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第68話 無双

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 僕の宣戦布告に対して、ギリアムは初めこそ表情を歪めていたもののすぐに余裕の笑みに戻った。


「私の計画を全て打ち砕く?高々十数人程度で三十人に勝てると思っているのですか?」

「思ってるからそう言ってるんだよ」

「なら、見せてもらいましょうか!」


 ギリアムがそう言うと、敵はそれぞれ武器を構える。


「異能力者もどき以外は目障りなゴミと騎士団員を始末しなさい。異能力者もどき五人は私と一緒にこの調子に乗っているガキを始末しますよ」


 ギリアムの言葉と供に、僕の周りに五人の集団が現れる。


「くっ……!シン君!解毒薬は他にないのか!?」


 騎士団員の一人が声を掛けてくる。確かに、毒で動けない騎士団員を十人程度抱えてはあまりに僕らが不利だ。

 僕はポケットから佳奈ちゃんから貰った解毒薬を三つ取り出し、その騎士団員に投げる。


「残念ながら、残っている解毒薬は三つだけです。三人で倒れている騎士団員は守ってください」

「ありがとう!」


 返事を返した騎士団員の方は直ぐに残りの二人を選び、解毒薬を飲ませていた。


「よそ見とは余裕だねぇ」


 解毒薬を投げる隙をつき、五人の一人が僕に向けて火球を放つ。だが、パーフェクト・ゾーンに入っている僕には大した脅威にはならなかった。

 火球を躱し、五人とギリアムを見据える。


「ひゅう~。なかなかやるねぇ」

「まあ、ギリアムさんが警戒する相手だしそれくらい普通っしょ」

「……ツブス……」

「めんどくさ~い。早く終わらせよ~よ~」

「中々可愛い顔じゃない。私がもらってもいい?」


「さて、シン君。精々、粘ってくださいね?」


 そう言うと供に、ギリアムと五人が僕を狙って動き出す。一番最初に動こうとしたのは、さっき僕に火球を放った男だった。


「避けられるかな……ぐあ!?」


 火球を五個程度作り、僕に放とうとしたところに木刀を投げつける。木刀は男の頭に直撃し、男はその場に倒れた。


「ちっ!雑魚はこれだから……これでもくらうっしょ!」

「……ツブス!」


 「武器の異能」のコピーを扱う男が僕に向け、銃弾を撃ち込んでくる。それと同時に、もう一人の男が僕に突っ込んでくる。その男の身体が銃弾を弾いているところを見るに、恐らく「硬化の異能」のコピーを扱っているのだろう。


「ツブスウウウウ!!」


 突っ込んでくる男の拳を避け、掌底を腹に打ち込む。


「がはっっ!!?」


 こっちは本物と戦っているんだ、今更コピーに負けたりはしない。膝を地面に付ける男を盾に銃弾を撃ち込む男に僕からも銃弾を放つ。


「動かなくなった?もしかしてやっちゃった……しょお!?」


 僕の放った銃弾が当たった瞬間、男の動きが止まる。その時間は僕が距離を詰めるには十分すぎる時間だ。


「……しょおおお!?」


 僕の拳を顔面で受け止めた男はそのまま白目を向いて気絶した。これで、残りは三人。そう思い、残りの三人を倒すべく、動こうとした時足に違和感を感じた。足元を見ると、僕の靴を氷が覆っていた。


「ふふふ~もう自由に動けないね~」


 どうやら身長が低めの女性の仕業のようだ。恐らく「氷の異能」のコピーだろう。動けない僕の正面にスタイルのいい美女がやってくる。


「私の目を見て。あなたは私の奴隷になるの……ほら、奴隷なら私に頭を垂れなさい」


 女性の瞳を見ると頭にもやがかかる感覚がした。だが、これなら以前に会った淫鬼の方が凄かった。それに目の前の女性は確かに美人だが、正直、優理や美月さん、佳奈ちゃんの方が魅力的だと思う。そう考えると頭の中がスッキリしてきた。


