第74話 戦鬼VS岩石の異能力者
お久しぶりです!
最近は中々小説を書く意欲が湧かなかったのですが、また書いて行こうと思いますのでよろしくお願いします!
<side ガンジョウ>
目の前にいる戦鬼を見据える。
この男は異能力を失ったと聞いている。異能力者と無能力者の間には絶望的なまでの戦力差がある。
それにも関わらず、この男は獰猛な笑みを浮かべて俺に戦いを挑んできている。
「さあ、殺しあおうか!!」
そう言うと戦鬼は俺の方に突っ込んでくる。
すぐに俺は床に手を付け、俺と戦鬼の間に岩壁を出した。戦鬼は壁に刀を振るっているが、どうやら一撃では壁を砕けなかったらしい。
戦鬼が壁を砕く間に戦鬼の足元から岩の棘を出す。更に、俺と戦鬼の間に岩壁を出す。
岩の棘は躱されたようだが、別に問題はない。戦鬼が俺に向かってくるたびに同じことを繰り返す。
戦鬼を閉じ込めるように壁を出していく。確実に戦鬼を追い詰めていった。
そして、戦鬼の周りを完全に壁で覆った。
仕上げに、戦鬼がいるであろう場所に岩の棘を数本出した。
さっきまで聞こえていた岩と刀がぶつかる音は聞こえなくなっていた。
やけに簡単に倒せたな……。いや、異能力者と無能力者の戦いならこうなってもおかしくないか。
「さすがですガンジョウ様!」
「ああ。他の侵入者はどうなっている」
「それが……ビガー副看守長とスモー副看守長は倒されてしまったようです。更に、牢の鍵もいつの間にか奪われてしまったようで……」
報告を聞く限り状況は最悪と言っていいだろう。だが、俺が動けるなら話は変わる。
「分かった。侵入者の居場所は分かるか?俺が何とかする」
「はっ!!」
後は侵入者を追い詰めていくだけだな。
侵入者を追い詰めるように岩壁を出すが、流石に実力者が揃っており中々捕らえることはできない。
だが、徐々にではあるが確実に追い詰めることはできていた。
あと少しで雪鬼を捕らえることができるという時、部屋の中に誰かが入ってきた。
「お前がガンジョウだな?」
「侵入者か……。そっちから出てきてくれるなら好都合だ」
見たこともない男だが、実力者だと思っておいた方がいいだろう。早く決着を付けて他の侵入者を捕らえなくてはいけない。
<side end>
***
僕の目の前には巨体の男がいた。モニターを睨みつけている様子からしてこいつが雪鬼の言っていた岩石の異能力者で間違いないだろう。
少し離れているところに、大量の岩壁がある。恐らくあそこに戦鬼がいるのだろう。
陰鬼、雪鬼の話ではこの場ではこいつの実力は八鬼神クラスらしいが、戦鬼を相手に無傷の勝利を収めたところを見るとそれは間違いないようだ。
正直なところ、僕とガンジョウの相性は良くない。戦鬼と同様に接近戦が主な戦闘手段の僕にとって、岩壁で距離をとって戦うこの男との相性は最悪と言っていいだろう。
だからこそ狙うのは短期決戦だ。
刀を片手に距離を詰めに行く。
ガンジョウが手を床に付けると、床から岩壁が出現する。岩壁に刀を振るう。
ロボットの装甲を斬ることができる僕の刀は、岩壁も真っ二つにした。しかし、その岩のすぐ後ろにはまた岩壁が生まれていた。
目の前の岩を斬り続ける。僕が岩壁を斬る速さとガンジョウが岩壁を生成する速度はほとんど同じだった。
埒が明かない。僕がそう思った時、背後から銃弾が飛んでくる予感がした。
横に跳び、銃弾を躱す。銃弾を撃ったのはガンジョウの仲間たちだろう。銃弾を避けることはできる。だが、それを避ける隙にガンジョウは岩壁を生成し僕の行動できる範囲をじわじわと狭めてくる。
