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第二十四話 臆病者が勇気を持ったならば

「次は、お前だぁああああああ! ピエロ野郎ぅううううううう! 舐め腐りやがってぇええええええええええええええええ!」


 すっ、ガガガガガガガガガガガガガ、


 物凄い勢いで一目散に向かってくるガードマン。ピエロの目論見通りに。


 そうなると分かっていながら、ピエロは震えていた。ガクガクになっていた。少し催していた。漏らしていた。それでも……、


「だ、旦那のぉおおお、最後っ屁ぇええええ、俺ぁああああ、無駄になんてぇええええ、しねぇええええええええええええええ、うぁああああああああああああああ」


 ガードマンとの距離3メートルといったところ。そこで男は、ガードマンの出始めた蹴り足に真っ直ぐ衝突するようなそぶりをさせながら、


 ゴロロッ、


 カスッ、


 バキキキキキキィィィイイイイイイイイ、ガコォオオオオオオオオオオンンンン、バァァ、ミシミシミシミシ、バリリリリイイイイイイイイインンンン……!


「い、今っすぅぅうううう! うおおおおおおおおおおお、」


 そうして立ち上がったピエロは、スタタタタ、と粉々に砕け散った扉へ向かって走り出し、地面を思いっきり、蹴り、


 ブゥオオオオンンンンン!


 華麗に、蹴りの反動でへたりこみ、扉を破壊してしまったことに呆然としてしまっているガードマンの上を、曲芸のような宙返りで飛び越えていきながら、目的地たる部屋へと入っていった。


 スタリ!


 成功。


 ピエロは、成し遂げたのだ。ぎょろり、ぎょろり、部屋を見渡す。そこは、背面が硝子張りの社長室。正面にあるやたらに立派な気の執務机。そして、それに似合わぬファンシーなピンク色の安楽椅子は、キィィ、キィィ、キィィ、とそこに誰かがいた証拠を、痕跡を残しつつ、かなり大きく揺れていた。


 割れた硝子の先から飛び降りたなんてことはないことは誰が考えても分かる。つまり、この部屋の何処かに、ターゲットはいるのだ。


「おらぁああああああ、ファッキン糞お嬢様ぁああああ、てめぇの負けだぁあああああああ! おらぁあああああああああああ、何処に、いやがるぅうううううううう! 出てこいやぁあああああああああああ!」


 ピエロは眉間に青筋を浮かべ、血走った目をして、叫び散らした。

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