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第62話 イギリス到着

 試験やら何やらで忙しく更新できていませんでしたが、これからはまた更新できるようになると思います。

 イギリスへと向かうことを決めた日から一週間後、僕は今イギリス王室が用意してくれたジェット機に乗っていた。


「田中様、ランチはチキンとビーフのどちらにいたしましょうか?」

「僕はビーフで頼むよ」

「かしこまりました」


 さすがは王族御用達のジェット機だ。従業員も超一流な上に出てくる食べ物やサービスも超一流だ。()()は空の旅を満喫していた。


「おいおい、酒が無くなっちまったぞ。次の酒用意してくれや」


 僕の隣で空になったボトルを掲げた戦鬼が従業員を呼ぶ。

 そう、今回のイギリスに向かうにあたって僕は戦鬼を連れて行くことにしたのだ。理由は二つ。一つ目はリバーシや国の異能力者たちと張り合う上で僕一人では戦力が心もとなかったから。そして、二つ目は……。


「んで、てめえが言ってたよく分からん集団にはあと誰を誘うつもりなんだ?」


 戦鬼が従業員が持ってきた新しいボトルのワインをグラスに注ぎながら聞いてくる。


「んー……まあ強ければいいかな。その辺はあっちに着いてから決めるよ。最低でも、今の戦鬼と同等かそれ以上の力を持っているってことが条件かな……あと、よく分からん集団じゃなくて『イレギュラー』だから」


 そう、今回から僕は個人レベルでの強キャラをやめることにしたのだ。僕は今まで一人でも、ありとあらゆる敵を倒し無双できると勘違いしていた。だが、僕が暴れようと思えば当然のごとく移動手段が必要だし、金も必要になる。

 そう、真の強キャラムーブをするには一人では無理なのだ。ならば、F.Cに頼ればいいとなるが、生憎とあそこにいると僕は主人公扱いされてしまう。だからこそ、僕は一から自分で仲間を集めることにしたのだ。


