動き出す時間
「朝はドキドキしたなあ…」
そんな事を呟きながら私は学校の校門をくぐる
まさか、電車で痴漢されて、更にあの憧れの生徒会長様に助けられて、電車の間中、守られるなんて!
「夢みたいだよぉ!!」
一人バタバタと赤面しながら教室に向かう
「おはよー」
「よぉ、今日は遅刻ギリギリで来たんだな」
「あ、おはよー、冷ちゃん」
このとても男の子らしい喋り方をするのは瀬斗川冷ちゃん
高校になって初めて出来たお友達
今は友達というよりも親友って言った方がしっくりくるくらい仲がいい
「ちょっと朝寝坊しちゃって」
エヘヘと、冷ちゃんに遅刻寸前だった理由を説明する
「満密が寝坊なんて珍しい事もあるんだな。今日は雨でも降るのか?」
そんな冗談を真顔で言いながら冷ちゃんは空を見る
「そ、そんな事ないよ」
冷ちゃんの冗談に焦りながら答える
雨なんて降られると私が困る
急いできたから、傘を持ってきていない
「まぁ、そうそう降ることもないだろう。これだけ晴れているわけだしな。」
それから私達は他愛もないことを話して授業を受けた。
まるで、朝のことが夢であるかのように
そして、これが私達の運命の歯車を大きく動かすことになるなんて、誰も思っていなかった