第十四話 外には何もなかった
「旦那ぁ、あっちの奴ら何か騒いですようでっけど」
体育館の入口。外から戻ってきた者たちが、係員たちとモメていた。それに気づいたピエロがそう男に尋ねた。
その辺に転がったノートPC本体を男の傍に積み重ねるように集める、最後の一つを運び終えたとこだった。
「あれか? あれは負け犬の遠吠えだ」
「どっこいしょ。はぁ、疲れた。でも、旦那ぁ、奴ら、係員に引っ張られていっていあせんよね、まだ」
男の隣にどっしり座り込み、ピエロはそう、疑問を口にする。
「ああ。未だ、な。だが、もうあいつらの生き残りの目は消えたのさ。なぁ、ピエロ。理由は分かるか? 非常に簡単だ」
「あっ、まさか、バッテリーを買おうと思ったら、既に他の奴らに買い占められていた、とかですかい?」
「ほぅ、惜しいな。もう少しだ。微妙に違うぞ。もしそうなら、大量のバッテリーを買占めた集団を襲えばいいだけの話だろう? 大荷物で動きは遅くなっていること間違いないんだからな」
「じゃあ、そもそも、どこにもバッテリーが売ってなかった?」
「まあ、おまけすることとしよう。正解だ」
「えぇ、何処が違うんですかぃ?」
「正確には、この体育館の周囲一帯は、俺ら以外、無人状態。そして、その向こう側には、バリケードが設置されてて、出られない。バッテリーはここにあった分しか存在しない。それと、確定した。この体育館にいた分で生き残りは全部だ」
グゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……!
大きな地鳴りのような音が鳴り響いた。
「すまん。俺の腹の虫だ。流石にそろそろ、補給がいるか。スゥゥ、ビリビリっ、ピッ、ゴクッ、ゴク、ビリビリっ、ピッ、ゴクッ、ゴク、ビリビリっ、ピッ、ゴクッ、ゴク――――」
男はリュックの中のエナジードリンクをてきとーに10本程度、ガブ飲みした。
「旦那ぁ、ひょっとして、それ不味くないっすかねぇ……」
「何がだ?」
「食料ですよ。旦那ぁ、あんたは見るからに大食らいだ。で、あんたが空腹に強いようには見えねえ。あんたがやばく頼もしいのは、その知恵と暴力。両方あってのもんだ。片方だけなら、隙をつけば、俺でも何とかあんたをやれるかもしんねぇ。なら、周りの他の奴らがそういうこと考えない筈がないだろ? 俺とあんたは、こいつら、予備用のノートPCをありったけ抱え込んでしまってるんだからよぉ」
男はそれを聞き、少々動揺したようで、神妙な顔をして何か猛烈に考え始めた。




