1.俺の美人な暴力系ツンデレ幼馴染が挙動不審になってしまったんだけど!!
「ちょっと! この小テストの点数はなんなのよ! 真面目に勉強しなさいって言ったでしょ、この馬鹿!」
昼休みで騒がしい教室で罵声を俺にくれるのは、俺の彼女兼幼馴染の立花飛鳥だ。頬を膨らまして怒っている顔はとても可愛らしい。彼女は成績優秀、容姿端麗な完璧少女だ。クラス内どころか学校内でも五本の指に入る美少女だろう。ただ俺にだけはちょっと暴力的で、罵声を吐いてくる。ただそれも照れ隠しだったり、俺のこと心配してのことだから本当にたまらない。ギャップ萌えっていいよね。
「まあまあ、別に勉強なくてできなくってもいいじゃん! 生きてけるよ。俺は飛鳥様の事だけを考えてるから勉強する時間なんてないんだよ」
前の授業の小テストの結果だろう。平均点はとっているものの確かに彼女と比べれば、はるかに低いのが気に食わないのだろう。へらへら笑っていると彼女はこちらをキッと睨みつけてきた。
「そういう問題じゃないでしょ! あと教室でそういう事いわれると恥ずかしいからやめろっていったでしょ、この馬鹿!」
「ごはぁ!!」
罵声と共に彼女の拳が飛んできた! これだよ、これ! 俺はこの痛みを待っていたんだ。ああ、快感!
「とにかく、放課後はあんたの家に行くからね! 勉強見てあげるけどサボったら許さないんだから……だって一緒の大学行きたいし……」
プリプリと怒りながらも、彼女が俺に聞こえないように小声で言った本音を俺はもちろん聞き逃さない。だって難聴系ラブコメ主人公じゃないもんね。そして俺は彼女からご褒美をもらうためにあえて地雷原を踏み抜いた。
「わかった。俺も飛鳥様と同じ大学行きたいから頑張るよ!!」
「だからこういう時は聞こえないフリをしてって言ってるでしょ!!」
「ごはぁ!!」
彼女の照れ隠しの拳をお腹に受けながら俺は満面の笑みを浮かべる。そう……俺はドMなのである。暴力系ツンデレである彼女を挑発してご褒美をもらう。それが俺の日課なのである。自己紹介が遅れた。俺の名前は富岡壮太ごく普通の高校二年生だ。
学校も終わり帰宅した俺は家を軽く掃除しておく、今日は飛鳥が勉強を見てくれるらしいからね。あとは突っ込んでもらえるようにわざと微妙に見えるところにエロDVDを置いておく。彼女はこういうのに弱いからね。見つけたらきっと「この変態!!」って罵ってくれるだろう。仕込みを終えた俺は、軽く予備校を調べてみる。
--だって一緒の大学行きたいし……--
彼女のその一言で俺の心に火が付いた。だってずるくない? そんなこと言われたらがんばるしかないじゃん。俺はドMだが普通にデレられるのもそれはそれでたまらないのだ。今の俺と彼女では学力の差があるが受験まではまだ一年以上ある。死ぬ気でがんばれば埋められるだろう。それにドM的にそういう努力は嫌いではない。
予備校の資料もだいたいはそろったし、あとは飛鳥が来たら聞いてみよう。同じ予備校に行くってのもいいよね。そうすれば学校だけじゃなくて予備校でも罵ってもらえるし。
飛鳥が来るまでの時間に、俺は暇つぶしに友達の佐藤君に教えてもらった小説家になろうのサイトの小説を読んでみる。どうやら幼馴染ざまぁが流行っているらしい。色々読んでみると結構面白いし、うらやましい。え、マジかよ。何もしなくても美少女に殴ってもらったり、罵倒してもらえるなんてずるくない? ご褒美祭りだよね。ざまぁするくらいなら変わってほしいくらいなんだけど。
俺が今後の罵倒してもらう参考にするために夢中で読んでいると、チャイムが鳴った。やばい、飛鳥からラインが来てたよ。慌てて階段を下りて彼女を迎える。彼女は近所でケーキが美味しいと有名なカフェの袋とスーパーの袋を持っている。お土産かな?
