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最終話兼EXTRA第十二話 滾らせる血 『第二十五回 24時間アルバイト』 企画会議

 壊れた提督机の前にお嬢様が立ち、向かい合うように男が立つ。お嬢様の脇にクラウンと鉄壁は立っている。


 さっとお嬢様が作った契約書に男が署名し、72000円を手渡す。そして、幹部社員としての称号というか渾名のようなものを、


「貴方のコードネームは、旦那。それでいいわね?」


 彼女が与えると、


「はは、構わんさ」


 男は豪気に胸を張って笑いながらそれを受け入れた。そして、クラウンと鉄壁と握手する。鉄壁には腕のことを謝罪しつつ。






「じゃあ、次の回、第二十五回『24時間耐久アルバイト』。これについて、早速企画の中身を作りましょうか。鉄壁、貴方今回は、いつものような肉体仕事ではなく、頭脳仕事やって貰うわよ。貴方別に、入院しなくてもそれ位なら大丈夫でしょう? それに貴方病院そもそも嫌いじゃないの」


 そのままの流れで始まった企画会議。鉄壁はそうして、退路を、休暇を、断たれた。


「クラウンも旦那も、この企画決め、参加してね。今からちゃちゃっと決めちゃいましょう」


 面倒そうだからと言って、ひっそり部屋から出ようとしたクラウンも、それに従った男も、後ろから服の裾を掴まれて、止まる羽目になった。


「成程。それは面白そうだ。お嬢様の会社のこの企画は目に見えて自由度が高いからなぁ。で、今回はどこの依頼を24時間バイトに変換するのかな?」


「それも未だ決めていないわ」


「ふっ、そうか」


 男はそう、嬉しそうに返す。


「えっ」


 クラウンは目に見えて驚いている。


「何です、と……」


 いつの間にかその辺の布で三角巾を作って折れた左手を吊るしていた鉄壁に至っては、何か雷に打たれたかのようなショックを受けている。


「おいおい、クラウン、鉄壁。ここは喜ぶべきところだろう? これはきっと楽しいことになる。クラウンとは短い付き合いだ。鉄壁とはもっともっと短い付き合いだ。だが、俺には分かる。お前ら二人共、楽しいこと、熱いこと、滾ること、好きだろう? なぁ。わざわざお嬢様はこの回、白紙の状態だとわざわざ教えてくれてんだ。なら、それってよぉ、俺らの好きにやってみろ、そう言われてるってこったぁ」


 二人がはっとした顔をして、男を見て、にやぁぁ、と笑う。お嬢様も、きししし、と悪そうに笑っている。


「俺らの好きなように楽しもうじゃねぇかぁあああ! 何ぁに、採算や辻褄は、お嬢様が何とかやってくれる。なぁ」


「えぇ、任せておきなさいな」


「はぁ、ったく。唯の小遣い稼ぎで、人生掴んじまったよ」


 男のその呟きを聞いた鉄壁とクラウンは笑った。


 そして男は、


 コツ、コツ、スッ、ガシッ! ギッギッ。


「ありがとよ、クラウン。俺の相棒よぉぉ」


 クラウンの手を掴んで、熱く握手した。そして、口を開いたクラウンが、


「えぇ、旦那ぁ、こちらぁ、こそ。あの時、俺に全てを託して、信じてくれて本当にありあとうございあす。あんたを選んで、出会えて、俺ぁ、ほんとに、……はは、嬉しくて、涙が、止まらねぇ……」


 拭う邪魔にならないように男は手を放す。そして、


「おっと、鉄壁も、お嬢様も、当然忘れてはいないぜぇ。宜しく楽しもうじゃねぇかぁ! はは、ふはは、わははははは、はははははは、はっははははははははは――――!」


 男の笑い声はその部屋の中で長く長く、響き渡っていた。鉄壁もお嬢様もクラウンも、それに釣られるように、笑い声を上げ続けた。


Fin.

最後まで読んで下さった方々、本当に、ありがとうございました。


どこがおもしろかったとか、分かりにくかったところとか、感想・指摘等、頂ければ幸いです。

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