3話
どうぞ。
初めての戦闘描写…上手くできているか、心配です。
街に戻ってきた俺はキットを買うためにNPCが経営している店を探していた。
うーん…なかなか見つからないな。雑貨屋に行けばあるのだろうか?それとも薬屋か。
考えても分からないから誰かに聞こうと思い至ったところでポーンと電子音がなった。
今度は誰からのチャットだろうか?
『冬冴、今暇か?』
「何だ享か。それと俺はユリウスな」
『そういえばそうだな。俺はアルトな』
「それで、アルト何の用だ?」
『いや、これからパーティーでちょっとレベル上げに行こうと思っていてな。ついでにユリウスとフレンド登録するのとレベル上げを一緒に行かないかとあう誘いだ』
レベル上げか~。さっきまでは動作の確認だったしな。魔物との戦闘はまだしたこと無いし、ちょうど良いかもな。この誘いに乗ることにするか。
「行こうかな」
『おぉ~そうか。だったら今どこに居る?』
「噴水の前をブラブラと」
『だったらそのまま西門に来てくれ』
「分かった」と言ってからチャットを閉じた。
東から西へこれが東奔西走か。…ちょっと違うか?
言われた通りに西門に向かって歩いていく。享…いやアルトにあったら調合キットがどこにあるか聞いてみないとな。
歩くこと5分、西門に着いた俺はアルトとその仲間達を探した。
「おーい、ユリウスこっちこっち」
キョロキョロと周りを見ていると少し離れた所にいた男二人、女子二人の四人の集団の一人の男が俺に声を掛けてきた。多分あいつがアルトだろう。
「待たせたか?」
「いや、そんなに待っていないから気にするな」
「そうか。悪かったな」
アルトの格好はきらびやかな鎧だった。さすが元βテスターですね。初期装備で布の服の俺と大違いだね。
容姿はマイたちと同様あまり弄っていなくて、髪の色を金に碧眼にしているだけだった。
「こいつがお前の言っていた友達か?」
「あぁ、紹介が遅れたな。こいつは俺のリア友でユリウスっていうんだ」
「ユリウスだ。よろしく」
ゴツい格好をした大男がアルトに尋ねてアルトが他の仲間に紹介した。俺も一応挨拶はしておく。
「俺はゴロー、タンクをやっている」
アルトに尋ねた大男はゴローと言うらしい。そして、見た目通りのタンク職だった。
「僕はアルテナって言うよー、一応槍職をやってるよー」
槍を背中に背よった小柄な男性はアルテナって言うらしい。装備は軽装。それと、槍職って何だ。
因みにゴローって人は重装だ。
「私はルナって言います。主に後方支援と回復を担っています」
僧侶のような格好をした女性がお辞儀をして自分の名前を言った。必要の無い情報だが、この人は巨乳で礼儀正しく、姉さんのようにクールビューティーだ。
「わ、私はフリーデってい、言ます。魔法使いをしています」
少しどもりながらも自己紹介したのは黒いとんがり帽子を被り、何故か大きな竹ホウキを持って魔法使いの格好をした小柄な中学生くらいの少女だ。うん、何で杖でなくホウキ?
絶対この子、こんな格好をさせた人に遊ばれているだろう。
突っ込んだら負けのような気がするから突っ込まないが。
最後にこのパーティーに共通することはただひとつ。皆が皆美形だ。顔に違和感が無いから一つも顔を弄っていない証拠だろう。本当もうおなか一杯ですわ。ありがとうございます。
「うん、よろしく」
もう一度だけ挨拶をする。
そして早くも家に帰りたくなってきた。何が悲しくてこんな美形揃いのパーティーに平凡な顔をした俺が混じらないといけない。
「もう、帰っていいか?」
って、思っていたら実際に口に出していた。
「もうか?別に良いじゃないか。少しぐらい付き合ってくれよ」
「分かってるよ。冗談だ」
アルトが少し呆れたような顔をして聞いてきたが、俺は冗談だということを伝える。
本心では帰りたいと思っているが。
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アルトとその仲間と一緒に西門からフィールドに出た俺は何をターゲットに狩りをするのかアルトに聞いた。
ついでだが、ここのフィールドの名前は遇者の住まう森と言うらしい。
遇者が住むというくらいだからこの森の何処かにいるのだろう。多分ボスとして。
それで、出現するモンスターはウッドパペット、鳴く女、ショットイーグルで、今回はウッドパペットを狩っていくらしい。
鳴く女は、その名の通りに鳴き声をあげてモンスターを呼んで、俺たちの動きを少しの間止めるから相手にしたら厄介のこと。
と、アルトが言っていたのを聞き流していた。
俺はパーティーと少し離れた所から氣を使いながら気配察知をする。
氣を使いながらだから普通に気配察知をするより範囲が広がっている。今の範囲は大体100メートルくらいだ。
現実ではこれの四倍くらい出来ていたから早くレベルを上げてもっと広範囲に出来るようになりたいものだ。
「おい、ユリウス。そんなに離れていないでもっとこっちに来て会話に参加しろよ」
アルトに呼ばれた。
そんなにって…たったの50メートルじゃないか。そんなに離れてるとは言えないと思うぞ?