「なんでライン返してくれないのよ」
「ごめんごめん、ちょっとバタバタしてたんだ」
「ふーん、返信なかったからケーキは適当に買ってきたわよ、嫌いな味って言ったら両方私が食べちゃうからね」
「そんなことしたら飛鳥様太っちゃうよ」
「女子に太るって言うな!! あと飛鳥様じゃなくて飛鳥って呼んでって言ってるでしょ、馬鹿」
「ごめんごめん、飛鳥。紅茶入れておくから先に部屋に言っててよ」
「わかった、エッチな本とかないでしょうね」
あるんだなー、これが。俺は飛鳥の後ろ姿をニヤニヤと笑いながら見送ってからキッチンへと向かう。エロDVDを見つけた飛鳥がどんな罵倒をしてくれるか想像するだけでたまらない。俺はワクワクしながら紅茶を淹れるとすぐさま部屋へと戻った。
「飛鳥様お待たせーー!!」
「あ……壮太……」
扉を開けると心なしか元気のない飛鳥が俺のパソコンの前で固まっていた。どうしたんだろう。エロ本は見つからなかったのだろうか? それに呼び方へのつっこみもない。
「どうしたの、なんか変じゃない?」
「へ、変じゃないわよ、それより紅茶ありがとうね、壮太の入れてくれた紅茶は美味しいわね」
「飛鳥まだ飲んでないし、この紅茶もそこらのスーパーで買ったやつだけど……」
「そうだったわね、うふふふ。それよりせっかく買ってきたんだからこれを食べてよ」
そういって彼女は俺にビニール袋を渡してきた、カフェの袋ではなくスーパーの袋だ。中には犬用ビーフジャーキーと書いてある。飛鳥をみるとなぜか冷や汗をかきながら手に持った紅茶のカップを見つめている。なるほど……そういう罰か。普段の罵倒や暴力のとは違い、あえてペット用の餌を食べさせるという罰か、さすが立花飛鳥!! 俺の自慢の彼女だね。俺のことをよくわかっているじゃん。精神的屈辱がたまらないね。
俺は袋を勢いよく開けると一気に食べる。うわーお、味が薄いしパサパサしててまずいや……でも俺のために彼女が選んでくれたと思うと苦に感じないから愛の力ってすごいよね。
「ちょっと、そっちじゃないわよ、え、何で普通に食べてるの? それはうちのペット用の餌よ!! 早く吐きなさい。私が渡そうとしたのはこっちのケーキなの!!」
彼女は俺の首をつかんでブンブンを前へ後ろへ振る。ごめん、でも彼女からもらったものは残さないって決めてるんだよ。それが例え犬の餌でもね。あと、こういうのもなかなかドM的には嬉しい。
「ごちそうさまでした。お腹いっぱいになっちゃたね」
「満足しないで、お粗末様ってレベルじゃないくらいお粗末じゃない!!」
「中々よかったよ。時々でいいからほしいな」
「うう……そもそも私が渡す袋を間違えたのが悪いのよね、ごめんなさい……」
彼女は頭を抱えた後に、何やらへこんだ顔でぶつぶつとつぶやき始めてしまった。俺は彼女の頭をなでながら考える。やりすぎてしまったのだろうか? いつもこんなノリだったと思うけど……結局彼女は何かを考えているようで、こちらが話しかけても上の空で、予備校の話は進まなかった。
彼女を見送った後俺はつけっぱなしのなろうのサイトの続きを見てみる。あれ、なんでだろう、俺の時よりもページが進んでるんだけど……まあ、いいや、明日になったら飛鳥も普段通りにもどっているだろう。
翌日飛鳥と登校するために家の前で待っていると声をかけられた。
「おはようございます、壮太君」
「え、おはよう……どうしたの飛鳥……?」
「どうもしてないですよ」
そう言って微笑む飛鳥はいつものポニーテールではなく、いつも結んでいた髪を肩までおろしている。しかも、口調も違うんだけど……え、どうしたの? なんかドMな俺が愛している美人で暴力系幼馴染の彼女が挙動不審になっちゃったんだけど……
暴力系ツンデレ幼馴染ざまぁが流行っているので、ちょっと書いてみました。
俺は暴力系ツンデレが好きなんです!! ルイズたんはぁはぁはぁ。
という戯言はさておき、ツンデレってかわいいよねって話です。読んでくださると嬉しいです。
面白いな、続きが気になるなって思ったらブクマや評価、感想いただけると嬉しいです。
ちなみに俺は幼馴染ざまぁは読む分には好きです。そこは勘違いしないでくださいね。ただ書けないんだよなぁ……
ちなみに今回の作品はこちらの続編になります。
https://ncode.syosetu.com/n7752fz/
『ドMな俺が推している美人で暴力系ツンデレヒロインな立花飛鳥を負けヒロインにはさせはしない』
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