第二幕 特別出演
◇◇◇
第二幕は更に観客多数、王都内のパレードです。
「デズモンド様は見つかったか?」
「申し訳ありません。未だお姿を発見するに到らず……」
王妃はダウン。国王は見えない部分に脂汗を流しながら、諸外国の賓客に対応(言い訳)中です。
宰相である父がパレードの指揮――九割強デズモンド待ち――を取っているけれど、結果は芳しくない。
いや、実は心当たりがなくはない。王子の部屋には王族用の隠し部屋があって、例によって例のごとく、“自称・ヒロインのエンマ”が私に敢えて聞かせるように、デズモンドと二人で“チュッチュッうふふ”してた。あの件で初めて隠し部屋や通路の存在を知ったけど、いいのかね、機密情報だろうに。ヤバいんじゃね?
今行って「お楽しみ中でしたね」だったらアレだし。そんな王子を引っ張り出して、外ヅラ整えるように説得してからパレードとか。日が沈んでも間に合わないんじゃなかろうか。何その無理ゲー。
諸外国がこの国の乗っ取りを実行に移すのは、時間の問題。ただでさえ王子はあちこちで評判悪いんだよねー。今はお祭り騒ぎムードだからマシだけど、ここで更に民に対して俺様対応なんてされたら、武装蜂起されちゃうかも。そうしたらもうもう、内憂外患待ったなし。これ以上は国家の自殺行為だ。よって、デズモンドはこの場にいらん。
とは言え、はてさてどうしましょう。結婚式は私と大神官の、二人芝居のようなものだった。じゃあパレードは一人芝居?
王子はいい意味でも悪い意味でも顔が売れていたけど、私はそこまでではない。絵姿が売りに出されたとしても、皇太子夫妻の肖像として、これからだった筈なのだ。よって私一人だと「誰アイツ? 王子はどうした?」って疑問から始まって、王族不信に発展しかねない。なので却下。
「こんな時は、あの、あれよ、アレ。アレ持ってきて」
などと、我ながらオバチャンみたいな事を口にする。口調が乱れてる? 今この場はてんてこ舞いの舞台裏だから、こまけぇこたぁいいんだよ。
父も兵士達も「アレってどれ?」という顔で私を見る。
「あれよ、アレ! なんて言ったっけ、ほら……甲冑! 全身のやつ。馬車に乗せてそれっぽいポーズで固定したら、何とかなるんじゃない?」
「おお、その手が……」
その場の皆が「イケるか?」みたいな空気になる。
「そうだ、もう。しかもアレ使っちゃおう。三代前の国王陛下が『万が一の時にこれを用いれば、この国の危機は救われるであろう』と、お言葉を残された……黄金の甲冑!」
「この際だ、すぐに手配をしよう!」
父は「こうなりゃヤケだ」と言わんばかりに、兵士達と動きだす。
黄金の甲冑は当然国宝。柔らかい金なので防具としての実用向きはなく、美術工芸品や財産としての価値が高い。本来は今日の今で申請手続きをして、国庫から持ち出せるシロモノじゃない。けど宰相である父が動いたのだし、今まさに国家の危機だし、助けてもらおうじゃないの。
黄金なら、王子や王族が中に詰まっているように見えるし、警備の騎士達も気合いが入るでしょ。今ならデズモンドより価値がある(断言)。
そして、オープンタイプの馬車に積み込まれた、黄金の甲冑。私も実物を目にしたのは初めて。盗難防止の魔法がかけられていて、王か王子しか身に付けられないらしい。よって今現在、中は無人の状態。右腕部分を肩の高さまで上げて、「やあ! 僕、黄金甲冑。よろしくね!」みたいに見えるポーズで固定。
いざ、出陣です。
◇◇◇
「デズモンド様、グロリア様、バンザー……い?」
「すげー! なんだあれ、光ってら」
「カッコいい!」
「あの中に王子様が?」
「あれは金だ。王子様はもちろん中だろう」
『ワーー!!』
えー、私は今、馬車から沿道の皆様に手を振っています。『0円スマイル』常時発動中。
ククッ……、耳に入ってくる人々の声に作戦成功を確信する。そう、「何かよくわかんないけど、スゴい!」と、今この時だけは思い込んでいてくれ。その為に持ち出した、初公開の秘宝なんだから。こんなサービス、今だけなんだからね!
