第二十話 ピエロは君主の感情を操ることを許された存在である
するとピエロはふっ、と笑い、口を開く。
「大方旦那とそう変わりはしあせんよ。俺は所詮、こんなだから別に何と言われようが構いやしあせんが、旦那のような俺とは違って、どうしてこんなとこにいるか分かりやしない凄いお方を、どうして莫迦にできるのか、分からなぁいんすわぁ。恐らくこいつ、全部見てんでしょぉ? なら、これは唯の侮辱でしょうがぁ。舐め腐ってやがんますよぉ。なぁ旦那ぁ。たぶん、このスピーカー越しの奴ぁ、女だ、女。それも、若い。イントネーションといえばいいのか、なぁんとなく、分かるんっすわぁ。ちょい、こいつ、調子乗ってませんかぁ? ねぇ、旦那ぁ。たぶん、自分勝手な高飛車で自分が偉い訳でもないのに偉そうぶってるファッキン糞お嬢様って奴ですぜぇ、こいつわぁ。なら、へこませてやるべきっしょ。いてもたるべきっしょ。お尻ペンペン。で、赤っ恥かかせてやんましょう? 泣かせてやんましょう? で、謝らせてやんましょう。そんでもって、最後に、さっき言ったこと、訂正させてやんましょう、如何っすかぁぁ?」
男にそう、ふてぶてしく提案した。
すると、
「はは、ふははは、あはは、ふははあははは! そりゃあいい。やろうやろう。そうしよう。なぁ、ピエロ」
男は豪快に笑いながらそれに同意し、
「ってことだ。生意気なお嬢ちゃん。あんたやりすぎた。で、あんたから俺たちにあんたは喧嘩を売った。もうあんたに言い訳の余地はねぇ。だからぁあああ! 逃げずに、そこで、震えて待っていやがれ! てめぇの尻、紅葉腫れにしてやんよぉぉおおお!」
宣戦布告。
そして、男とピエロは席から立ち上がる。
ギギギギィ、ミシミシミシミシ、バキビキビキ、ガコォォン、グゥオッ、ボォオオオオオオオオオオオオンンンンンンンン!
男が強引に、未だ鍵が掛かったままだったその部屋の扉を力づくでぶち剥がし、その辺に投げ捨てたのだ。
「よし、やるか」
「はは、流石旦那ぁ。素晴らしく豪快っすね」
そうして、始まる鬼ごっこ。残り時間12分。




