出会いは突然で〜after side〜
「やっべぇ!!」
俺は慌てて家を飛び出し、最寄りの駅まで全力で走る。
「よっしゃ!!電車までまだ少し時間があんな。今の内にっと」
さっと飲み物だけ買い、ホームで電車を待っていると、ホームに電車が滑り込んできた。
「ふぅ、ギリギリ何とか間に合ったな」
何とか間に合い、電車に乗ると、すぐに電車が走り出す。
「ちっ、満員かよ。まぁ朝のラッシュだしな。仕方ねぇか」
満員で入口にほど近いところで人の波に揉まれながら外を眺めていると、うちの学校の制服の女子生徒が目に入った。
「うちの学校の生徒?」
何か様子が変だ
「何やってんだ?あいつ」
しばらく観察していると、どうやら真後ろに立っている男に痴漢をされているらしい。
「ちっ、メンドーな。でもま、しゃーねーか」
俺は人の波を進み、痴漢男の真後ろに立ちいつもより少し低い声で痴漢男に囁いてやる。
「おい、何やってるんだ、アンタ」
痴漢男とうちの学校の生徒が二人して俺を見た。
「な、何のことだ?」
どうやらこの痴漢男はしらばっくれるらしい
俺は更に声を低くして痴漢男に囁いてやる。
「しらばっくれんな。この子に痴漢してんのバレバレ。で?今ここで警察でも呼ぼうか?」
そう囁いてやると痴漢男は「ぐ、ぐう…」っと言い俺を睨んでくる。
「ほら、さっさと行けよ」
イラッとしてしまった俺は学校の生徒が見ているのにも関わず素の声で痴漢男に言ってしまった
流石に痴漢男もこれにはビビったのかその場からいなくなった。
「ったく…」
俺は小さく呟くと痴漢されていた女の子後ろに立ち、彼女の顔の横に手をついて他の奴らから離すような体制を作る。
すると彼女は少し身動ぎをした
「大人しくしてろ、学校までこのままで行ってやるから」
彼女の耳元で囁き、彼女を大人しくさせる。
ったく、自分でもどうかしてると思う。
ほぼ初めてに等しい相手にこんな気持ちになるなんて
でも、何故かは分からないけど、彼女を放ってはおけなかったんだ
彼女が前を向いていて良かった
多分俺今変な顔してるから
この気持ちが何なのか分からない、けど、彼女にバレていないといいと思いながら、電車の中を過ごした