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ついてくるもの…

作者: 神名代洸
掲載日:2019/07/26

この道はよく通るんだけど、…ねぇ。

なんでだろう…怖いんだよ?

僕はそう…弱虫なんかじゃないとは思っている。

でもね?なんでだか怖いんだ。

人からの噂話は聞かないからあるかないかもわからない。

でもさ…さっきから聞こえてくるこの足音は、多分僕の足音とは違うと思う。


カツコツカツコツ…僕の歩くスピードに合わせているようだ。

速くなれば早足に、遅くなれば立ち止まる。

イヤだなぁ〜ホントに。


ここはちょうど墓地の真横。

出そうな雰囲気ありありだ。ったく、何でこんな目に合わなきゃいけないんだ?


時間は午後6時。

まだ夕方だというのに人っ子一人歩いていない。ホント不気味だよ。

静かだもの。

人のいる気配もない。



今日はそもそも同窓会だったんだ。

だから懐かしい面々と話が盛り上がっててさ〜、貸し切っていた会場ギリギリの時間まで騒いでいた。

半ば追い出されるように店から出た仲間数人で別の場所で飲みあかそうという話になって帰ってきてる最中だ。

僕は今も家族と同居している為、そんなに遅くまでいられなかった。だから1人だけ抜けてきたのだ。

本当ならもう少しいたかったが、夜にあの墓地の真横の道を通る勇気がない為慌ててきたというのが正しい。


夕方でも人通りが少ないので不気味なのだ。

街灯があるとは言え怖いものは怖い。



途中大きな病院が立っている。でもここは廃墟と化していた。要するに潰れた病院だ。

だから暗い。


「あ〜あ、なんかやだなこういう所。どっか別の場所に引越しでもしないかなぁ〜。」ぼやきたくなる。

近所でも子供達の格好の遊び場となっている。夏場なんかは特にこの廃墟で肝試し大会をよくやっている。度胸試しだな、完全に…。


さっきの墓場といい廃墟とかした病院といいその他のスポットになりやすい材料が満載だ。

あれこれと考えてたら足音のことをすっかり忘れていることに気がついたが、音がしないからいいかと安易に考えて帰路につこうとしていた。

自宅までおよそ100メートルくらいのところまで来た時、また足音が聞こえた。

足を止めると音も止まる。

振り返ろうかどうしようか迷った。

だってもし本物が出たら怖いじゃん。俺1人だよ?今ここにいるの。

走って逃げるかしかないじゃんか。

恐る恐るゆっくりと頭を後ろに向けるとそこには首のない女性の体が立っていた。


「ヒーーーッ!!」


慌ててその場から走ったよ。そしたらその体だけの霊も走り出した。真横を走っているんだよ?同じスピードで。

僕は叫びながら自宅へと逃げ込んだ。

家族がいるからいいやと思っていたのに、今日に限って誰もいないことに気がついた。


「みんな…何処?」


この時間なら布団かもしれないと寝室に向かった。するとそこには両親が寝ていた。

でもさ、揺すっても何しても起きないんだよ?何で?


その時部屋の電気がチカチカとし始めた。

僕はポケットから携帯を出すとライトをつけた。


「な、何だってんだ?何がどうした?」

すると窓ガラスに何かが写り込んでいた。

怖い、みちゃダメだ!という気持ちと、何か知りたいという気持ちがせめぎ合い、思わずカーテンを開けてしまった。そこにはさっきの霊の姿が。


「ワ、ワーーーツ!」


慌ててカーテンを閉め、部屋の電気も消して携帯の明かりだけで夜を過ごした。



翌日の朝、眠い目をこすりながら両親と挨拶を交わし、昨日のことを話してみることにした。すると、昨日は早くに眠くなり、真夜中のことは覚えていないという。

怖かったよ。

同窓会の時ちらっと話題に出てた恐怖体験をするなんて。その時は笑って過ごしたのに今は真っ青な顔をして鏡を見ている。自身の後ろには首のない女の体が。


その恐怖で意識を失い、その日は目覚めなかった。

翌日同級生に連絡を取り、あったことを話して聞かせると電話越しに怯えが伝わってきた。

それはすぐに連絡網から伝わり、皆怯えてしまっていると言っていたっけ。

何でもこの霊体験には続きがあるそうで、頭を探して街中をさまようらしい。

いつ出没するかもわからない怖さから皆外出する時は誰かと一緒に行動してるって。

僕はそんな相手はいないから1人で行動してるんだけどね。

出来れば出会いたくないものだ。


だけど運が良かったのかそれ以降怖い体験をしていない。どうやら友達の所に現れたらしい。僕と同じように追っかけてくるって言ってたっけ。

頭が何処にあるかなんて犯人しか知り得ないというのに何故霊は現れるのか…。

僕らの中にその犯人がいるとでも言うのか?


まさか…な。


その間も霊は友達の所に出ては頭を探してるらしい。

皆恐怖で震えていたが、1人だけ恐怖で固まっている奴がいたっけ…。

歯もガタガタと音を立てている。

そんなに怖いなら逃げればいいのに…などと思ってもそいつの顔を見て何も言えなかった。

何かがかぶさっている感じがしたのだ。

……そう、顔だ!

こいつが犯人か?!

集まった友達数人でそいつを取り囲んで逃げられなくした。

そいつは観念したらしく、その場にしゃがみこみ泣き出してしまった。



話を聞くと怖くなった。

そいつは以前から誰かにストーカーにあっていた。

もちろん警察にも行ったさ。でも話しても信じてもらえなかった。

実害がないから捜査出来ないって。

なら実害が出ればいいのかと頭を悩ませた。

そんな時だ。


目の前に知らない女が立って、「あなたが好きです。」なんて言われたって気持ちが悪いだけじゃん。ソッコーで追い払ったよ。それでも女はめげずに何度でもその友達の前に現れた。恐怖と極度のストレスから友達はやってはいけない事をしてしまう。

そう、女を殺したのだ。


いざやってしまうと女の目が怖くなった。開いたままだからだ。

だから首から上を包丁を使って切り落としたのだ。

その肝心の顔は山の中腹に埋めたという。


僕らはすぐに警察に連絡したよ。

友達がしてしまったことに関しては同情できなくもないが、殺すのは良くない。

そもそも警察がその時ちゃんと対処してくれてたらこんなことにはならなかったのに…。

今更だけどな。



やってきた警官に友達は両脇から捕まえられてパトカーに乗って行った。

でもさ、その時見たんだ。

あの女の霊も車に乗り込むのを…。



皆は見たのだろうか?

顔を見るとそうでもないようだ。

じゃあ僕だけ?



友達の無事を祈る。

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