第二十三話 リミット1 薄い筈の扉は果てしなく厚い
ギチギチ!
閉まっていた、鍵が……。
だが、ピエロは諦めない。
ピエロは気付いていた。しっかり防犯された、ガチガチに鍵が掛かる扉なのだとすれば、その、ドアノブを引いたときの金属音はちゃっち過ぎる、と。
つまりそれは、見掛けの重厚さほど丈夫ではない。タックルで突き破れる扉であるということだ。
ガァァン、ガァァン、ガァァン、ガァァン、ガァァン、ガァァン、
それでもそう容易くは空きはしない。ピエロは男と違って、そうガタイはよくない。男ほど、でたらめな力持ちではない。
だが、諦めない。
ガァァン、ガァァン、ガァァン、ガァァン、ガァァン、ガァァン、ガァァン、ガァァン、ガァァン、ガァァン、ガァァン、ガァァン、
それでも未だ、開かない。
「旦那ぁ、あと残り何分ですかぃ」
「あぁ……、くぅぅぅ、あと、いっ、一分、き、切ったぁぁ……」
男はガードマンに競り負けそうになっていた。ここまでの消耗が激し過ぎたのだ。
ぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ、ギュルルルルルルッルルルウ!
禍々しい男の腹の虫が鳴り響く。
ガァァンガァァンガァァン、ガァァンガァァンガァァン、ガァァンガァァンガァァンガァァン……。
「だ、旦那ぁああ、駄目、だぁぁぁ……」
そう言って振り返るピエロ。男の方が、もっとやばげだった。競り負け、首を掴まれ、その巨体が宙に浮かされている。それでも男はガードマンの手をその強大な力の手でびしびしぎりきり、ひしぎ握っている。
ピエロは思う。自分ではなく、男がタックル役ならば……、と。自分が男ほどとはいわないが、せめて、その細マッチョと筋肉達磨の間くらいの筋量のガードマンくらいの肉体力があれば、と。
そんな、泣きごとのような思考から、ピエロ、気付く。
「ああああああああ! いける、何とかなる。旦那ぁああああ、そいつからもう離れてくれ。で、階段の下へ行ってくれぇぇ」
その声に反応した男は、ピエロの顔を見て、ピエロに何か確信じみた企みがあると気付き、言われた通りにする。
もう、ガードマンを抑える必要はない。なら、別に自分が動けなくなってもいい。そう思った男は、渾身の力で、ガードマンが自身を吊るし上げている左手を、
ミシビキビキビキ、バキィイイイイイイイイ!
「うぅああああああああああああ、きぃいぃい、貴様ぁああああああああ」
鬼のような形相で怒り狂った、左腕を破壊されたガードマンは、力を使い果たした男を、脇腹への蹴りで思いっきり蹴り飛ばし、
ぶぅあぁぁああああああ、ブゥアキィイイイイ、メキメキメキメキメキメキメキキキキキ、ブゥオオオオオオオンンンン!
ガッ、ゴロ、ガガガガガガガガガガガガガガガ、ガァアアアアンンン!
階段下へと突き落とした。




