また友達と喧嘩してしまいました。明日がとても心配です。誰か慰めてください。……なんて無理か。
カラスが鳴くから帰りましょう~♪
帰り~ましょ~♪
子供の歌声が聞こえる。歌は童謡七つの子。
一つ頭を抱えた。
「なんでこうなっちゃうんだろ……」
僕は今日の出来事を思い出す。
また喧嘩してしまった。あいつと……
「いつの間にかまた此処に来ているし。」
途方もなく歩いて着いたのは公園だった。全然知らない公園なんかじゃない。
よく知ってる、いつもの公園。
とりあえず木でできた温もりある少し木が剥がれかけているベンチに座った。
アイツとは違うクラスの「安幸航大」
いつもなぜか喧嘩してしまう。その原因だって馬鹿らしい物で、ある時はどっちが転ばしたとかで、またある時は大会でどっちのせいで負けたか。とかそんな理由。
今日の喧嘩はテストだった。僕らはテストの点がどれだけいいかで争っていた。
ところが、返ってきたテストの点は見事に同じ点数。
それに怒った、航大が僕のテストを破いてしまった。
それで、僕らは話もしたくない。なんて言ってしまったんだ。
本当は別のクラスになっても、話に行くぐらいなのに
「明日謝れるかな……」
不安と言うより憂慮だった。心配と言うより気懸かりだった。
何度も何度も謝って来たはずなのに、今度は謝れる気がしないんだ。何故なんだろう?
でも考えて見たら、アイツも悩んでるのかな。いや、悩んでいない。きっとそうだ。
バックからペットボトルを取り出し、一口、口に含む。甘い。当たり前か。
飲んだ所で気分は晴れやしない。ただ、欲求が充たされた様に感じるだけ。
やけにイライラして、飲み物のペットボトルをゴミ箱に投げた。
ペットボトルは外れて、外に飲み物が広がる。
情けねえ……ペットボトル一歩すら入らない。
僕は顔を下に向けて、笑った。
ふと、聞こえたのは赤とんぼだった。オルゴールの古ぼけた音声。小さい頃からずっと聞いてきた音声。
生憎とそんな音声で気分は晴れませんよ。
関係なくメロディは街中に響く。
「そうか……夕方だ。」
頭を上げると、真っ赤な夕日が眼科に見えた。夕日は小さく雲が掛かっている。
アレが恐ろしく熱い太陽だなんて事は分かってる。
分かっているけど、
「綺麗だ。人間より遥かにな。」
そう呟いた。
なぜ、夕日は綺麗でいられるのだろう。不思議。
にんまりと笑ってみた。笑ったのは久しぶりの様な気がする。疲れていたのかな。
笑ったら、気懸かりとか憂慮とかも吹き飛んでしまった。
どうせまた喧嘩するんだ。そして、また仲直りするんだ。
馬鹿らしいや。
ベンチから上げる腰は軽かった。そして、ペットボトルを拾った。家で捨てよう。公園は綺麗な方がいいし。
ゆっくりと確実に公園を去る。
明日は仲直り出来たらいいな。なんと考えながら。
か~らす、なぜ鳴くの。からすには七つの子が……
歌いながら帰った。夕日に感謝しつつ……
明日に期待しながら。




