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第十一話 時限式の罠

 そうして男は、ピエロの参加する部屋で同じことをし、ピエロのその部屋での生き残りを確定させた。


「で、旦那ぁ。これで終わりな訳じゃぁ、ありませんよねぇ?」


「いや、終わりだ。時間を見ろ」


「残り30分もありあすよ?」


「俺の時計とお前の時計。時間を見比べてみろ。それが答えだ」


「旦那の時計、残り10分になってあすぜぇ……」


「そう。簡単なことだ。時計というのは、進みがそれぞれで違うとしても、どれもを同じ時間から針を動かし始めたなら、初めは狂いがなく、それはどんどん大きくなっていく。これは恐らく、徒党を組んでいない者たちを脱落させる罠だろう。俺たちは合わせて時計が二つしかない。他の徒党を組んでいる奴らはもっと時計を集団で保持している。なら、恐らく、この罠に気付いた奴がその中で一人でもいたなら、集団内で最も針の進みの早い時計に従って行動する。いや、正確にはそれよりかなり余裕を持って行動を始める筈だ」


 男の思想は何処までも先を行っていた。


「つまり、俺たちのルームメイトはいつ戻ってきてもおかしくはない。時間切れがいつ来てもおかしくない。それでもあたふたを見る為に、主催者たちは在る程度の時間の猶予を持たせるだろう。つまり、だ。念の為、もう、席についておけ。まともに使える状態のキーボードとマウスを最低一組確保した上で、な」


 そして、ピエロは急いで自身のルームへと戻っていったのだった。






 そして、男の予想通りの展開が発生する。尤も、それに男が気付いたのは、割と際どい頃合いだったが。


 アナウンスが流れ始め、男の部屋の外からは阿鼻叫喚が流れてくる。


 男の部屋の他の者たちは、部屋に戻ってきて、狼狽していた。男は、わざと、沈んだ顔をしていた。ただぶつぶつ、呟く演技をしていた。


「やられた……、やられた……、やられた……」


 そうすることで、八つ当たりの可能性すら男は消していたのだ。


 そして、スタッフによる脱落者回収の際、男に脱落者として席を立つように言ったスタッフに、男は示してみせた。


 自身は脱落者ではないという証を。PCモニターの線とマウスとキーボードを使用可能なものに取り換えて。


 そうして、男は自分がいた部屋の唯一の生き残り、となった。

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