いたずらの始まり
「うわ、もうこんな時間になってたんだ」
学校が終わっていつものように帰る予定だった私は、今日に限って先生に捕まって用事を頼まれて、やっと終わった頃には最終下校の時間を超えていた
「まだ明るいけど、それでも少し急いで帰った方がいいかなー」
そんなことを呟きながら教室に置いていた鞄を取り、そのまま下駄箱に向かう
ザアァー…
「嘘…。
朝あんなに晴れてたのに、なんで雨が降ってるのー!?」
不吉な音がすると思って外を見たら見事に土砂降りの雨が降っていた
あんなに朝は晴れていたのに
「嘘ぉ…、どーしよぉ」
嘆きながら靴を穿いて、とりあえず屋根の下で空を見上げてみるが、どうにも止む気配がない
「……よし!!こうなったら、駅までダッシュする!!濡れてちょっと制服が気持ち悪いかもしれないけど大丈夫!!」
そう言って走ろうかと思ってたら、側で聞こえるはずのない声が聞こえた
「は?嘘だろ、朝あんなに晴れてたのに、んで雨なんか降ってんだよ…、はぁ…」
嘘、この声…
でも聞き間違えることなんて絶対にない
生徒会長の声を…
驚きながらもそっと横を見ると、やっぱりそこには生徒会長がいた
「ん?おまe…君は今朝の…。今朝は大丈夫だったかい?」
生徒会長は笑顔で今朝痴漢されたことを案じてくれる
流石生徒会長様です!!
「は、はい!!おかげで大丈夫でした!!ありがとうございます!!」
ガバッと頭を下げる
ど、どうしよう!ドキドキで心臓が口から飛び出そうだよ
「そっか、それなら良かったよ。それにしても、こんなところで立ちすくしてどうしたの?
あ、傘がない、のかな?」
生徒会長が苦笑いしながら訪ねて下さる
幸せです!!
「はい、なので駅まで走ろかと」
笑いながらガッツポーズで答えてみる
「そ、それはどうかと…。傘、生徒会室の備品だけど、良ければ一緒に入って行く?」
嘘!?あまつもあの生徒会長様と偶然とは言え一つの傘の下に!?
畏れ多すぎて私は明日死ぬのでしょうか!?神様!!
「よ、宜しいんですか!?」
「ぷ、くすくす、面白いね、君は。全然気にしなくていいよ、ほら行こう?」
傘を開いて生徒会長様は私を誘う
誘われるままに私は生徒会長の指す傘に入った
まさか、ほかの人に見られてるなんて思ってもいなかった…