第十二話 再収集
「生き残りの皆様、おめでとうございます。流石に、運だけで、筋力だけで生き残っているなんてバカはもういないでしょう。ここからが本番です。形だけのバイトの始まりです。貴方方の机の上のノートパソコン。それが貴方方の仕事道具です」
男は、他の部屋の生き残りたちと共に、別の場所へ再び集められていた。体育館のような場所であるようだが、それの所在地は不明。
あの後、目隠しされて、男は運ばれたからだ。他の生き残りたちも同様であるようで、周囲で話し声がちょこちょこ上がってはいるものの、誰も彼もが同じような話題の話をしていた。
先ほどの暗室とは違い、体育館は明るかった。カーテンは閉め切られているが。
男は自身の元へ寄ってきたピエロと小さな声で話をしつつ、アナウンスを聞いていた。
「旦那ぁ、どうしてこんなに手が込んでるんですかい?」
「俺にも分からん。一つ分かるのは、実験対象者の数が、主催者側の目論む数まで減ったということだ。凡そ100人というところだろうな」
「そ、そんなに減ってたんですかい……?」
「正直まだ断定はできん。他の場所にも分けて生き残りを集めている可能性は潰えておらん」
「へ、へぇ……、そうですかい」
「そんなことより、次の策を考えておいた方がいい」
「といいあすと?」
「これだ、これ。このノートPCだ」
「それがどうしあしたか?」
「未だ気付いとらんのか……?」
ピエロは考え、考え、自身なさげに答える。
「時間が経ったら、壊れるウイルスでも、仕込まれてるんですかい……?」
「ある意味当たっている。時間が来たら使えなくなるというところはな。アナウンスが終わったらその答えを教えてやる。もう少しだけ、頭を捻ってみろ」
アナウンスが終わった途端、
「寄越せや、寄越せぇぇ、バッテリー寄越せぇぇ」
「予備のPC頂くわよ」
「外へ避難、その辺の店デバッテリーの確保だぁぁ」
等々、大量の声とバタバタ音が行き交う。
「答えは、バッテリー。どう考えてもこれだけで保たんだろうが。ACアダプター無しではなぁ」
「じゃあ、旦那ぁ、早いとこ確保しないとやばいんじゃ……」
「なことはない。ほら、見てみろ、あれを」
男が指を指した先。そこには参加者の一人が、係員に何か話し込んで、交渉しているようだ。その周りには、主催者が用意したのであろう、やけにガタイのいい係員数人が、守るようにその参加者と、交渉相手たる係員を囲んでいる。囲む係員たちの服には、『私たちを攻撃したら失格となります』と書かれている。
「何から何まで、いつもの24時間バイトとは違うということらしい。はは、はは、ふははあはは、はははははははは!」
男は愉悦に塗れるように、魔王の如く低い声で、荘厳に笑った。