「やだ」

「はあ!?な、何で魅了が効いてない……げふぅ!!?」


 足は動かなくても、上半身は動く。僕に近づいていた女性は僕の腹パン一発で地に伏した。僕が魅了されなかったことはもう一人の女性にとっても予想外だったようだ。動揺している隙に、足を覆う氷を刀で砕く。


「あ……」


 呆然とする女性に近づき、腹パンを食らわせる。そして、その女性も白目を向いて倒れた。


 戦鬼、疫鬼と八鬼神の二人との戦闘の経験はどうやら僕をかなり成長させたらしく、異能力者もどき程度なら五人がかりでも簡単に勝てるほどには僕は強くなっていたようだ。自らの強さに自分でも納得していると、騎士団の格好をした人が僕に近づいてきた。


「シン君!やるじゃないか!どうやら手伝いの必要はなかったみたいだな」


 騎士団員の人が僕の間合いに入ってくる瞬間、僕はその騎士団員に向けて刀の先を向けた。


「な、何のつもりだい?」

「ギリアムだろ?」


 僕の言葉に騎士団員は平静を装って話しかけてくる。


「何を言っているんだい?この僕がギリアムなわけないだろう?」

「ギリアムの仲間から聞いた。ギリアムは異能力者だと……そして、ギリアムは今まで騎士団員に扮したリバーシの連中をイギリスに送り込んでいたってな。普通に考えれば、バレるはずだ。それこそ、リバーシの連中が騎士団員の人たちそっくりになれない限りはな」


 僕の説明を聞くと、目の前の人は手を額に当てて笑い出した。


「……くくく。なるほど……その様子だと、私の異能に心当たりがあるようですねぇ」


 そう言うと、騎士団員の人の顔が崩れギリアムの顔が現れる。


「やっぱりお前は『変化の異能』の異能力者か……」

「やれやれ、バレたなら仕方ない。ここらで私は退散させてもらいましょうか」


 ギリアムはそう言うと、その場から離れようとする。


「僕がお前を逃がすとでも?」

「貴方には私を逃がすという選択肢しかありませんよ。貴方にとってもゴミ屑たちは大切でしょう?」


 ギリアムがそう言うと、ジャンヌさんたちの中で、この場の戦いに参加しなかった人たちが隠れている場所付近で爆音がなった。


「くくく……どうやら私の仲間があなたたちの仲間の居場所を突き止めたようですねぇ。どうしますか?どうせ鼓舞の異能力者はここに連れてきているんでしょう?早く行かないと全員死んでしまいますよ?」


 なるほど。終始ギリアムが余裕な表情を崩さなかった理由はこれか。こいつはジャンヌさんたちが仲間思いであることを利用したわけだ。全く、こいつは本当に思い通りに動いてくれる。


「ははは!……あー、本当にお前は読みやすいな」

「何が可笑しいんですか……?読みやすい?まさか、貴方はこの状況を読んでいたと言うのですか!?」

「ああ、そうだよ」


 僕の言葉にギリアムは目を見開き反論してくる。


「馬鹿な!?貴方たちの情報はしっかりと集めました!あの中に、リバーシの兵士を退けられる存在は貴方と、鼓舞の異能力者で強化された人間くらいだ!!そして、その両方ともここに来ている!他に誰がいるというのですか!?」

「ああ。確かにそうだ。あの中にはそんな存在は残っていない。あの中には……な」


 僕がそう言い終わると同時に、ギリアムの背後に一人の男が現れる。


「おいおい、シン。もう終わっちまってんじゃねえか……あっちの方は歯ごたえのあるやつが一人もいなかったからこっちに来たのによぉ」


 その男は……イギリスに来た日から分かれて行動していた戦鬼だった。


 

久々に戦鬼登場!

次回もよろしくお願いします。

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