シッパイされた男
お盆にもかかわらず
街中の牛丼店は、サラリーマンと外国人観光客で
混み合っていた。
男は、牛丼よりもカレーを選択し
スパイシーチキンカレーなるものを注文した。
店内は、客の数に対して店員の数が
圧倒的に足りない様子だった。
男は、店を変えず我慢して
注文の品が来るのを待つことにした。
後から来た隣の客の牛丼定食が先に運ばれ
男は、やはり牛丼にしておくべきだったと
少し後悔した。
「 スパイシーチキンカレー、今作ってますので
もう少々お待ちください。すみません。」
店員が何度か声をかけて来た。
後から来た客が、勘定を済ませ出て行くのを見送りながら
男は、厨房で 「 わぁ、シッパイした!」というが
発せられたのを聞いた。
しばらくして、注文した品が運ばれて来た。
無造作にルーの上に転がるように置かれたチキン。
器の端に少し飛び散りかけたルー。
男は、悟った。
店員が シッパイといったのはこの事だと。
そして、心の中で叫んだ。
「 これは、シッパイシーチキンカレーや。。。」
男は、取り替えてもらえば
更に時間がかかることを予想し
そのまま、シッパイシーチキンカレーを食した。