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第47話 爆散!!

47話です。


***

<side 贋鬼>


 「くそっ!!何故だ!?…シュミレーションでは確かに異能力者を倒すことが出来ていたのに…。」


広めの部屋で一人の男がモニターに映る動かないロボットを見て、悔しそうに机を叩いた。


まあ、予想通りの結果…だね…。

机を叩く男を冷ややかな目で見て、僕はそう呟く。


斉破重工の所長を名乗る彼は、僕たちリバーシに異能力者を倒すロボットを作るために協力して欲しい、そう言ってきた。

僕たちリバーシは対価として、ロボットを僕らも使えることを提示して彼に協力することにした…が、結果はこの通り。


彼は異能力者のことを少々甘く見ていたようだ…。


「…ふひっ…。」


「おや、疫鬼。動くのかい?」


「…ひひ。…こうなることは予測できていたからね…ここからが僕の仕事さ…。」


僕と同じく八鬼神の一人である疫鬼が所長に近づき、所長に注射器で何かを打ち込んだ。


「…ぐあっ!?毒島君!?…どういうつもり…だ……。」


注射器を撃ち込まれた所長は疫鬼の胸倉を掴んだが、すぐに床に倒れて動けなくなってしまったようだ。


「…な、何を…した…?」


「ひひっ…もうあんたに用はない…。」


「くっ…裏切ったのか!?」


裏切った?随分と人聞きの悪いことを言うなぁ。


「何言ってるのさ。僕らはただ利害が一致していたから一緒にいただけ、君たちが使えないと思ったら切り捨てるのは当然でしょ?」


「……っ!」


所長は悔しそうにこちらを睨みつけてきたが、それ以上は何も言ってこなかった。


何だ、もう大人しくなるのか…。


「それで、疫鬼は何をするんだい?」


「ひひひ……あれをばらまくのさ…。」


そう言って疫鬼はニヤァと笑った。


結局、僕らの予定通りに物事が進むわけか…。

んー。別にいいんだけど、何か一つくらい面白いことが起きないかなぁ。


「そっか…あ、僕飲み物買ってくるけど、疫鬼は何かいる?」


「…別にいらない。」


「ほーい。」


広めの部屋を出て、長い廊下を歩く。


自販機で飲み物を選んでいると、二人組がこちらに走ってくる姿が見えた。

僕は自販機の陰に隠れて、二人をやり過ごす。


「シン君、こっちだ。」


「はい!」



ん?シン…?



…そうか。彼が来てるのか…。なら、今回の一件も楽しくなりそうだ。


あの戦鬼を倒したシンが来てることに少しの高揚感を覚えつつ、僕は疫鬼たちがいる大きな部屋を一つ上の階から眺めるため、階段を上るのであった。


<side end>

***


有本さんと二人で目的の部屋に急ぐ。


「シン君、こっちだ。」


「はい!」


その時、僕らが横切ろうとした自販機の陰に誰かがいる気がした。


「…?」


いや、今は優先すべきことがある。


僕は気にせずに有本さんに付いて行った。


「ここだ。行くよ、シン君。」


大きな扉の前で一度、足を止めたが、すぐに僕と有本さんは扉を開けて部屋に入った。


部屋の中には床に倒れている人が一人と、端の方で座っている女の子と思われる子が一人、そして、僕らが部屋に入った時にすぐにこちらを見てきた白衣の男が一人いた。


「…毒島…!!」


「…有本さん…?ひひっ…脱出できたんだ。」


「毒島、お前の思い通りにはさせない!」


「…止めれるなら止めてみなよ…。まあ、後はこのスイッチを押すだけでいいんだけどね…。ひひっ…。」


そう言って毒島という男がスイッチのようなものを取り出した時、僕はすぐに走り出す。


毒島という男と僕の距離はおよそ10メートル。

有本さんに気を取られている今なら、いける!!


一気に距離を詰めて、毒島という男が持つスイッチ目掛けて蹴りを放とうとした時、毒島という男の前に大きな氷の壁が現れた。


…くっ!?


