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血銀の十字架 ~神をも弑する刃となれ~  作者: 疾風 颯
第一部 第一章 リュックザイテの街からの脱出
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幕間 決行前夜と幾望の月

 短いですが。

 夜。

 リーレは目覚める。

 ベッドから出て、ソファで寝ているセイルを起こさないように、静かに窓を開け、外へ飛び降りた。

 リーレは真夜中の街を歩いていく。

 教会の屋根に掲げられている十字架の上に立ち、そっと溜息を吐く。


(あの男は、いったい何者だ?何を考えている?)


 深夜の街を見下ろしながら、リーレはセイルについて考える。


(なぜ私を助ける?私が魔法を暴発したとき、あの男はどうやって元に戻した?)


 リーレの目には、セイルがとても怪しく見えた。


(なぜ一般に知られていない知識を持っている?なぜ魔導具を扱える?)


 疑問ばかりがリーレの頭の中に浮かび上がってくる。答えはどれだけ考えても『分からない』としかいえない。


(あの男の目的(・・)は、何だ?)


 初め、セイルはこう言った。


『こちらにも事情がある』『ちょうど人手が欲しかったところだ』


 募る不信感。しかし現状リーレにはどうすることもできない。セイルに従うしかないのである。


「はぁ……」


 リーレはもう一度溜息を吐き、十字架から飛び降りた。











 セイルは夜風に吹かれて舞うカーテンを見つめながら溜息を吐く。


(アイツの考えることは分からんな……)


 どっちもどっちである。






 夜空に浮かぶは、幾望の月。満ちる時を、ただひたすらに待っている。

 幾望……十四日目の月のこと。

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