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第40話 小さい子って割と重要

もろこしさん。感想ありがとうございます!


40話です。

 「…ふふふ。」


ヤミーに似ている子はフリピュアなりきりセットを着ることができて嬉しそうにしていた。


「じゃあ、今から僕のお願いを聞いてもらっていい?」


「フフフ…。…今の私はフリピュアの一人…どんなことでもできる…。」


「今から、村田さんていう人に会いに行くんだけど、その人は大のフリピュア好きらしいんだ。だから、その人に君のフリピュアになりきった姿を見せてあげて欲しい。それが僕からのお願いだ。」


僕のお願いを聞くと、女の子は拍子抜けと言った様子を見せた。


「…その程度なんだ。別に、問題ない…。」


「なら、良かった!!じゃあ、早速行こうか!」


「……折角、フリピュアになりきって、欲にまみれた人間をしばけると思ったのに……少し、残念…。」


背後から不穏な言葉が聞こえた気がするけど、しーらない!




二人で秋葉原の街を歩くこと数分、僕らは目的地である、とあるマンションの玄関に来ていた。


玄関で村田さんの部屋番号を打ち込み、少し待つと、村田さんと思われる人の声が聞こえた。


「あの!僕は田中というんですが、村田さんと一言お話しさせていただきたくて訪問させていただきました。」


「田中…?知らないわね。帰って頂戴。」


「ち、ちょっと待ってください!村田さんがフリピュアが好きだと聞いたので、こちらを見ていただけませんか?」


そう言って、僕がヤミーに似ている子をカメラに向けた瞬間…。


「いやん!!可愛い~!お嬢ちゃん、どこから来たの?よかったらお姉さんの部屋に来ない?フリピュアのグッズもいっぱいあるよ?」


お、おお…。

正直、予想以上に食いついてきて軽く引くわ…。


とにかく、これはチャンスだ。


僕は一旦、カメラからヤミーに似ている子を引き離して村田さんと交渉する。


「村田さん。この子と喋ったり、この子の写真を撮ったりしたいなら僕らを中に入れてください。」


「あ、ああ…。くっ!あなた、中々やるわね…。…いいわよ、中に入りなさい。」


村田さんがそう言うと、自動ドアが開いた。


僕が自動ドアをくぐった後、後ろの女の子がこちらに来るのをためらっている姿が見えた。


「どうしたの?早く来てくれないと困るんだけど。」


「……最初から、あの女に生贄として捧げるつもりだったってこと…?…自らは手を出さずに女同士のプレイを眺めて楽しむなんて……変態…。」


「いや、違うから!まあ、生贄のとことかは100パーセント否定しきれないとこはあるけど、僕は変態じゃない!!」


「変態は皆そう言う…。」


どうやらこの子の中で僕の変態イメージはもう覆されないらしい。


「とにかく!早く行くぞ!!」


「…あ…。」


僕は女の子の手を引いてマンションの中に入っていった。


目的の部屋の前まで来てインターホンを押すと、中から綺麗な女性が姿を現した。


「村田さんで……」


すか?と僕が言い終わる前に村田さんと思われる女性は僕の体の陰に隠れていた女の子を連れて部屋の中へと入っていった。



「……え?」


わずか一瞬の出来事に僕の頭は未だに状況を把握できていなかった。



落ち着け…。


えっと、さっきの女性が村田さんで間違いない。


そして、村田さんに連れて行かれたのが僕の後ろにいた女の子……ということは…?



「村田さん!村田さん!!開けてください!ずるいですよ!!」


扉を強く叩き声を張り上げるが扉が動く様子は一つもなかった。


くそ!完全にやられた!


真の変態は村田さんだった…。



僕が村田さんを見誤ったことを後悔していると村田さんの部屋の扉がゆっくりと開いた。



「村田さん!開けてくれたんです……ね…?」


扉の中からは僕の予想とは違い先ほどの女の子が出てきた。


「なんで?」


「フリピュアは欲にまみれた大人に負けたりしない…!」


ああ…。

なるほど…。


村田さんはこの子に撃退されたのか…。


部屋の中に入ると、そこには氷漬けになった村田さんがいた。


ええ!?



「村田さん!村田さん!?」


「…上手くできた。」


僕の横で誇らしげに女の子が胸を張る。


いや、この子異能力者だったのかよ!

それより、村田さんを助けないと!


