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緋色の魔王の建国物語  作者: 御子柴
序章
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第一話 始まり

どうも御子柴と言います。

こちらのサイトでの初投稿作品となす。

筆が遅く文章力も低いのでお目汚しにすらならないかもしれませんが、少しでも読んでくださる方が楽しめるような仕上げていきたいと思っています。


「一体……何が……」


 彼女は困惑していた。

 ほんのつい先程まで己の部屋で愛猫であるミケの毛づくろいをしていたはずだ。適度に空調の効いた部屋で床にばら撒かれた引き裂かれた学校の課題を見降ろし、その惨状の犯人である愛猫に「お前がやったんだろう? ネタは割れてるぞ? 白状したらどうだ?」と声を掛けながら意地の悪そうな顔で愛撫という名の取り調べを行っていた。そこまでは覚えている。


 なのに今いるのは【闇】。明々と照明の光が降り注ぐ屋内の、彼女が自分の城だと豪語する適度に散らかった部屋にいたはずなのに、いまは何も見えない。


 記憶でも飛んだのだろうか? 答えは否。記憶はハッキリとしている。

 何よりも左腕に着けた腕時計。黒く細い革ベルトに特別な装飾の施されていない縁取りがシルバーで文字盤が黒、時刻を表すものは数字の代わりにその位置に埋め込まれた小さな小さなガラス玉。誕生日に母親にプレゼントしてもらった彼女の宝物だ。

 その腕時計の表す時刻がついさっきミケを取り調べていた時に目に入った時刻、そこから二分も経っていないのだ。


『ンナァーォ』


 そこへ足元から獣の一鳴き。

 ビクゥッ! と肩を震わせるとものの彼女はすぐに安堵する。それは自分のよく知る、ほんのつい先程まで共にいたはずの愛猫の甘えてくる時の鳴き声だからだ。


「……ほら、おいで。よしよし」


 彼女は己の足に擦り寄るミケを抱き上げ、その悲しいかな比較的なだらかな胸元へと抱き寄せる。

 そこで彼女は漸く異常に気が付いたのだ。


 今現在彼女がいるのは一寸先の見えない闇の中。

 そう、壁も、家具も、照明の光も何もない闇の中にいるのに時計で時間を確認し、足元に擦り寄るミケの姿もハッキリと目で確認出来たのだ。


「流石にこれまでお前のせいには出来ない……よな?」


「ンナァ?」


 いつも通りの惚けた顔で返す愛猫に対して溜め息を一つ、二つついた所で第二の違和感が彼女を襲う。

 それは今の状況から考えればなんでもない事なのかもしれないが、彼女は自室のベッドの上にてミケと遊んでいたのだ。なのにいまは立っている。そして何よりもまずはその服装だ。


 時刻は現在二十二時を六分程過ぎたところ。風呂も済ませ、髪も乾かしこれからベッドでゴロゴロしながら友人と電話でもしようと思っていたところ……つまりパジャマ姿だったのだ。

 それが今は


「なんだこの服……こんな趣味悪いの着るのなんか朋美だけでいいだろうに」


 足元から黒いストッキングに踵の低めのヒール、膝下くらいまでのながらの赤いフレアスカートに胸元の大きく開いた丈の短いヘソ出しルック、さらには白の革手袋にまるで怪しい者ですと言わんばかりの深紅のローブ。

 コスプレが趣味である彼女の友人くらいしか着ないであろう、彼女にとっては壊滅的に趣味の悪い服装だ。


 考えたくはない。考えてしまえば悍ましい。


 そんな状況で彼女が考えるのは『誰がこの服に着替えさせたのか』、その一点のみ。

 気が付いたらこんな所にいました。なんて摩訶不思議な現象が起きているのだ。別に服装くらい変わっていてもおかしくはない。と、そう無理矢理思い込もうにも流石に気持ちが悪い。


「さて、どうしたものか」


 ミケを抱いたまま一人ごちる。

 まずは此処が何処なのかを確かめたい。確かめたいが、こう真っ暗闇では迂闊に歩く事さえ出来ない。

 こんな摩訶不思議な体験中に誰かしらの助けがあるとも思えない。それ以前に自分の姿は勿論の事、時計の文字盤やミケの姿まで見えるのだ。

 もしかしたら此処は暗闇なのではなく、ただの黒い部屋なのではないか? と、普通に考えればただの黒い部屋であっても光がなければ何も見えるはずがないという事に気付かず、彼女はついにその一歩を踏み出した__________その瞬間


『馬鹿者! こんなもので魔王様が満足するはすがなかろう!』


『さーせんっス! でもこの果物美味いっス!』


『ドゥ阿呆が! 魔王様への供物を口にする奴があるか!』


『さーせんっス! さーせんっス!』


 一瞬にして闇は晴れ、そこには彼女の全ての常識を覆すであろう光景が、そして彼女のこれからの人生の舞台になるであろう異常な光景が広がっていた。

本当は一万文字書きたかった……でも物語導入から長すぎるのもアレかと思い、短めにしてみました。

以前の使っていたサイトが一ページ千文字までだったので、その辺の感覚が難しいですね。

それではこちら第一話を最後までお読みいただきありがとうございました!

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