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第56話 なんだかんだ言って生身よりロボットの方が強い気がする

大変お待たせしました……!!


書こう書こうと思っていたら、こんなに間が空いてしまいました。

第56話です!

「……ひ、ひひっ。……本当に来るなんて馬鹿なやつ。」


さっこまでの怯えた様子とは一変して、疫鬼はポケットからリモコンのようなものを取り出し、それを押した。



ガシャン。



機械的な音が鳴り響き、5台のロボットが姿を現した。



「……どうだい?このロボット1台でその辺の異能力者でさえ倒せる代物さ……。ここまで来たことは凄いけど、君はこいつらに潰され『ガシャァンッ!!』……は?」


疫鬼の目線の先には僕が斬ったロボットが一台だけあった。



「長々とうるさい。御託はいいから、さっさと来いよ。」



「……!調子にのるなよ……。行け!」



疫鬼の合図と同時に残った4台のロボットが僕に向けて一斉に大量の銃弾を放つ。



だが、それを読んでいた僕は1台のロボットの砲身目掛けて刀を放っていた。


狙うのはそこだ。

砲身を刀で塞がれた、そのロボットからは銃弾は飛んでこない。

銃弾の雨の中、僅かにできた隙間を潜り抜けてロボットたちの近くに行く。


そして、砲身から刀を抜き目の前のロボットを斬った。



まずは1台。



近くに現れた僕目掛けて隣のロボットがパンチを放ってくる。

そのパンチを紙一重で躱し、そのまま目の前のロボットを斬る。


これで2台。


刀の斬れ味は上々。

疫鬼はあっさりやられた2台のロボットを見て呆然としていた。



1台のロボットが背後からタックルしようとしてきた。

そのタックルを躱し、隙だらけの背中を斬る。


これで3台。



刀を振り下ろした直後の隙を最後の1台が狙ってくる。

でも、それも予想通りだ。


ロボットのパンチを紙一重で躱し、足元を鞘で払う。


ロボットはなす術もなく大きな音を立て、地面に倒れる。


ドスッ


倒れたロボットの頭部を刀で突き刺す。


これで全部だ。



「……く、くそっ!!」


一部始終を見ていた疫鬼がその部屋から逃げるように出ていった。



逃すか。



すぐに追いかけようとしたところで足を止める。

足を止めた僕の視線の先には優理の氷像があった。


さすがに優理を置いてはいけないな。


割と硬そうな氷だけど、いけるか……。


刀を一振りする。

すると、優理を覆っていた氷にヒビが広がっていき、氷が崩れていった。


「おっと……。」


中から倒れ込んでくる優理を抱える。


「呼吸は……してるな。よかった……。」


優理の身体はとても冷たかったが、呼吸はしているようだった。


「悪いけど、僕はもう行かなきゃいけないから……。」


優理の全身を覆うように上着を被せ、僕は疫鬼が逃げていった方へ走っていった。



奥の方へと続く長い廊下を走り抜ける。

走り抜けた先には暗い倉庫があった。


倉庫の中は思いのほか広く、暗かった。


「疫鬼、いるんだろ?」


『……ひひっ。さっきは思わず取り乱してしまったけど、こいつの前には皆無力さ……。』



機械的な声が聞えたかと思えば、倉庫内の電気がついた。

そして、僕の目の前には3メートル程度の高さのロボットが立っていた。


「これは……。」


ロボットの高さに思わず見上げてしまう。


『ひひひ、これが僕の切り札さ。これで、君を徹底的にいたぶってあげるよ。』


なるほど……これが切り札か。


「じゃあ、これが僕とお前の最後の戦いになるな。」


『そうさ。この戦いでお終いさ。もちろん、君の敗北でね。』


「一つ聞きたいことがある。」


『……なんだい?』


「お前を倒せば、有本さんの体内のウイルスは死滅するんだよな?」


『……ひひっ。その通りだよ。でも、僕を倒せれば、ね!!』


返答と供にロボットの拳が振り下ろされる。


単純な奴だ。


大きく後ろに飛んで拳を躱す。


「安心した。これで、お前を倒すことに全力を注げる。」


万が一、疫鬼を倒してもウイルスが死滅しないとかだったら面倒だったし、疫鬼を脅迫する必要があったからね。


刀を片手にロボットに斬りかかる。

何が狙いかは分からないけど、疫鬼が乗っているロボットは特に動こうとはしなかった。


ギインッ!!


