2。俺の美人な暴力系ツンデレ幼馴染の様子がおかしいんだけど
「あの……飛鳥様……?」
「どうかしましたか、壮太君?」
「それはこっちのセリフだよ!! どうしたのさ、飛鳥、変なものでも食べたの? わかった、拾い食いしたんだろ? だめだよ、落ちてるものたべちゃ」
「いえいえ、変なものを食べたのはあなたでしょう? ペットの餌は人の食べるものではないですよ。というかあんたは私のことを何だと思っているのよ、このば……愚者!!」
不気味な笑みを浮かべていた飛鳥だったが俺の度重なる挑発でちょっと素がでてきたようだ。よかった……というか愚者って馬鹿より何かひどくない? いつもより興奮しちゃったよ。
「コホン……とにかく行きましょうか、遅刻してしまいますし……」
「うん、わかった」
俺が歩き出すと右腕に暖かいものとささやかな柔らかいものが当たった。俺はとっさに飛鳥をみると彼女は顔を真っ赤にしてうつむきながら、俺の右腕に抱きつくようにして歩いていた。
「どうしたの、飛鳥。体調が悪いの?」
「別に……私たちは付き合っているんだから当たり前のことをしただけですよ」
うわぁぁぁぁぁぁ、人前で手をつなごうものならすぐに顔を真っ赤にして殴ってくる飛鳥がどうしたんだ? いや、でもこれはこれで嬉しいよね。しばらく歩いても彼女は顔を真っ赤にしてうつむいたまま歩いてくる。
「飛鳥なんか無理してない? そんなに恥ずかしいなら無理しなくていいんだよ」
「そんなことないですよ、早く行きましょう」
そうして俺たちは登校することになった。俺の腕をつかむ力が適度に痛気持ちよくて心地よい。ああ、快感。でもこの違和感はないんだろう?
「おはよー、富岡君と飛鳥は本当に仲良しだね。あ、アークナイツでエクシアってキャラ引いたんだけど強い?」
「いいなー、そのキャラ俺ほしかったんだよね」
教室に入った俺たちを友人の佐藤君が挨拶をくれる。ナチュラルに最高レアを引いた自慢をしてくれる彼は俺と飛鳥との幼馴染である。それにしても俺が課金しても引けなかったキャラのガチャ自慢をされるとは……手に入れられなかった嫉妬と、うらやましさが入り交じりたまらないね。気持ちいい……
「あらあら、御機嫌よう、今日もいい朝ですね」
「え……そうだね……御機嫌よう……?」
「じゃあ、私はもう行きますね。それでは壮太お昼に屋上で会いましょう」
そう言うと彼女は自分の席へと歩いて行った。俺と佐藤君はその後姿を見送っていたが、佐藤君がまるでお化けでもみたかのような顔をしながら聞いてきた。
「ねえ、飛鳥に何があったの? 変なものでも食べたのかな?」
「いや、俺も何があったかわからないんだよね……こういう事って昔もあったりしなかった?」
実は俺よりも佐藤君のほうが飛鳥との付き合いは長い。俺は小学三年生からの付き合いだが、彼は幼稚園からの付き合いだ。いわば俺が幼馴染ならば彼は真幼馴染である。
「うーん、あんな風になったことはないなぁ……昨日なんか変なことなかったかな?」
「そうだなぁ……あ、犬の餌を食べさせられたよ」
「え、君たちそういうプレイしてるの? レベル高すぎない?」
なぜか、佐藤君にひかれてしまった。どうしたんだろうね。あと実はあのあと自分でも犬の餌を買って食べてみたんだけど、本当にクソまずかった。やっぱり飛鳥からのプレゼントっていうスパイスがないと駄目みたいだ。
「とにかく、少なくとも学校では普通だったんだからさ、昨日の様子がおかしくなった時に何をしていたか、あたりを聞いてご飯の時に聞いてみたらどうかな? あ、このステージどう攻略した?」
「そうだねー、ありがとう。あ、待って俺より進んでるじゃん、佐藤君センスの塊過ぎない?」
俺は佐藤君と話しながら考える。教室でテストの結果を罵倒されて( 気持ちよかった)、帰宅したあと彼女を玄関で迎えて罵られて( 気持ちよかった)、紅茶を淹れて部屋に戻った時から少し様子がおかしかった気がする。なんだ、なにがあった。俺ははっとする。あれだ。エロDVDだーー!! やっぱり、まだ「マジックミラー」は早かったのかもしれない。敬語になってるし、俺が好きなポニーテールをやめたってことは遠回しに距離を置こうとされているのかもしれない。謝らなきゃ!! お昼休みなんて言ってられない。
『次の休み時間にちょっと話せない?』
『わかりました』
返事はすぐにきた。俺は飛鳥をみると彼女もこちらをみていたがすぐに目をそらされてしまった。ああ、やばいやばい。早く授業終わらないかなぁ……
次は飛鳥視点になります!
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