――ポツリ……。ポツ……ポツ……サーー……
ん? 何と雨か。ついてない……いや、空は晴れているからすぐに止むか。
あ、ホラ。
「空を見ろ!」
「虹だぁ」
「わぁー、きれいだねぇ」
「太陽神ルグ様からの、お祝いに違いない!」
「見ろ。あの甲冑のなんとまばゆい輝きか。まるで、太陽神ルグ様の、化身のようではないか」
『おお……!』
「確かに!」
うん、いや、アレ? 何か……思惑を超えて上手くいき過ぎているな。沿道の人々が手を合わせて拝み始めている。それに何か、さっきから目がチカチカして……まぁぶしぃー!
雨粒を拭いた方がいいかと、ハンカチを手に黄金甲冑の方を見ると――手の、一部が、動いて、いるよ。
え? ナニコレ? 仕様? 誰かに確かめたくて、ちらりと視線だけで騎士達を見回す。
『……』
ほぼ全員が動いている事を認識しているのか、表情はキリリと崩していないが、やたらと顔色が悪い。
水濡れ厳禁だったのかしら? 何かスイッチ入っちゃった? と思いつつ、ハンカチで拭いていく。
ええと。……こう真正面にして見ると何だ。メトロノーム? ワイパー? いや、工事現場の前後で注意を促す人形だね。光ってるし。うん……、自ら光を放ってます? かね。
つい、沿道の人々の事を忘れて、考えに没頭しようとしたところ、黄金甲冑に両肩を掴まれて体の向きを変えられた。
……あるぇ? 今度は中に人が入っているかのように、スムーズに動きませんでしたでしょうかね。
『今は、手を振っている人々に応えるのであろう?』
この声、誰? 沿道の人々がする話の内容としてはおかしいし、声が近かっ……いや、頭の中に直接響いてきたような。
『その通りだ』
私は、貴族令嬢グロリアとして十数年鍛え上げてきた笑顔を貼り付け、無心で手を振ることに専念する。気のせい。さっきの大聖堂の中で強く感じた視線を、黄金甲冑から感じるとか、気のせい。
私は疲れている。心身共に。デズモンド王子の事、自分で思っていたより、ショックだったのかな?
……よし! こんな時は元気になれる『ふしぎなじゅもん』、いってみよー。またの名は、現実逃避だ!
(ありがとうございます、ありがとうございます! 黄金甲冑、黄金甲冑でございます)
(我が国の至宝! 我らがヒーロー! みんなのアイドル!! 黄金甲冑でございます)
(ヴォーン王国の宝として、王都の皆様と共に歩んで参りました。黄金甲冑でございます。ありがとうございます!)
(王都の皆様、沿道の皆様。どうか、最後のお願いに参りました。黄金甲冑、黄金甲冑にどうか皆様のご支援を! たくさんのご声援ありがとうございます! 黄金甲冑、黄金甲冑に皆様の清き一票を!!)
『清き一票とは、何だ?』
……ノリと勢いと様式美です。はい。幻聴に、私の心の中のセリフをツッコまれるとか、私相当キテるな。幻聴の方がマトモとか。
『私は、そなたといると楽しいぞ。式の時もそう思っていた』
黄金甲冑の左腕で腰を抱き寄せられた。幻覚? 幻触? まで……。
『デズモンド王子の事など、忘れさせてやろうぞ』
……だから、気のせい!