「うん?いや、いいよ。ちゃんと話しは聞いているから」
と、そんな話をしていると3体の気配がした。
「おい、アルト。右にモンスターがいるぞ」
「本当か?」
「ああ、3体の集団だ」
アルトが「じゃあ、行ってみるか」って皆に聞いて、そのモンスターの所に行くことにしたらしい。
まぁ、まずはこのパーティーがどれだけ出来るのか見ものだな。
アルトたちの後ろをついていくこと少し、目に氣を集中させて、目を凝らして見ると木の人形のモンスターが3体で固まっていた。これがウッドパペットだろう。
「当たりだぞ。ウッドパペットだ」
「お前、この距離からよく見えるな」
何言っている。たったの40メートルじゃないか。
現実だったら、普通に氣ありで200メートル先の蟻でも見れるぞ。因みに俺に氣術を教えてくれたじいちゃんは2キロ先の物を氣ありで平気で見えるらしい。
じいちゃんはもう人間じゃないんだ。
あと、此処までで【気配察知】と【錬氣】がそれぞれ5ずつレベルが上がっていた。
「それより、お前らパーティーの戦いを見せてくれないか?」
「ん?あぁ、別に良いぞ」
アルトが俺の願いに対して了承し、他のメンバーに「よし、行くぞ!」と言ってウッドパペットに向かって走り出した。
ここからは特に書くことはない。ただ、先に走り出したアルトが一体一太刀で倒して、残りの二体をフリーデとアルテナがそれぞれ一体ずつ倒しただけだ。
個々の力が強いからなのか戦闘時間は一分を普通に切っていた。
しかも、ゴローとルナは何もしていないし。
戦いを済ませたアルトたちが俺の所に戻って来る。
というかアルト、一撃で倒せる相手なのにレベル上げに最適なのか?
絶対、別のモンスターにした方がいいと思うんだが…まぁ、俺は誘われた身だからな。何も言うまい。
「うーん。今回は少なかったな」
「今回は?」
「あぁ、いつもなら20体くらい固まっているんだ。だから一体一体の経験値は少し少ないけどそれでも数が多いからレベル上げには最適なんだ」
いや、20体はさすがに多くないか?
いや、でもこいつらなら一撃で倒すことが出来るからいいのか?俺も倒せると思うけど。
「そうなんだ」
「あぁ、じゃあ次はユリウスが戦ってくれ」
「了解」
アルトに頼まれて了承をする。
さて、索敵を始めますか。こいつらみたいに少数がいいな。
敵を探すこと五分、【気配察知】に引っ掛かりそっちに向かっていく20体の団体さんだ。
さっき思ったことがフラグになったのか?
何で俺だけセオリー通りの数なんだ。まぁ、経験値が稼げるからいいけど。
敵との距離が残り僅かというところまできていた。
「んじゃ、行ってくる」
「あ、おい。ユリウスまっーー」
アルトが何か言っていたような気がしたがほっといてモンスターの団体さんに単独で突っ込んで行った。
手始めに近くにいたウッドパペットを氣を込めた蹴りを顔に食らわせる。
この一撃でウッドパペットはポリゴンとなって消えた。
これで他のウッドパペットが俺に気が付いたが、構わずさらに一体倒す。
ウッドパペットが2体倒し終えた俺に棍棒で殴り懸かってくるが棍棒の攻撃をかわしてカウンター気味に顔を殴りつける。この一撃でこのウッドパペットはポリゴンと化した。
これならどうだと言わんばかりに3体同時にくるが攻撃を全部かわして全部一撃で倒す。
と、ここで俺にウッドパペットが放った矢が俺に飛んでくるがそれを掴んで放った張本人のウッドパペットに投げ返す。
投げ返した矢はウッドパペットの頭に刺さりポリゴンとなる。
これで、残り14体。
その後も一方的な俺の蹂躙で終わり、所要した戦闘時間は3分だった。
ウルトラマンになった気分だぜ。
「戦闘が終わったぞ」と言う意味を込めてアルトたちの方を見ると皆口を少し開けて唖然としていた。( ; ゜Д゜)←こんな感じに。
アルトに関しては誰かを引き止めるように手を突き出したままの格好だ。
どうしたんだ?こいつら。
どうでしたか。
ちょっとした補足として、ウッドパペットはフィールド内の中では一番弱いですが、初心者が単独で挑んだら直ぐに死に戻ります。
※ 12/1 指摘があり、修正しました。
調合キッド→調合キットに修正しました。