鋭い金属音が鳴り響く。



『ひひひ……このロボットは特別なのさ。その程度の刀じゃ斬れないよ……。それと、これでも食らうといい。』


疫鬼の声と供に、ロボットの身体からガスが噴出される。


これはやばい!

すぐにその場から離れる。


『ひひ……逃げて正解だよ。でも、いつまで逃げられるかな?』


その言葉とともに、ロボットがガスを噴出しながら接近してくる。


ガスを恐れて攻撃しなかったら戦いが長引くし、決定打も打ち込めない……。

呼吸を止めて迎え撃つしかないな。


ロボットの動きは戦鬼に比べれば大してことはない。

十分、見切れる。


ロボットが僕を捕らえようと腕を伸ばしてくる。

それを躱して、関節部分に刀を振り下ろす。


ギインッ


だが、関節部分にも刃は通らなかった。


くそ……。

そろそろ呼吸もやばいし、離れるか……。


すぐにロボットから離れる。

そこで異変に気付いた。


さっきより、視界が悪いような……。

まさか……!


出入口に目を向けると、さっきまで開いていたはずの扉が完全に閉じていた。


『……ようやく気付いたみたいだね……。もう、この空間は密閉されてる。つまり、僕が出す毒ガスはこの空間にとどまり続ける。シン……君はいつまで耐えられるかな?』


やられた……。

こうなった以上、短期決戦で決めるしかない。


刀を構え、ロボットに詰め寄る。

懐に潜り込んで、ひたすらにロボットの至る所を斬りつける。


どこかに必ず弱い部分があるはずだ。

そこを見つけ出せれば、僕の勝ちだ。


『無駄無駄……。僕はひたすらに君が弱っていくのを待つだけだからね。精々、あがいてくれよ…。』


悔しいが、現状は疫鬼が圧倒的に有利だ。

むやみやたらに刀を振るったところで、意味はない。

一点集中で、疫鬼がいるであろうロボットの胸のあたりだけを狙う。


ギンッ!ギンッ!ギイン!!


意味があるかは分からないが、やるしかない。

ひたすらに胸部を斬りつける。


「……ぐっ!?」


不意に視界が揺らぐ。


『ようやく、毒が効いてきたみたいだねぇ。』


その隙を疫鬼が狙ってくる。


「くっ……!!」


間一髪で疫鬼の攻撃を躱す。


『……ひひひ。まだ元気はあるみたいだね。』


一瞬くらっと来たが、まだいける。

ただ、長くはもたない……。

あと5分……いや、3分でけりを付けてみせる……!!


集中力を高め、ロボットの懐に入り込む。

そして両手に持った刀で一点をひたすら斬り続ける。


「……ぐっ……。」


口から少し血が漏れる。

それでも止まらない。

ここで、こいつを僕が倒せなければこの戦いは僕たちの負けになってしまう。


 有本さん、美月さん、戦鬼、優理、佳奈ちゃん……その他多数……たくさんの人の思いと命が僕のこの手に懸かってる。

 いや、そんなことはどうでもいい。ただ、気に入らないだけだ。目の前で笑っているであろう疫鬼(こいつ)のことが……!!


ガガガガガガッッ!!


 徐々にではあるが、ロボットの胸部の装甲がへこんでいっている気がした。


『……ひひ?……あ、あれ……。』


 疫鬼の声からも余裕がなくなってきていた。


 あと少しだ……。あと少し、いけ……。


 意識がもうろうとしてくる。限界は確実に近づいていた。



「くっそ……。これが……最後だ……!!」


 一番へこんでいる胸部に向けて渾身の力で突きを放つ。


ガッ!!!


 突き刺さる感覚を手に残して、僕は膝を付いた。



続く!

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