に槍は向いていない。線は悪くないが、間合いが近すぎる。これからはこれを使え」
そう言って、全く息の上がっていないセイルは袋から細剣を取り出した。これもまた黒く塗りつぶされている。
「さて、これからのことだ。ここから北東へ十日ほどのところに辺境の街モーナトがある。そこを次の目的地とし、夜に森の中を歩いて向かう。昼は穴でも掘って眠っていろ。三十分程度休んだら進む。息を整えておけ」
セイルは一方的にそう告げると、森の中へ入っていった。
できる限り間が開かないようにしたいですが、難しいですね。ストックもありませんし。