◇◇◇
パレードの後は、お色直しを済ませて晩餐会です。夜には舞踏会もあるから、食事にはちょっと早い時間だけどね。
日本のように、新郎新婦は金屏風の前で別席とはならず、位ごとに別れていくつものテーブルで会食みたい。
私は、各国の代表と同席。真正面には、式の時に「兵は?」みたいな事を口にしていた、ダスティン帝国のアンドリュー第二皇子。
口八丁・腹芸八丁の第三幕、開演です。
うん。それはそれとして……だ。私の隣の椅子。新郎の席の予定だったから空席の筈なんだけど。黄金甲冑サマ、好評につき再びのキャスティング? 誰が置いたのコレ? 呪いのアイテムって言われても納得するレベルで、私怖いんだけど。
『その言い方はヒドイな』
……幻聴も続投ですか、そうですか。
◇◇◇
「あの張りぼての話を聞かされた時、我々を随分と虚仮にしてくれたものだと、憤りを感じたものだがな」
いきなりの先制です。口を開いたのは案の定アンドリュー皇子。
彼は手元にあるゴブレットに赤ワインが注がれるのを見てから、こちらに挑発するような流し目を寄越す。ボルドー色の髪に、新月の日の夜空みたいな濃紺の瞳。ほりの深いイケメンと向かい合って食事とか、役得? 捕食者に獲物のような視線を向けられるのは、ご褒美? これが映画か海外ドラマだったら、どんなによかったか。画面越しにキャーキャー言える状況だったらなぁ。
デズモンドめ! お前、『じゅもん』もう一回な。――もげろ!!
何故か、アンドリュー皇子と黄金甲冑が同時に身を竦めたけど、どうした? 二人共。楽しく呑もうぜぇ、宴じゃないか。うん、顔色や輝きをなくさないで。大丈夫だよ、“ざまぁ”をくれてやりたい連中はあのバカップルだから。ね?
アンドリュー皇子を怯ませる事に成功した私は、父から聞いた情報を思い出す。
彼は属国から嫁いできた王女を母にもっていて、腹違いの第一皇子より、かなり優秀なのだそうだ。そのせいで第一皇子派から、何かと虐げられているらしい。
話によると、自分よりも優れた息子に嫉妬した皇帝からも、扱いが酷いと。何だソレは。
今回この国の結婚式に、帝国代表として参列したのも、「帰りにヴォーン王国内で、何者かの襲撃を受けて命を落とし、王国と戦をするきっかけになるように」と、公式の場で命令を受けたからだって。正直どうよ、って思う。
近隣で一番の強国である、ダスティン帝国皇帝の意向。私こと、グロリアに耳に入ってくるくらいだ。今日会場にいる各国も、当然知っている。パレードの間も、どの国がヴォーン王国を獲るか、イニシアチブをどこが握るか、おこぼれにどれくらいありつけるのか、水面下で火花を散らしていたに違いない。
先制を仕掛けてきた件からいって、帝国とコトを構えるのは、まあ確定か。どんなに理不尽な命令でも、皇帝が相手では「是」と言うしかなかったアンドリュー皇子。彼は彼で後がないのだ。
もちろん私も、この場でなんとか喰らいつかないといけない。王子デズモンドがあのザマでは、ヴォーン王国が荒れるのは不可避。だけど、素直に滅ぼされるのをよしとする訳にはいかないじゃない。なんとか国……いや、国家とヴォーン家はムリだ。せめて、人々が生活できる土地と人命を守らないと。
完璧に外交交渉だよ、コレ。結婚式の筈だったんだけどなぁ……。
「正直、この国の将来には同情を禁じ得ない。だけど彼の大神官が言っていたように、貴女の存在は面白いと思った」
「そう言って頂けるのでしたら、私もほっと致しましたわ」
バカにされて見るべきものも何もなかった、なんて事になったら、即開戦もあり得たかもしれない。アンドリュー皇子なら帝国に帰る前に、王家を見限った貴族家を纏めて、挙兵くらいできそうだ。
「そこで、だ。私は貴女を妻にしたいと思った」
ザワリ――と、会場が揺らめくようにどよめいた。私達のテーブルは、それ程大きな声で話をしていたわけではない。でも、この国の未来がかかっているのだから、皆して聞き耳くらいたてているよね。
私は彼のプロポーズに、純粋に驚き……たかった。ナイフとフォークの使い方綺麗ですね、黄金甲冑さん。あとそれに健啖家。そわそわと次のお皿を待たないでよ! 黄金甲冑さん。気になっちゃうから、話に集中できないでしょ。ちょっ……「ゴメンちゃい」みたいに頭を掻かないで、黄金甲冑さん。気になって仕方がないから〜〜!