僕の蹴りは氷に遮られ、毒島が持つスイッチを破壊することは叶わなかった。



「…ダメだよ、シン。」


僕に声を掛けてきたのは部屋の隅にいた女の子だった。

そして、その声は聞き覚えのある声だった。


「…この氷は君の異能か。…ルミちゃん。」


「…ふふ、そうだよ。…フリピュアの恩はあるけど…スイッチを壊すのは見逃せない…。」


ルミちゃんは僕の方を見て不敵な笑みを浮かべていた。


「ふひっ…雪鬼、助かったよ…。…ところで、そうか…君がシンか。…戦鬼を倒したって噂は聞いてるよ。どうだい?君が僕の実験のモルモットになってくれるって言うなら、このスイッチを押すことを考え直してあげてもいいよ?…ひひっ。」


「シン君、こんなやつの言うことを聞く必要なんてない。」


「ええ。分かってます。それに、こいつはどっちにしろスイッチを必ず押すでしょうから。」


僕がそう言うと、スイッチを持った男は少し口角を上げた。


「ひひっ…ばれてたんだ。」


やはり僕の予想通りだった。

だが、どうやってスイッチを押させないようにするか…。


僕の動きは先程からルミちゃんに警戒されている。

正直、ルミちゃんの動きを掻い潜ってスイッチを破壊するのはかなり厳しい…。


ふと、横から強い視線を感じた。


そこには何か強い決意を秘めた目でこちらを見ている有本さんがいた。


有本さん…。


有本さんが何を伝えたいのかは勘でしかないが、なんとなく分かった。


僕は有本さんの方を見て、一度頷いてから再びスイッチを破壊するために走り出した。



「…何度やっても、無駄。」


再び、僕と毒島という男の前に氷の壁が現れる。


その氷を腰に下げた刀で切り、前に突き進む。


そして、再び氷の壁が現れる。


「ひひっ…。無駄だよ、無駄。シン、そろそろ諦めたらどうだい?」


氷に守られてる毒島の余裕そうな声が聞こえた。


「いつまで、その余裕が持つかな。」


僕はそう呟くと、刀を片手で持ち再び氷の壁を壊しにいった。



「…何度壊しても、無駄。」


氷の壁が壊されたのを見て、再びルミちゃんが氷の壁を作ろうとする。



ここだ!


僕はコートの中に隠していた拳銃を取り出し、ルミちゃんに向けて銃弾を放つ。


「…っ!!」


ルミちゃんは銃弾を防ぐために自らの周りを守らざるを得ない。



この隙に、スイッチを壊す!!



だが、そう上手くは進まなかった。



「…舐めないで。」


ルミちゃんがそう呟くと、僕の目の前に今までで1番大きな氷の壁が現れた。


「…自分の身を守りながら、そこの疫鬼を守ることなんて、簡単。」



やはり、上手くいかなかったか…。


「別に、ルミちゃんのことを舐めたつもりないな。むしろ、君たちの方こそ舐めてるんじゃないのか?」


「…何を言ってるの?私は、あなたを舐めてなんてない。あなたに対しては最大限の警戒をしている…。」



そこで、僕だけしか考えていないところが舐めてるんだよなぁ。



「いや、舐めてるよ。…有本さんのことをね。」



僕がそう言った瞬間、有本さんが毒島の背後をとり、首元に僕がこの部屋に入る前にあらかじめ渡しておいたナイフを当てる。


「……ひぃ!?」


「……!?」


ルミちゃんと毒島の驚いた様子が伝わってくる。



「毒島、そのスイッチをこちらに渡せ。」



「…。」


「…ルミちゃん。僕を放って毒島を助けられると思わないことだね。」


異能を使おうとしたルミちゃんを僕は牽制した。



「さあ、そのスイッチを渡すんだ!」



追い詰めた。

後は毒島という男の異能だけが不安だけど…。



「…ひひっ。…構わないよ。」


毒島という男は僕と有本さんの予想と反して、特に抵抗することなくスイッチを手放した。


え?なんで…?


いや、とにかくこれでもうウイルスの脅威は無くなったんだ…。


だが、毒島もルミちゃんも作戦が失敗したにも関わらず特に気にした様子じゃないのは何故だ?



「はぁ。…残念だよ。…本当に残念だ。」



「…僕の手で起爆できなかったのが。」



「「え?」」


僕と有本さんの声が重なった瞬間、モニターから爆発音が聞こえた。



僕と有本さんがモニターを見ると、そこには爆散してウイルスを撒き散らすロボットの様子が映っていた。


テストが終わった!!

更新頻度を上げれたらいいなぁ。

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