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月が大好きな君へ

作者: 冬姫0818

・・・・・死のう。


そう思った。僕にはもう、この世界で生きる理由が無くなったからだ。僕には元々生きようと思う気持ちは無かった。ずっといじめられて、傷つけられて、・・・・・死にたいと思ったことが何回もあった。でも、ある人が僕を助けてくれて、生きる理由をくれた。嬉しかった。救ってくれて。嬉しかった。生きる理由をくれて。彼女は僕にとって大切な存在だった。彼女がいれば、生きていこうと思えた。なら、なぜ今、僕は死のうと思っているのか。


・・・・・死んだのだ。彼女は。


原因は病死。僕は彼女が病気だったことは知らなかった。ずっと元気で、笑っていた彼女は僕に隠していたのだ。自分が病気だったことを。


生きる理由は無い。もう死のう。


僕はビルの屋上へ行き、靴を脱ぐ。脱いだ靴を揃え、空を見上げる。時刻は午後11時。月が輝いている。


・・・・・そう言えば彼女、月大好きだったな・・・・・僕も大好きだけど。死ぬ前に月が見れてよかった。


そう思い、僕は屋上から飛び降りた。















目の前には、白い天井。


病院の一室で僕は目を覚ました。・・・・・生きている。あの時、死ねなかったのか。


「・・・・・なんでだよ・・・・・」


どうして死なせてくれなかったのだ。僕にはもう生きる理由は無いのだ。生きていても意味は無いのだ。死んでも別にいいだろ。


「・・・・・はぁ」


僕は窓から外を見る。月がのぼっていて、空は暗い。どうやら今は夜のようだ。


ここにいる意味もない。もう僕は死ぬんだ。さっさと死ににいこう。・・・・・今度はちゃんと死ねるかな。


そう思い、立ち上がり、窓の方へ向かおうとしたのだが


「・・・・・なんだこれ」


病室のテーブルに1枚の紙と1通の手紙があった。紙には、一緒にある手紙が、僕宛ての手紙であると書いてあった。


・・・・・一応読んでおくか。読まずに死ぬのは、書いてくれた人に失礼だし。


僕はテーブルにある手紙を手に取り、開いた。手紙には、『月が大好きな君へ』と書いてある。下には・・・・・


「・・・・・嘘」


下には死んだ彼女の名前が書いてあった。


「なんで・・・・・手紙を・・・・・」


僕は手紙を読む。彼女がなぜ、こんな手紙を遺していたのか知りたかったから。そして何より、彼女からの手紙だから・・・・・。


数分が経ち、手紙を読み終える。気付けば僕は涙を流していた。


僕は涙で濡れた目で月を見る。


・・・・・あぁ・・・・・なんで・・・・・君は・・・・・。


そう想った時、月が強く輝いたように感じた。


彼女が遺した手紙にはなんて書いてあったのか。手紙の内容自体は存在しますが、あえて本編に出しません。読んでみて、考えてみて欲しいです。

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