「申し訳ないんだけど、この氷をとくことってできる?」


僕がそう言うと、女の子は嫌そうに顔をしかめながらも渋々氷をといてくれた。



「村田さん!?しっかりしてください!」


「…う、うう。…美少女からの…氷漬け……最高…。」



何故か村田さんは恍惚の表情を浮かべていたが意識はあるようだった。


良かった…。

会って、早々に協力者を失うところだった。




それから村田さんが元気になるのを待って数十分が過ぎた。


「ふー。危なかった。助かったわ、田中君。」


「いえ…。何をしたらあんなことになったんですか?」


「え?特におかしなことはしてないわよ。そこのフリピュアのコスプレしてる子が可愛いからほっぺすりすりして、スカートの中に顔を突っ込もうとしただけなんだけど…。」


うわ…。

この人、やばい…。


「そ、そうですか…。」


「そういえば、そこの女の子の名前を聞いてなかったわね!…はあ、はあ…ねえ、お姉さんに名前教えてくれない…?」


村田さんがそう言ってヤミー似の女の子に近寄ると、その子は少し怯えた表情を見せた後、僕の後ろに隠れた。


「ああ…!そ、そんな怖がらなくていいのよ?ね?」



「はあ…。ごめん。村田さんに名乗ってあげてくれないか?」


「…やだ。」


「…フリピュアなりきりセット。」


「くっ…。…分かった。…ルミ…私の名前はルミ…。」


…そっか。ルミって名前だったのか…。


「ルミちゃんね!凄くいい名前ね!ねえ、ルミちゃん、私とちょっといいことしないかしら?大丈夫!悪いようにはしないから、ね?」


「はいはい。村田さん、ストップです。ルミちゃんも、その手に出してる雪みたいなもの引っ込めて。」


ルミちゃんに近寄ろうとする、村田さんの前に立ち、村田さんとルミちゃんにストップをかける。


「…何よ。私、男に興味ないんだけど。」


「分かってますよ。でも、ルミちゃんに手を出すことはやめてください。それと、後で僕と話す時間を取ってくれること、この二つを守ってくれるのであれば、ルミちゃんによるフリピュアのコスプレショーをお見せしますよ?」


「なっ…!!…ふふふ。貴方、中々分かってるわね。いいわよ。この場では手を出さないと約束するわ。」


「ええ、それで構いませんよ。」



よし、交渉は成立だ。

後はルミちゃんにコスプレショーをしてもらうだけだ。


「じゃあ、ルミちゃん。後はお願いするよ?」


「…こんな欲にまみれた人の前でコスプレショーなんて…屈辱…。でも、分かった…。」



ルミちゃんの了承を得た後はあっという間だった。


ルミちゃんのフリピュアになり切っての変身シーンの再現や、名セリフの再現。

それら全ての完成度が高く、ルミちゃんのフリピュア愛がよく伝わってきた。

圧巻だったのは、やはりヤミーのコスプレをしたときだろう。

ルミちゃん自身もヤミーが好きなためか、ヤミーの時は思わず息をのんで見惚れてしまうほどの可愛さと再現性の高さがあった。


気付けば時間はあっという間に過ぎていき、夕方になっていた。



「…あ。…そろそろ帰る。」


「もう夕方ね…。そうね、名残惜しいけどもう帰った方がいいわ。ルミちゃん。送っていこうかしら?」


「…いらない。…迎えが来てる。」


「そう。じゃあ、田中君。せめて、下までは送っていってあげてね。」


「分かりましたけど、この後の件、お願いしますね?」


「分かってるわ。」



そういったやり取りがあり、僕はルミちゃんをマンションの玄関まで送っていた。


「ルミちゃん、今日はありがとうね。おかげで目的が達成できそうだよ。」


「…例には及ばない。」


その後、ルミちゃんの迎えと思われる車がやって来た。


「…それじゃ。」


ルミちゃんはそう言ってその場を後にしようとする。



「ああ…そうだ。聞き忘れてたんだけど、リバーシは今度は何をするつもりなんだ?」



僕がそう言うと、ルミちゃんは足を止めてこちらに振り返った。


「…気付いてたんだ。」


「異能力者がそんな簡単に街中にいるわけがない。特に、君くらいの年齢の女の子の異能力者が自由に過ごせるわけないだろ?」


「…ふふ。確かに…。…知ったところであなたにどうこうできることじゃないから…教えてあげる。…私たちの次の狙いは…日本の異能力者たち…。…戦鬼を倒したシンの力、見せてね…?」


ルミちゃんはそう言い残すとすぐに車に乗ってどこかへと行ってしまった。



お、おお…。割と勘で適当なこと言ってみたら、本当にルミちゃんリバーシの一員だったんだけど…。

しかも、僕のこと知ってるみたいだったし…。


それにしても、次の狙いは日本の異能力者たちか…。



とにかく、今は村田さんから斉破重工の話を聞こう。

今回の話のキーの一つは斉破重工で間違いないだろうから。



僕は再びマンションの中へと戻っていった。


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