先に銃弾を撃ってくる奴らを倒しに行くべきか?いや、その隙をガンジョウに狙われることになる。
銃弾を躱しつつ、ガンジョウに攻撃を当てにいくしかない。
ガンジョウに突っ込む。だが、銃弾に邪魔され続け徐々に僕の周りに岩壁が生成されていった。
このまま囲まれるのはまずいと思い、外に出ようとするがガンジョウはそれを見越して僕が逃げる方向に岩壁を生成してくる。
その岩壁を壊せば、また新たな岩壁が生成される。同じことの繰り返し。だが、援護射撃のあるガンジョウが圧倒的に有利だった。
このままだと僕もいずれガンジョウに倒されるだろう。だが、この場にはあと一人僕の仲間がいる。
「あー中々にきつかったぜ……さあ、ガンジョウもう一度勝負といこうぜ」
岩壁に覆われた空間から砂ぼこりと供に現れたのは戦鬼だった。
「……生きていたのか」
ガンジョウは平静を保ちながらそう呟いた。
「当たり前だろ。ん?おお、シンじゃねえか。どうした?もう仕事は終わったのか?」
「お前が倒されたって聞いたから援護に来たんだ」
「はあ?俺が倒された?何言ってんだ。勝負はまだ始まったばかりだぜ」
戦鬼は不満そうにそう告げた。
「そうか。なら、そっちは任せる」
「おうよ」
ガンジョウを戦鬼に任せ、僕は周りにいるガンジョウの仲間たちを倒しに行く。
「くっ!!撃て撃てえ!!」
四人の男たちが銃を構え、銃弾を放つ。
それらを躱しつつ、コートの中からベレッタを取り出す。最近は使ってなかったけど、やっぱり銃は剣より強いというし使った方がいいよね。
ベレッタを構え、銃弾を放つ。敵は僕を撃つことに夢中で自分の方に向かってくる銃弾を避けるまでの余裕はなかったようだった。
「「「「ぐはっ」」」」
銃弾をくらった四人がその場にうずくまる。その四人に近づき、全員の意識を刈り取った。
残すはガンジョウだけだが……。
「おい、こいつは俺の獲物だからな」
戦鬼に釘を刺される。
正直、ガンジョウをここで倒しておきたいが戦鬼の気持ちも分らないわけではない。危なくなれば僕が助けに行けばいいし、好きにさせるか。
「分かった。でも、最優先はガンジョウを倒すことだ。戦鬼が一人でガンジョウを倒せないと判断したら手助けするからな」
「ああ、それでいい」
戦鬼も同意してくれた。なら、とりあえず僕は横で二人の戦いを眺めさせてもらおう。
***
<side 戦鬼>
「お前らはどうやらバカのようだな。二対一のアドバンテージを自ら捨てるなど理解できん」
ガンジョウが俺らを馬鹿にしたような目で見てくる。
「はっ!勝てるか分からねえ相手に自分一人の力で挑むから楽しいんだろうが。俺は楽しむためにここに来てんだよ。精々、楽しませてくれよな!!」
そう言って俺はガンジョウに突っ込んでいく。
「馬鹿な男だ。さっきの戦いで俺とお前の決着は既についている」
俺の目の前に岩壁が現れる。さっきまでは三回刀を振らなければこの壁を打ち砕くことはできなかった。
だが、何度も斬ればいずれ慣れてくる。時間はかかったがコツは掴んだ。刃が入る方向に無駄なく全ての力を加える。そうすれば、刀の切れ味は最大限発揮される。
目の前の岩壁は真っ二つになっていた。
「なんだと……!?」
「これで五分五分だな」
自分の成長を感じられる。これだからギリギリの戦いはやめられない。
「さあ、第2ラウンドだ。今回はさっきほど簡単にはいかねえぜ」
ありがとうございました!