「儀式の時にも申し上げた通り、元々は王家とヘネシー公爵家のお話でした。私の一存ではなんとも申せません」
「では……。では、話をつけよう。貴女が私の妻となるべく、支度(状況)を整えようではないか」
――シーン。
水を打ったように静まりかえる会場。私は口元に手をあてて笑った。
「まぁ。随分と華やかな場での求婚(宣戦布告)ですこと」
……やはり、避けようがないか。いや、彼次第では使える手もあるかな。私、ニッコリ笑ってはいますけど、背中とかすんげー汗かいてます。
さて、この後どう立ち回るか――を、考えたいんだけど。この雰囲気の中、ワインのおかわり頼まないで、黄金甲冑よ! あと、ソムリエ? 給仕? この状況で職務を全うできるあんたはスゴい。後で名前を聞いておこう、大物だ。
ああもう、目の前に集中しなきゃいけないのに〜! 味わかんなくなっちゃうじゃない、せっかくのご馳走が。……、「あんたも大概でっせ」みたいに、私の肩に手を置かないで黄金甲冑。
私と給仕以外、誰も気に留めていないのは何故なのかしら? 答えて、黄金甲冑!
◇◇◇
全く食べた気のしなかった晩餐会の後は、舞踏会である。またまたお色直しの為、支度部屋へ。話し合いをするべく、母に来てもらった。
国王夫妻や宰相である父にも、直接話をしたかったけど。王妃は未だに顔色が冴えないし、賓客への対応や、国内貴族への根回し・その他があるだろうから、控えた。
一度体を洗い、化粧を落とし、髪も下ろして、今は下着姿。ここには女性しかいないからね。
黄金甲冑? 一人で歩いてどっかに行っちゃった。素直に国庫に戻ってくれればいいんだけど。今頃、舞踏会の会場に行っていたりして。踊れるのかしら? パートナーは誰を? いーやー! 私以外を選んだら、承知しないんだからね!
「グロリア?」
「私の考えを述べますわ、お母様。まず、国王陛下夫妻に私を養子にして頂いて、その上でアンドリュー様を婿として迎える。そして帝国へ恭順の意を示して、属国になるのよ。この方法が、流れる血が一番少ないんじゃないかしら」
甘いかもしれないし、そう上手く事が運ぶとは限らない。でも中身日本人、戦争回避、無血開城上等。お世継ぎの王子がアレしちゃったんだもん。プライド? 何ソレ、おいしいの? だよ。
アンドリュー皇子なら、この話にのってくれそうな気がする。皇帝が嫉妬する程に優秀な彼と、生き残り工作を画策してやろうじゃない。行き当たりばったりの辻褄合わせならトクイよ。
「残念だけど、デズモンド様と、反対する貴族達の犠牲は免れないでしょう。叩いた貴族達の領地の分を、帝国から新たに送られてくる人々に渡して、不足分は共同で土地の開拓。なんとかここを落としどころにしたいわ」
「ええ。さもなければ、今人が住める土地や街道を全て取り上げられる。一から未開発地域の開墾となれば、どれ程の苦心惨憺を味あわされる羽目になるか……」
「帝国単独で戦争を仕掛けてくる事も可能なのよ。それ以外にも、他の国々が共同戦線を張ってくるかもしれないわ。国ごと下るのを受け入れた方が、生き延びられる可能性がある。……まったく、デズモンド様は何を考えて、あのようなマネを」
まぁ、何も考えてねーだろーけどなー。エンマちゃんにいいように転がされ腐ってからに。アレで“カッコいい俺様”を魅せたかった、とかだったら……もう一回『じゅもん』。大丈夫、天丼は三回まで。つまり、あと一回、逝ってよし!