「そうそう、それそれ。俺に少し心当たりがあるからよ。あっち着いたらメンバー集めに関しては俺に任せてもらえねえか?」

「なら、任せようかな。じゃあ、あっちに着いたら戦鬼と僕は別行動ってことで」


 戦鬼と簡単な打ち合わせを終え、僕は丁度運び込まれてきたランチを楽しむのだった。


 どうでもいいけど、どうして牛肉のステーキはレアでもお腹壊さないんだろう……まあいっか、美味しいし。



***


『当機はもうすぐ着陸します。シートベルトを締め、着陸に備えてください』


 機内にアナウンスが響き、暫くするとジェット機が停止した。


「田中様、センキ様、イギリスに着きました。女王様から王城に招待するよう言われているので付いてきてください」


「ああ、ごめん。戦鬼は何か用があるみたいでここから自由にさせたいんだけど、いいかな?」


 僕がそう言うと、従業員の方はどこかへ電話をかけて何かを確認した。


「……かしこまりました。ただし、センキ様には発信機を付けさせていただきます。よろしいでしょうか?」

「ああ、かまわねえよ」


 戦鬼がそう返事をした後、戦鬼の身体に発信機が付けられた。


「この発信機を破棄した場合、私たちは貴方を敵とみなしますので気を付けてください」


 従業員の注意を聞いた後、すぐに戦鬼は何処かへと走っていった。


「では、田中様はこちらに」


 こうして僕は従業員の方と王城に向かうのだった。


***


 王城に着くと、すぐに女王様のいる部屋へと連れていかれた。


「ようこそ、我が国へ。歓迎するわシン君」


 部屋の中には女王様と、その女王様の近くに護衛が数人ついていた。


「今回は歓迎していただきありがとうございます」


 膝を付き頭を下げる。


「さて、貴方がこの国で何をしたいのか、何をするつもりなのか教えてもらってもいいかしら?」


「僕はここに強さを求めてきました。リバーシとの戦いの最前線で僕は強くなりたい」


 僕の言葉に女王様は嬉しそうに笑顔を浮かべた。


「なら、私たちに強力しなさい。貴方に戦争の最前線を見せてあげるわ」


「分かりました。喜んで協力させていただきます」


 僕の言葉に女王様は満足そうな笑顔を浮かべた。そして、その言葉を最後に僕と女王様の話し合いは終了した。



「こちらへどうぞ」


 王城の従業員に連れられ、僕がこれから数日過ごす部屋に通される。


「何かあれば、部屋の中にあるベルですぐにお呼びください」


 部屋の中に一人になり、ベッドに寝転がる。


 さて、これからどうしようか。女王様に協力すると言ったが、正直のところ僕はさっさとこの国を失踪するつもりでいる。僕の目的はイギリスよりむしろ、かつてドイツやイタリアがあった場所であるユーラシア大陸の西側にある。

 それに僕のやりたいことをやるうえでいつまでもイギリスにいるのは都合が悪いしな。

 よし、ひとまずはこの王城で様子をみて、いいタイミングでここを出て行くか。


 するべきことを決めれば後は寝るだけと、僕はゆっくりと眠りについた。



***

<side エリザード>


「女王様!正気ですか!?」


 私の護衛にして、英国騎士団副団長であるクリスが詰め寄ってくる。


「ええ、私は至って正気よ」


「何故あのような子供を我々英国騎士団に入れる必要があるのですか!?彼がいくら日本ではそこそこ有名な実力者だったとしても、子供ですよ!?」


 人一倍正義感の強いクリスは子供であるシン君を戦わせることに納得がいかないようだ。


「クリス、これは戦争よ。既にそんなことを言っていることはできない状況にあるわ。確実にリバーシは勢力を広げつつあるわ……私たちは国を守らなくてはならないのよ。そのためなら私は鬼にだってなって見せるわ」


「……分かりました。でも、彼は俺の部隊に入れさせていただきます」


 そう言うと、クリスは部屋から出て行った。

 クリスは優秀だけれど、少し融通の利かないところがある。勿論クリスの言うことも理解できる。でも、戦争というものは理想だけではやっていけない。


「やれやれ、クリスには困ったものですな。子供であろうと間違いのない実力者。利用するのが一番でしょうに……団長殿もそう思うでしょう?」


「私は女王様に従うだけだ」


 二人目の英国騎士団副団長であるギリアムの言葉にこの国一の実力者である騎士団長のウィリアムが返事をする。


「あなたたちもいつまでもここにいないで公務に戻りなさい」


 私の言葉で二人が部屋から出て行く。そして、私は部屋に一人になると、ローブを身に纏ったある人物が私の目の前に現れた。



「マーリン様……お久しぶりでございます。お言葉通りシンという男を我が陣営に引き込むことに成功しました」


 マーリン様は我が王家に代々使えるご指南役であり『予知』の異能力者である。1週間に1度という制限はあるものの未来を予知できる彼女がこうして姿を現したということは何か重大な未来を見たということだろう。


「……裏切者がいる。早く見つけないと不味いことになる」


「な……!?マーリン様、裏切者とは一体?」


「……ごめん。裏切者が誰かは分からない。でも、騎士団内にいる。」


「……分かりました。忠告感謝いたします。」


 私がお礼を言うと、マーリン様は再び奥の部屋へと姿を消した。


 裏切者の存在……リバーシの各地の学園襲撃があった時に、その可能性を疑い全ての人物を確かめた。そして、確実に内通者は処罰したはずだった。それに、英国騎士団は私たち王族が自ら選んだ精鋭たちだ。彼らの中にいるなんて疑いたくもないが……。


「……最悪ね。いえ、もしかするとこの時に備えて彼を我が国に呼ぶようにマーリン様は言っていたのかもしれないわね」


 八鬼神のうち二人を撃退、悉くリバーシの計画を邪魔しているあのシンという男がもしかするとこの国を救ってくれるかもしれない。それはあまりに私にとって都合の良い妄想かもしれないが、今はそれに縋りたい気持ちだった。


<side end>

 

勘違い要素が少なくて辛い……。

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