「グロリア様」
おずおずと声を掛けてきた彼女は……、この場ではリーダー的な侍女だ。
「ドレスの用意はまだ? 舞踏会が始まってしまうわ。これ以上の失態は、何を引き起こすのかわかったものではないのよ」
「それが……、舞踏会の為にお仕立てしたドレスが、無くなっているのでございます」
「えぇ!?」
「失礼致します!!」
城の中でも年嵩の侍女が、こちらの返事も……いや、ノックすらせずに部屋に飛び込んで来た。彼女らしくない慌てっぷりだ。
「舞踏会の会場に、デズモンド殿下とエンマ子爵令嬢が現れました!」
この話を聞いた全員が、手を止めて目を吊り上げる。よくもまあ、のこのこと姿を見せられたものだ。ツラの皮の厚さに、いっそ感心してしまう。
「ドレスは? その令嬢は、どんなドレスを身に付けていたの?」
「それが、グロリア様の為にご用意した物と、全く同じ色、同じデザインでございました」
「サイズはどう?」
「エンマには全くといっていい程、合っていませんでした。胸元は下品を通り越すくらいに開いていて、ウエストははち切れんばかり、裾もズルズルと引きずって。子供が大人のドレスをイタズラして身に付けた、みたいになっておりました。また妙な音が響くと思ったら、靴の大きさも合っていないようで、転びそうになったり、脱げて置き去りにしたりと。デズモンド殿下が跪いて、手ずからあのメイドに、靴を履かせている姿を晒している様子といったら……」
……アホか。ああ、アホだったね。滅んでもしょうがねぇなぁ、この国はよう。だからフォローして欲しかったら、それなりの態度やお膳立てっつーモンがあるだろーが。
「では、ドレス・靴・宝飾品は、デズモンド様達が持ち去ったと見ていいわね」
『申し訳ございません』
部屋にいた侍女達が、一斉に頭を下げた。
「仕方がないわ。今日はただでさえ、混乱していたのだもの。何とか代わりの物を用意してちょうだい。お母様は先に会場の方へ」
「ええ。先程の話を含めて、陛下や宰相と相談します。デズモンド様達の処遇についても」
「これ以上悪化しないように、場合によっては拘束もやむ無しね」
母に続いて、侍女達も準備の為に退出していく。気が付くと、部屋に一人きりになっていた。
ため息しか出ない。なんかどっと疲れが……。駆け落ちとかじゃなくて、二人が戻ってきたのなら、他に部屋を用意してもらわなくちゃ。同室も同衾もゴメンだ。客室に空きがあるといいんだけど。場合によっては、今夜からアンドリュー皇子に媚を売る覚悟も必要かな。
「……茶でも飲むかー」
なるようにしかならねーな、と思いながら呟いて、立ち上がろうとしたその矢先。部屋の扉がノックされて、数人の女性達が入ってきた。
コスプレ? 中近世ヨーロッパ・なんちゃって風のこの文化世界で、何故、古代ギリシャ・ローマ風の出で立ち。
「ご衣装をお持ち致しました。お召し替えを」
そう言われて、一度全部脱がされる。どうして? と思うも、彼女達の持ってきた衣装がやはり古代風。「形が合わないからか」なんて考えていると、あれよあれよという間に着替えさせられた。化粧も髪の結い上げも、早いしカンペキ。そして、すぐに移動という事で、先導されるがまま、私の体が動きだす。
私は抵抗したかった。だって、今まで一度も見掛けた事のない侍女達。今の城内では怪し過ぎる。ダスティン帝国が先手を打って、私の身柄を確保しに来たとも考えられるじゃない?
ただ……、ただちょっと気になったのは、彼女達の髪の毛が、眩いくらいの黄金色だという事。心なしか、髪の毛――いや、彼女達自身が光を放っている。
……嫌な予感しかしない。逃げたい、帰りたい。でも体が、いう事をきかない!
読んで下さって、ありがとうございます。
自分の他作品での【アフロ】に続いての、黄金甲冑推し。
いつ、どの段階でこうなったのか、記憶が……。
グロリアの黄金甲冑へのデレが早すぎる(笑)